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「やせる注射」をやめた人、体重の再増加が速くなる可能性 最新研究
マンジャロで体重が減った人は、失った体重を4倍の速さでリバウンドする可能性があることが新たな研究で示されたとのこと。
膵臓やインスリンスパイクのことを思うとゾッとする話・・・
ヒトの代謝は非常に複雑で、個人のゲノムによって規定されるあらゆるプロセスの中核に位置する一方で、外的要因からも強い影響を受ける。
ヒトの代謝の最重要役割の一つは、食物の消化によって得られたエネルギーを細胞エネルギーへと変換し、タンパク質合成、細胞増殖、身体活動などの多様な生理機能を可能にすること。食品の種類、量、質、摂取タイミングといった要因における過剰エネルギー摂取に対して、低エネルギー消費、すなわち身体活動量の不足や座位生活習慣が重なるとエネルギー収支の不均衡が生じ、余剰エネルギーは体内に蓄積される。
この状態が長期間持続すると、過剰な脂肪蓄積が進行し、過体重や肥満へとつながることはいうまでもない。
肥満関連の研究では体脂肪量増加が健康に及ぼす悪影響に注目が集まりやすく、筋量の変化は軽視される傾向がある。
一般的な想像とは裏腹に、肥満者は正常体重者と比較して総除脂肪量および筋量が高いことが報告されている。しかし一方で、筋量当たりの筋力すなわち筋の質は低下している。この状態は見過ごされやすく、診断されにくいものの健康転帰の悪化と関連する。
筋内脂肪浸潤(ミオステアトーシス)などの要因は筋の質や筋力を低下させる。筋量と筋力の低下を特徴とするサルコペニアが過剰な体脂肪蓄積と併発した場合、サルコペニア肥満と呼ばれる高齢者に多くみられる現代的な病態となり、健康リスクの増大と著しく関連する。
肥満に伴うサルコペニアリスクに加え、短期間での大幅な体重減少においても同様のリスクが存在する。そのため、筋量および筋力を維持しながら体重を減少させる戦略の必要性が高まっている。
体重減少の手段として、栄養介入、薬物療法、肥満外科手術など、さまざまなアプローチが提案されてきたが、上記のニュースのようにそれらの方法は骨格筋の維持に悪影響を及ぼす可能性があり、長期的な有効性を制限する要因となり得る。
こうした中、概日リズムの変動とそれが全身の恒常性および代謝に及ぼす影響は、過去に十分調査されてこなかった重要要素として注目されつつあり、より統合的な肥満管理アプローチへの新たな可能性を示している。
24時間の明暗周期に沿った個人固有の休息・活動リズム、すなわちクロノタイプとライフスタイルを考慮することの重要性が示唆されており、クロノタイプはそれぞれに特有の特徴や行動パターンを有して、筋の健康に対して有益にも不利にも作用し得る。
リンクの研究は、時間生物学および異なるクロノタイプに関連する特性に対する理解を深め、筋の健常性を維持し、筋量維持や体組成に悪影響を及ぼす行動パターンを調整するための戦略を提示することを目的としたもの。
それらの戦略は体重減少過程において筋を保護する上で極めて重要で、クロノタイプと関連した栄養およびトレーニングによって影響を受ける特定の代謝調節機構に焦点を当て、代謝プロセスにどのような変化をもたらすかを論じている。
【レビューの結論】
このレビューで示されたエビデンスは、
1)クロノタイプが筋および代謝の健康を規定する重要な決定因子であること。
2)概日リズムや時計遺伝子発現の変調はタンパク質合成、インスリン感受性、体組成に直接的な影響を及ぼすこと。
3)特に夜型クロノタイプの個体において、肥満、サルコペニア、さらにはサルコペニア肥満の発症を助長すること。
4)夜型クロノタイプの人々は睡眠の質の低下、不規則な食習慣、身体活動量の低さを呈しやすく、これらの要因が筋量および筋力低下のリスクを高めること。
を明らかにした。
筋量、筋の質、筋力を維持するためには、食事タイミングの最適化を中心とした時間栄養学的介入、睡眠の質の改善、そして概日リズムに同調した運動実施といった、統合的な時間生物学的戦略を導入することが不可欠。
日常行動を概日生物学と整合させることは筋の健康維持に寄与するだけでなく、代謝機能の改善や慢性疾患リスクの低減にもつながると結論。
Identifying Chronotype for the Preservation of Muscle Mass, Quality and Strength
概日リズム
ヒトは多くの生物と同様に、遺伝子発現、代謝、行動の調節に関連する概日リズムを生み出す体内時計を有している。
概日リズムの中枢を担う主要構造は視交叉上核(suprachiasmatic nucleus:SCN)で、脳内の複数の構造や末梢臓器と様々な経路を介している。SCNは感覚入力から情報を収集して体内周期と外界周期を同調させ、その結果他の構造へ時間情報を伝達することで、生理学的および行動学的プロセスにおける「時間的枠組み」を形成する。この調節は、視床下部および視床核へ直接投射する神経経路を介した出力と、シナプスを介さない内分泌性シグナルによる出力という二重の出力機構によって行われる。後者は全身の末梢時計を同調させる役割を果たしている。
光刺激、食事パターン、温度などの環境条件といった外的要因は24時間周期で変動し、生体の恒常性維持機構に対して常に生理的な負荷を与えている。日々反復されるそれらの外的刺激パターンを検出してそれに適応し、最終的には先取りする能力を獲得することも概日リズムの重要な機能の一つ。
ホルモン分泌などの日内変動は、一日の中で多くの生理機能に影響を及ぼし、代謝の健康と密接に関係している。概日システムの同調性の乱れは、耐糖能の低下、インスリン感受性の減弱、炎症性サイトカインの増加、動脈血圧の上昇、エネルギー消費量の低下と関連し、心血管系に影響を及ぼして代謝性疾患への感受性を高める。
また、体内時計の乱れは睡眠–覚醒リズムの障害を引き起こし、ホルモン調節、血圧、心拍数、その他の生命維持に不可欠なプロセスの異常をもたらす。こうした障害が長期間持続すると、心血管疾患、代謝性疾患、腫瘍、神経精神疾患などの慢性変性疾患の発症と関連する。
時計遺伝子発現
環境要因は中枢概日時計に影響を与え、そこから末梢時計および時計制御遺伝子へとリズムが伝達される。光、すなわち日常的な明暗周期は、生体における概日リズムの24時間振動を規定する最も主要な環境因子。加えて、食事摂取、特に摂食・絶食サイクルや摂取する栄養素組成(マクロ栄養素)も、24時間リズムに影響を及ぼす。
概日振動は細胞レベルで生成されており、この基本機構はほぼすべての細胞に存在し、細胞自律的転写–翻訳フィードバックループ(cell-autonomous transcriptional–translational feedback loop:TTFL)として知られている。
Circadian locomotor output cycles kaput(CLOCK)および brain and muscle ARNT-like protein-1(BMAL1)は、哺乳類の概日時計を構成する中核的要素。BMAL1はCLOCKとヘテロ二量体を形成し、BMAL1:CLOCK複合体として特定のシス作用性DNA配列、すなわちEボックスに結合することで、概日リズム関連遺伝子の転写を調節する転写因子として機能する。この複合体は、概日リズムに関与するタンパク質合成遺伝子の転写を活性化または抑制することで多様な概日出力を制御している。
核内受容体であるRORおよびREV-ERBが関与する第二のフィードバックループも存在し、BMAL1プロモーター内のROR/REV-ERB応答配列(RRE)への直接結合を介して、BMAL1転写を活性化または抑制する。これら中核時計因子は、時計制御遺伝子(clock-controlled genes:CCGs)と呼ばれる数百の遺伝子を概日的に制御している。中核となる時計機構自体は体内のほぼすべての組織・細胞に存在するが、CCGsの発現様式は細胞種によって異なる。
クロノタイプ
「クロノタイプ」とは、24時間の明暗周期に沿った、個人が好む睡眠–覚醒(休息–活動)タイミングを指す用語。クロノタイプは光曝露や食事摂取といった外的要因に加え、遺伝的要因などの内的要因によっても影響を受ける。また、個人のクロノタイプは日内嗜好性を反映し、生理学的プロセスや行動を制御する。
ヒトは24時間周期の中で、生理学的に約3分の2の時間帯で覚醒・活動・摂食状態にあり、残りの3分の1で睡眠および絶食状態に入るようプログラムされている。
ヒトは生物学的に昼行性であり、日中に活動し、夜間に休息、睡眠をとる。しかし、個人の嗜好や社会生活、生活環境、勤務形態や交代勤務、新たな食習慣、カフェイン摂取量の増加、コンピューター画面やスマートフォンからの人工光への曝露などにより、「通常の昼行性行動」からの逸脱が徐々に生じ、その結果として「クロノタイプ」という概念が一般化するに至っている。
クロノタイプは主に、朝型(morning-type:MT)、夜型(evening-type:ET)、および中間型(neither-type:NT)の3つに分類される。MTは昼行性のリズムに沿った生活を送り、早起きで、精神的および身体的パフォーマンスのピークが一日の早い時間帯に現れ、就寝も早い。一方、ETでは精神的・身体的パフォーマンスのピークが夕方から夜にかけて現れ、それに伴い就寝時刻が遅くなる。成人の約40%がMTまたはETのいずれかの極端な型に分類され、残りの約60%がNTに該当する。
食事摂取時刻や「最大カロリー摂取時間」も、クロノタイプを判定する指標。MTでは1日の総エネルギー摂取量の約20%に相当する最大摂取が一日の早い時間帯に集中するのに対し、ETではそれが夕方から夜間にかけて現れる。最も一般的なクロノタイプであるNT(中間型)は、強い概日嗜好性を示さず、両者の中間的な特徴を持つ。
日中のパフォーマンスもクロノタイプの影響を受ける。MTは午後早い時間帯に優れた成績を示す一方で、ETは夕方から夜間にかけて高いパフォーマンスを発揮する傾向がある。
MTではBMAL1およびPER2の発現ピークが早い時間帯に現れ、これが日中早期における神経筋準備性や代謝効率の高さと一致している。一方、ETではこれらの発現ピークが遅延しており、夕方から夜間におけるパフォーマンスの高さを説明する要因となり得る。
BMAL1、PER2、NR1D1などの時計遺伝子の発現位相に応じて、トレーニングへの応答が変化する可能性が示されており、パワー発揮、筋力、最大酸素摂取量(VO2max)といった指標において、朝よりも夕方から夜間にピークパフォーマンスが認められる理由を説明している。
一方で、糖尿病などの代謝性疾患に対して(という条件付きでは)は、朝の運動の方が代謝改善効果をもたらす可能性があり、健康の観点からは運動実施時間が重要であることが示唆されている。
クロノタイプと体組成
概日時計は代謝、摂食行動、エネルギーの貯蔵および消費を調節することで、体組成に大きな影響を及ぼす。不規則な食事や交代勤務といった概日リズムの乱れは、代謝性疾患、肥満、体組成の変化を引き起こす一方で、概日リズムに整合した規則的な食事パターンを維持することは体組成に好影響をもたらす。
2014年に行われた青年対象研究では、ETはMTと比較してBMIがわずかではあるが有意に高いことが報告されている。また、ETでは果物や野菜の摂取不足、不健康な間食の増加、夜間のカフェイン摂取頻度の増加といった食行動の特徴が認められている。
メラトニン分泌が増加し始める時間帯(通常、就寝の2~4時間前)に多くのカロリーを摂取する人は、脂肪蓄積が増加してBMIの上昇と関連することが示されており、肥満や心血管疾患のリスク増加につながっている。
日本で18~22歳の女子学生を対象に行われた研究では、ETは非ETと比較して骨格筋指数(SMI)が有意に低く、体脂肪率が有意に高いことが観察されている。総エネルギー摂取量には差がなかったものの、ETでは食事の欠食や不規則な摂食、夕方から夜間にカロリー摂取が集中するなど、栄養素の分布に大きな違いが認められた。
ETは学業や仕事を除いた自由時間で、MTよりも身体活動量が有意に低い傾向があることも報告されている。40~69歳の韓国人を対象とした研究では、対象者1620人のうち5.8%がETに分類され、糖尿病、メタボリックシンドローム、サルコペニアの有病率が高く、女性では体脂肪量の増加、男性では除脂肪量の低下が認められている。
ETは内的リズムと外的リズムの乖離が最も大きく、平日は不眠や睡眠障害により睡眠負債を抱えやすく、週末に長時間睡眠をとって補償する傾向がある。
睡眠時間に関わらず、睡眠スケジュールの不規則性そのものが肥満と関連していることも示されていおり、概日リズムの不一致は食後血糖値およびインスリン値の上昇、レプチン濃度の低下、より顕著なインスリン抵抗性および炎症性プロファイルと関連している。
一方で、MTは末梢組織のインスリン感受性が高く、HOMA-IR、脂肪組織インスリン抵抗性(Adipose-IR)、空腹時インスリン値が低いことが報告されている。これらの結果は、ETにおいて内臓脂肪量や腹部肥満が増加するという他の研究結果とも一致している。
クロノタイプ、筋の健康およびタンパク質合成
骨格筋タンパク質代謝は、機械的刺激、栄養、ホルモン入力によって調節される。
テストステロンおよびIGF-1はAkt/mTORおよびPI3K/Akt/mTOR経路の活性化を通じて同化を促進する一方、コルチゾールはタンパク質分解機構を介して異化を促進するため、睡眠の質の低下、不十分な栄養摂取、食事タイミングの乱れ、座位行動、心理的ストレスといった行動・生活習慣要因は、タンパク質合成を阻害し、筋機能、組成、パフォーマンスの低下を引き起こす。
個人のクロノタイプは、筋の健康およびタンパク質合成に大きな影響を及ぼす。
ETは身体活動量の低下、座位時間の増加、睡眠の質の低下、インスリン抵抗性、心血管疾患リスクの増大と関連しており、これらは筋タンパク質合成の低下および筋量減少につながる。
筋量の低下は通常、筋力低下を伴い、サルコペニアやフレイルの発症リスクを高め、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、加齢性サルコペニアと密接に関連している。
クロノタイプとホルモン変動
ホルモン変動は体内時計の影響を強く受ける。
ホルモンリズムの変化は、代謝、糖利用、筋量および筋力、脂肪蓄積、身体パフォーマンス、さらには心理的ウェルビーイングに至るまで、広範な生理学的・心理学的影響を及ぼす。
異なるクロノタイプを持つ人々は、その行動様式を通じてホルモンパターンに影響を与え、結果として健康状態に差をもたらす。
例えば、インスリン感受性は午後に低下する。ETの最大カロリー摂取が午後から夕方に集中すると朝に摂取した場合と比較して、血漿グルコースの上昇および耐糖能低下がより顕著となる。さらに、遅い時間帯の食事は安静時エネルギー消費量や食事誘発性熱産生の低下を招き、24時間周期におけるコルチゾール分泌リズムを平坦化させる。
また、ETは日中のメラトニン濃度が高いことが報告されており、この分泌パターンの変化は睡眠の質に直接影響を及ぼす。
睡眠の質の低下は骨格筋の恒常性や全身の糖代謝に悪影響を及ぼし、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、さらには全死亡リスクの増加と関連する。内分泌機能は睡眠の質に強く影響され、食欲を調節するレプチンやグレリンといったホルモンの濃度変化、さらには血漿コルチゾール濃度の上昇などを引き起こす。
通常、メラトニン分泌は夜間にピークを示し、就寝の2~3時間前に急速に上昇し、朝にかけて急速に低下する。しかし夜間の光曝露はメラトニン分泌を抑制し、睡眠–覚醒リズムのシフトや短時間の昼寝も日中のメラトニン濃度上昇と関連している。
コルチゾールは、知覚される危険や急性炎症といったストレス刺激に応答して副腎から分泌され、グリコーゲン、脂肪、タンパク質から迅速にエネルギーを動員する。炎症時には急性期反応物質の合成や免疫応答のためにタンパク質・アミノ酸の動員が不可欠だが、この状態が慢性化するとエネルギー貯蔵の著しい枯渇を招く。骨格筋は体内最大のタンパク質貯蔵庫であり、慢性炎症下では顕著な筋萎縮が生じる。
起床後約30分でピークを示すコルチゾール覚醒反応は、光曝露、年齢、性別、健康状態、ストレスなどの影響を受けて個人差を示す。睡眠不足誘発性のホルモン環境の変化は、筋タンパク質合成率の低下を通じて骨格筋代謝の変調を持続させ、筋量および筋力の低下を引き起こす。
MTは日中初期に上昇するコルチゾールがBMAL1やPER2などの遺伝子の転写活性を高め、代謝プロセスを活動期と同調させる。一方で、ETは特にメラトニン濃度が上昇する時間帯での食事摂取が、CRY1やPER1といった遺伝子のリズム発現を乱すことで耐糖能や脂質代謝を障害する。
NTのような中間的クロノタイプを示す集団では、食行動および代謝の健康の両面においてMTに近いパターンを示す傾向があり、BMAL1やPER2といった遺伝子の発現位相が比較的安定している、あるいは遅延が小さい可能性が示唆されている。
上記の代謝応答の違いは、概日時計遺伝子がエネルギー恒常性を制御する役割を担い、その発現パターンが時間帯によって変化することで説明できる。例えば白色脂肪組織では、末梢で発現するBMAL1/CLOCK複合体の転写活性が、脂肪生成、脂肪分解、β酸化といった主要な代謝プロセスを制御し、脂肪細胞の増殖および分化に影響を及ぼす。
マウス研究では、末梢時計間のクロストークの破綻が報告されており、夜行性動物における早期夜間の欠食(ヒトにおける朝食欠食に相当)が末梢概日時計の不一致を引き起こし、脂肪生成活性の亢進を通じて脂肪蓄積を促進することがわかっている。
等カロリー条件下であっても、早期夜間絶食を課したマウスでは、肝臓および脂肪組織におけるBmal1、Per1、Cry1などの中核時計遺伝子の発現ピークが変化し、Srebp-1cやFasnといった脂質合成関連遺伝子の発現が上昇することが示されている。
筋の健常性を維持するためのクロノ戦略
筋組織が全身の健康維持に果たす役割を踏まえると、クロノタイプのように筋代謝を日内で制御する因子の影響を受ける行動パターンに注目することが重要。
個人特有の生活リズムは、筋機能および筋の健康を変化させ、結果として筋力や筋量の低下につながる。
骨格筋量の調節は、筋内タンパク質代謝を制御する要因の変化によって破綻し得る。具体的には、①身体活動不足による機械的刺激の欠如、②脂質や糖質に偏りタンパク質摂取が不足した食事、③筋タンパク質分解を促進しコルチゾールを増加させる睡眠の質の低下、などが挙げられる。
ETは睡眠の質が低く、睡眠不足に陥りやすいことが示されており、これは同化抵抗性の誘導および異化優位な環境と関連する。コルチゾール濃度の上昇は、主要な筋タンパク質分解経路を活性化することで異化を促進する。この状態は、特に肥満を有する人において同化抵抗性をさらに悪化させ、体組成の悪化(高脂肪量・低除脂肪量)、筋力低下、身体機能障害、生活の質の低下を招く可能性があり、とりわけ高齢肥満者で顕著。
クロノニュートリションへの介入
総エネルギーバランスに伴う体重変化は、単純な計算式で説明できるものではない。
例えば高脂肪食を用いた複数の研究では、日内リズムの減弱や概日周期の延長が引き起こされ、その結果としてインスリン抵抗性、局所的な炎症、さらにはレプチンやアディポネクチンといったアディポカイン分泌バランスの破綻につながることが示されている。
栄養状態と健康は極めて複雑で、空腹や満腹感、食物の入手性と摂取行動、環境要因、社会的要因など、多くの因子が相互に影響し合っている。摂取エネルギーは、食事の質や量のみによって規定されるわけではない。
近年注目されているのが「栄養クロノタイプ」という概念で、これは睡眠や身体活動といった他の生理指標と関連づけて、食事を摂取する時刻や栄養価に着目する考え方。
具体的には、食事の頻度、開始時刻と終了時刻、栄養価、摂取の規則性、そして仕事、運動、余暇、睡眠、社会的関係といった日常生活の出来事との関係性の中で決定される食事スケジュールを指す。
外的時計と内的時計が一致している場合、体重、BMI、体組成を中心とした代謝的健康指標が改善することが複数の研究で示されている。特に、最も高カロリーな食事を摂るタイミングという外的時計と、個人のクロノタイプという内的時計が一致している場合、BMIや脂肪量指数の低下とともに除脂肪量指数の増加が認められている。
したがって、食事摂取、特に最も高カロリーな食事をより早い時間帯に移行させることは、代謝的健康に好影響をもたらす可能性がある。この介入は24時間周期におけるインスリン分泌リズムを尊重する形で行うことが重要であり、結果としてインスリン感受性の向上や耐糖能の改善につながると考えられる。
・・・私は生まれついての朝方人間なので、ラッキーなんて思いながら読んでましたが皆さんはどちらのタイプですか?
時間帯栄養学の観点で言えば、私の場合第二食目の後が最もトレのパフォーマンスが良いので、このデータと合致します。
ETをMTに無理やり矯正するのがいいのか悪いのか分かりませんが、ベースラインで若干不利な点がある以上、矯正してみるのもいいかもしれません。
それと当院の栄養指導を受けた方はお馴染みの、”ポイントは朝食だよね”の部分。ブレンチとどう違うの?って人もいるかもしれないけど、後々の数字で違うんですよねこれが。
”何を”の部分は当院にお越しの際にお気軽にご質問ください。