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食事性マグネシウムと低筋肉量の関連性

2025年12月21日 by office-k

加齢に伴う筋肉量の急速な低下、いわゆるサルコペニアは、我々カイロプラクターの臨床において常に患者さんとの間で重要なテーマの一つだ。
サルコペニアは筋肉量、筋力、および筋機能低下を特徴とする慢性的かつ全身性の筋骨格系疾患で、転倒、虚弱(フレイル)、機能的能力の減退、および死亡率増加などの有害な帰結と密接に関連している。
低筋肉量(LMM)がサルコペニアの主な特徴で、酸化ストレスの上昇がタンパク質分解、合成抑制、およびミトコンドリア機能不全を通じて筋萎縮に寄与することがわかっている。

過去の研究では、マグネシウムがアデノシン三リン酸(ATP)産生を促進、またカッパB(NF-κB)経路を抑制してTNF-αやIL-6などの炎症媒介因子を減少させることでLMMの進行を遅らせる筋収縮とタンパク質合成をサポートすることがわかっている。
しかし、食事性マグネシウム摂取量とLMMとの関連、および炎症媒介因子の役割を調査した疫学研究は少ない。

リンクの研究は、食事性マグネシウム摂取量とLMMおよび骨格筋指数(SMI)レベルとの関係、ならびにその関連における炎症指標の媒介的役割を調査したもの。
2011年から18年に実施された米国国民健康栄養調査(NHANES)で、20歳から59歳の計5793名の参加者が対象。
好中球、リンパ球、血小板、およびC反応性タンパク質(CRP)を含む炎症マーカーは、IL-1、IL-6、およびTNF-αなどのサイトカインと相互作用して全身性炎症に影響を及ぼす。
C反応性タンパク質・アルブミン・リンパ球(CALLY)指数、好中球・血小板スコア(NP)、血小板/アルブミン比(PAR)、および赤血球分布幅/アルブミン比(RAR)などの複合指標は単一のマーカーよりも炎症、栄養、および免疫状態のより堅牢な評価を提供し、感染症や癌を含む疾患において予測的価値を持っており、食事性マグネシウムとLMMの関連の背後に炎症経路が存在するか確認するため、それら4つの指標を潜在的媒介因子として選択している。

【結果】
完全調整モデルにおいて、マグネシウム摂取量が最も高い四分位の参加者は、LMMのリスクが低下し、SMIのレベルが上昇した。
媒介分析の結果、NP、PAR、およびRARは、マグネシウムとLMMの関連をそれぞれ18%、13%、および21%媒介しており、またマグネシウムとSMIの関係もそれぞれ32%、24%、および25%の媒介率で媒介していた。

【結論】
食事性マグネシウム摂取量とLMMリスクおよびSMIレベルとの関連性が浮き彫りになった。
その関連性における新しい炎症マーカー(CALLY指数、NP、PAR、RAR)の媒介的役割も明らかになった。
食事性マグネシウムの高摂取量は、低LMMリスクおよび高SMIと関連し、その一部はNP、PAR、およびRARを含む炎症指標を通じて媒介されていた。この知見は、LMMの予防および管理に関する新しい視点を提供する。

Association Between Dietary Magnesium Intake and Low Muscle Mass: The Mediating Role of Inflammatory Indicators 

・マグネシウムとLMMの間には用量反応関係が存在し、ln-Mgが5.69mg/d(マグネシウムとして298.87mg/dに相当)に達したときにLMMに対する保護効果が有意になることが明らかになった。米国成人集団に対する推奨は、19歳から30歳の男性で1日あたり400mg、30歳超で420mgのマグネシウム必要量と規定されている。女性のRDAは、19歳から30歳で310mg、30歳超で320mgに設定されている。

•1138名の高齢者を対象とした研究では、マグネシウムレベルと、握力、下腿筋力、膝伸展トルク、および足首伸展等尺性筋力を含む身体機能の複数の測定値との間に有意な関連があった。また、776名の参加者を対象とした分析では、マグネシウム摂取量の少なさがhs-CRPの高値および筋肉量の少なさと関連していることが明らかになっている。

・LMMを誘発する主要因子の一つはミトコンドリア機能不全。その文脈で、マグネシウムは重要な調節因子として機能する。ミトコンドリア内においてMg2+イオンはタンパク質生合成、ATP産生、および複数の酵素反応を調節するが、細胞内のマグネシウム濃度が不十分な場合は酸化損傷を誘発し、ミトコンドリアの性能を損なう。同時にマグネシウム枯渇は活性酸素種(ROS)の産生増加を招き、これがNF-κBの活性化を誘発してMyoDの発現を低下させ、それによって筋形成を阻害する。

・NP、PAR、およびRARが食事性マグネシウムとLMMリスクおよびSMIレベルとの関係を部分的に媒介していることが明らかになり、マグネシウム摂取がそれらの新しい炎症指標を調節することで筋機能を維持する可能性が示唆された。不十分なマグネシウム摂取は、血小板反応性を高め、好中球浸潤の増加、アルブミン合成をの減少、NPおよびPARの上昇を招く可能性がある。この炎症状態は骨格筋の微小循環を損ない、筋肉へのエネルギーおよび栄養供給を妨げ、筋虚血、低酸素、および炎症性損傷を引き起こす。

・マグネシウム欠乏は赤血球数を減少させ、赤血球の老化を加速させ、網状赤血球数を増加させ、RARレベルを上昇させる可能性がある。その結果、筋肉組織は十分な栄養および酸素サポートを得ることができず、萎縮と機能喪失を招く。

・サブグループ解析では、高血圧グループにおいて食事性マグネシウムとLMMの間に交互作用が認められ、高血圧患者におけるLMMのリスクを有意に低下させた。これは、高血圧患者が酸化ストレスの増加および慢性低悪性度炎症状態にあり、炎症が筋肉タンパク質の異化を促進してLMMのリスクを高めることに起因する。食事性マグネシウムは、炎症反応を軽減し筋肉タンパク質の分解を減少させることで、筋肉量の維持を助ける可能性がある。

・・・加齢と共に摂取の重要度が増すマグネシウム。ただ頑張って毎日摂取するとお腹が緩くなる可能性があるので、摂取量は各自コントロールが必要。
アメリカの推奨量だとちょっと多すぎるような気もする。
日々の食事におけるマグネシウム含有食品の摂取が少ないなぁと思ったタイミングで補助的に飲むぐらいがいいかもしれない。
いろいろ試してみてください。

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Filed Under: health, nutrition, Sports & Athletes, training Tagged With: スポーツ栄養学, 筋肉

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