乳がんは世界中の女性において最も一般的な悪性腫瘍であり、がん関連死亡の主因であることから、腫瘍増殖を抑制する可能性のある戦略として、食事による栄養補給(サプリメンテーション)が調査されている。
リンクの系統的レビューおよびメタ解析は、Walker-256癌モデルラットにおける様々な栄養サプリメントの腫瘍増殖への影響について、現在のエビデンスを収集・批判的に分析し、この分野における前臨床的知識を強化することを目的としたもの。
【結果】
高い不均一性が見られたものの、全体的な効果としてサプリメント摂取による有意な腫瘍増殖の抑制が示された。
油脂類が最大の効果を発揮しており、特に魚油とサメ肝油の影響が顕著だった。
次いでアミノ酸やリノール酸を豊富に含むサプリメントが続いた。
【結論】
本レビューおよびメタ解析は、食事によるサプリメント(魚油、サメ肝油、サチャインチ油(インカナッツ油)、γ-リノレン酸、大豆油、ヒマワリ油、タラ肝油、ロイシン、およびグルタミンが、Walker-256癌モデルラットにおいて腫瘍増殖を有意に抑制する可能性を示唆している。
・n-3系多価不飽和脂肪酸(EPAおよびDHA)を豊富に含む魚油(フィッシュオイル)は、腫瘍増殖の抑制において最も一貫した効果を示した。7研究が統計的有意な差を伴う42%以上の腫瘍体積減少を報告し、乳がん治療の補助剤としての可能性が示唆された。
なお、魚油とヒマワリ油を組み合わせると抑制効果が維持されるにとどまったが、それぞれ単独では腫瘍増殖抑制効果を示したことから、両者の間に負の相互作用がある可能性がある。
・アルキルグリセロールを豊富に含むサメ肝油も正の効果を示したが、魚油ほど顕著ではなく、両者の併用による相加効果も認められなかった。これらのオイルが腫瘍増殖に及ぼす影響は、腫瘍細胞の増殖抑制、アポトーシスの増加、および腫瘍細胞内における脂質過酸化の増強に関連している。
・リノール酸を豊富に含む植物油のうち、大豆油とヒマワリ油は類似した特性を持ち、組成の50%以上をリノール酸が占める。対照的に、プルケネティア・ボルビリス(インカナッツ)油は約35%のリノール酸と44%のα-リノレン酸(ALA)を含んでいる。この群の他のサプリメントにはALAが高濃度で含まれていないことが、インカナッツ油のより顕著な保護効果を説明している可能性がある。また、リノール酸誘導体であるγ-リノレン酸も有意な保護効果を示した。これは、腫瘍細胞の細胞質における代謝不全なアシルCoAの蓄積に関連している可能性があり、この蓄積がミトコンドリアの組成、膜電位、および微細構造の変化と相まって、アポトーシスを促進すると考えられる。
・アミノ酸の中では、ロイシンが主に研究対象となり、その抗腫瘍効果のメカニズムとして腫瘍細胞の代謝を調節し、好気的解糖よりも酸化リン酸化を優先させることで、腫瘍細胞によるグルコース消費を抑制することが提案されている。
・・・あくまで癌ラットモデルの研究ですが、Walker-256モデルにおける栄養補給の影響を包括的に評価した初の研究であり、非常に興味深い結果。
臨床現場への応用可能性を判断するにはさらなる研究が必要ですが、乳がん治療中の方は頭の片隅に置いていただいて、さらなるデータ収集の参考にされてはいかがでしょうか。