近年、世界的に過体重及び肥満が深刻な問題になっている。
特に女性においては、BMIが高いことは身体的不満(否定的評価を恐れる)につながる。理想的な身体イメージと現実の身体イメージの乖離は自分の身体的不満につながり、そういった感情的問題は精神状態のさらなる悪化(うつ病や不安障害)につながる可能性があることから、過体重とうつ病や不安障害の関連性は世界的に大きなテーマとなっている。
肥満もうつ病も、患者のQOLを著しく低下させて死亡率を高める一因となるが、ダイエット、メンタルヘルス、ストレスの関連性は完全には解明されていない。
リンクの研究は、ポーランド人女性における身体イメージとメンタルヘルスの変化、および使用した減量方法(食事と身体活動の種類)を評価することを目的としたもの。
122人の女性を対象とした比較研究。
食事療法の効果は身体活動と組み合わせた食事療法の効果と比較。
研究期間は4年間。
【結果】
ダイエットをした女性と、ダイエットと運動を併用した女性で、身体イメージ、一般的なメンタルヘルス指数、BMIの変化がみられた。
食事療法と運動療法を併用した女性では、食事療法のみを併用した女性と比較して、性的魅力、身体状態、体重コントロールに対する満足度の評価と精神状態おけるより大きな肯定的変化と、身体イメージにおけるより強い肯定的変化が観察された。
【結論】
量的分析の結果、過体重を減らす前に検査を受けた女性は、体格異常(BMI)が高く、精神状態の問題レベルが高く、身体的評価が劣っているという特徴があった。
体重だけに注目するのではなく、適切な身体的・心理社会的機能を確保するために、運動と食事療法を重視することが非常に重要である。
しかし、多くの研究が示すように現代社会の人々の行動は驚くほど健康に見合っていないものになっている。
Mental Health and Body Image and the Reduction of Excess Body Weight in Woman (Polish Sample)
・一般的なメンタルヘルス指数の改善は他の研究結果とも一致しており、標準体重になった後、精神状態に有意な改善が見られた。減量後の自分の身体に対する満足度の向上は、新しい体重に正しく適応するための決定要因のひとつである。
・食事療法と運動療法によって過剰な体重を減らした女性と、短期間で体重を減らした女性では、身体評価と精神的健康度に有意な差があることが示されている。食事療法と身体活動療法を行なった女性たちは、短期間で体重を減らした女性たちよりも精神衛生上の問題が有意に少なく、性的魅力、体調、体重管理の自己評価も高かった。
・現在の研究によれば、最も効果的な減量法は身体活動を増やしながらの食事療法である。
正しい減量法を行う女性は機能的にもはるかに優れている。従って、特に若い女性に対してこの点に関する認識を高めることが必要。
・超加工食品やファストフードの消費、絶食や特定の食品群を除いた食事を交互に行うことは低体重の達成にはつながるかもしれないが、身体的・心理的健康には良くない。
・肥満手術の心理的影響に関するいくつかの研究では、患者が自分の身体に対する心理的イメージの処理に困難を抱える可能性とプライドの低下、深刻なうつ症状が示された。過度な割合の体重減少後の身体とイメージの変化に適応することの難しさと、減量後の社会的評価の急激な変化に対する期待や恐怖に関係していると考えられる。精神的な身体イメージの改善は徐々に進むものであり、急激な変化はトラウマになりかねない。
以上の結果から、心身ともに健康に減量するためには適切な栄養管理メソッドが非常に重要であることがわかるだろう。
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