今回ご紹介するデータはHIFTが対象になっていますが、広く様々な競技のアスリート(特にバスケやバレーボールなど)ジャンプ動作を伴う競技にも参考になると思うのでまとめてみたいと思います。
HIFTといえば、当院にスポーツ障害のご相談でお越しになる方の原因にHIFTやHIIT中の受傷が高確率で入ってます。確かに効果はあるんでしょうが、それなりの準備もできていない人にいきなりHIFTやHIITを勧めるトレーナーさん達はR/Rについてちゃんと考えてるんですかね?
良かれと思って始めたトレーニングで思わぬ怪我を負い、がっかりしている方を見ると罪深いトレーナーが多いなぁと思わざるを得ない。
さて、話が脱線しましたが、今回のテーマは非必須アミノ酸の一つであるβ-アラニン。
β-アラニンはカルノシン合成に関与することから筋パフォーマンスにとって重要と考えられている。少しでもより良い筋機能を競技毎に発揮したいと願うのは、全アスリート共通の願いだろう。
リンクの研究は、高強度ファンクショナルトレーニング(HIFT)に取り組む個人の神経筋疲労に対する4週間のβ-アラニン補給の影響と、その後のスポーツパフォーマンスへの影響を、中枢神経系からの中枢疲労と筋系からの末梢疲労を区別したもの。
27名の被験者を2グループに分け、A群(対照群)にはショ糖粉末を、B群(実験群)にはβ-アラニン粉末を4週間投与した。その間、両群とも高強度インターバルトレーニング(HIFT)に参加してVO2最大値に近い負荷をかけ、疲労を誘発した。
【結果】
β-アラニンを補給したグループでのみ、スポーツパフォーマンス変数、特にジャンプ高と跳躍力に統計学的に有意な変化がみられた。
もかかわらず、疲労、運動の代謝強度、知覚強度を含む他の変数には変化は観察されなかった。
Effects of β-Alanine Supplementation on Subjects Performing High-Intensity Functional Training
・統計的有意差が認められたのは、ジャンプの高さに関する変数のみだった。運動の代謝強度に関しては、統計的に有意ではないが改善傾向が認められた。これらの変化は、β-アラニンを補給したグループでのみ観察された。プラセボ群では、測定されたどの変数にも有意な変化は観察されなかった。
・HIFTおよびその他の代謝強度の高い運動ではエネルギー基質が著しく消費され、嫌気性解糖を含む補助代謝経路が利用される。この経路の活性化は乳酸や水素イオンなどの代謝性老廃物の蓄積につながり、特に運動強度が有酸素性除去能力を上回った場合、細胞内pHを低下させる。代謝産老廃物の蓄積は筋収縮障害をもたらすことで筋力低下を招き、疲労発生の一因となる。
・4週間のトレーニング期間後、β-アラニンを補給グループでジャンプ高が改善し、ジャンプ力が向上する傾向が見られた。この改善はβ-アラニンの抗酸化作用、糖化抑制への関与、カルノシン生成との関連が考えられる。これらの効果は代謝老廃物の蓄積によって生じるpHの低下を緩衝する役割を果たし、筋パフォーマンスを向上させる可能性がある。その結果、β-アラニン補給グループは、実施したトレーニング中により大きな負荷、量、強度を蓄積することができたと考えられる。
・上記の改善は、全ての被験者が少なくとも週に3日はトレーニングを行っていたため、試験期間に被験者に生じた生理学的適応によるものであると考えられる。
・他の研究でも、β-アラニン補給は間接的にパフォーマンスを向上させる可能性があると報告されている。3.2g/日のβ-アラニンを10.5g/日のクレアチンとともに10週間摂取したところ、筋力トレーニングの実施量と強度、脂肪減少にプラスの効果が認められている。
・介入4週間後に知覚的労作に変化は観察されなかった。しかし、運動の代謝強度という客観的変数に関して、サプリメント摂取グループでのみ減少を示す傾向があった。これは、特にHIFTタイプの運動に対する代謝適応が優れていることを示している可能性がある。観察された乳酸レベルの低下は、β-アラニン補給群で観察されたジャンプ高のパフォーマンス向上とジャンプ力の上昇の軌跡を説明することができる。
・・こういうちょっとしたデータが後々栄養戦略を練る上で鍵になったりするので、私は好物なんですが皆さんいかがでしたか?
もっと〇〇は××に効く!!みたいな内容の方がいいですかね。
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