今回のメモはまぁまぁ珍しい(?)パワーリフターの前皮神経絞扼症候群(ACNES)のケースをまとめてみたい。
患者さんは50代男性、パワーリフティングと空手をガチで追求し、休日はサイクリングを数時間行う米海兵隊も真っ青のハードコアアスリート。
主訴は腹部の鋭い圧痛。消化器系には問題なく、T-10前皮神経でCarnett’s sign陽性…..
ACNESは腹部の前皮神経が筋膜や結合組織に圧迫されることで生じる、局所的な鋭い痛みを発する神経症状で、適切な診断と治療が行われればほとんどの患者は改善する。
今回担当させていただいたケースは、おそらくパワーベルトによる前皮神経の圧迫が原因と考えられる。


一般にACNESは前皮神経が腹直筋を貫通して皮膚に向かう経路において、筋膜や線維性組織に圧迫されることで発症する。圧迫の原因には
- 手術後の瘢痕形成
- 筋膜肥厚
- 急激な体重減少や筋肉の過緊張
- 外傷や圧迫ストレス
がある。症状は主に鋭い局所的な鋭い腹痛(圧痛点あり)で動作および姿勢の変化で痛みが増悪する。ACNESは消化器疾患と誤診されることが多いことから、適切な診断が必要な点は注意が必要。今回の患者さんも、医療機関では急性腸炎を疑ったとのこと。
当院での治療後はほぼ違和感なしで終了。その後のトレーニング時の痛みに関しては後日チェックさせていただく。
そういえば…….先日書いたメモ↓
女性の胸部痛のケースでもベルトによる圧迫はあり得るなと。

胃腸の精密検査で異常がないのに、胸部痛や腹痛がある方は一度ご相談ください。