世界的な自然閉経の平均年齢(ANM)は通常48歳から52歳とされ、閉経移行期は女性に長期的な健康上の大きな影響を与える。
45歳以前に起こる閉経、いわゆる早期閉経は骨粗しょう症、心血管疾患、2型糖尿病、うつ病、および総死亡率の高リスクと関連する。一方で、55歳以降の閉経、いわゆる晩期閉経は乳房、子宮内膜、および卵巣がんを含むホルモン依存性のがんに対する脆弱性の増加と関連する。
近年、世界的に女性の栄養補助食品摂取が一般的となっており、女性の40%から50%がオメガ3脂肪酸、B-complex、ビタミンA、C、E、セレン、亜鉛、およびマルチビタミン・マルチミネラル製剤を定期的に使用していると報告している。
これらのサプリメントは酸化ストレスと全身性炎症の軽減、卵胞刺激ホルモン(FSH)やエストラジオールといった重要生殖ホルモンの調節、そして卵巣の老化に関わるミトコンドリア機能とDNA修復メカニズムのサポートといった複数の経路を通じて、閉経タイミングに影響を与えると考えられる。
食事因子に加えて、様々な生活習慣の決定因子もANMに大きく影響する。
喫煙期間、アルコール摂取、身体活動、および教育水準から推測される社会経済的地位といった変数は、閉経タイミングを修正することに関与している。
しかし、サプリメントの使用とこれらの生活習慣変数の両方を統合する包括的な研究は少ない。
リンクの研究は、1990年代半ばの大規模前向きコホート研究である英国女性コホート研究(UKWCS)のデータを使用し、習慣的な栄養補助食品の使用、生活習慣変数、および自然閉経の年齢との関連を調べたもの。
非線形性と予測因子間の相互作用を考慮するために、伝統的なCox比例ハザードモデル、勾配ブースティングマシン(GBM)分析という革新的機械学習技術の両方を適用。
3566名の参加者データを調査し、栄養補助食品のベースラインでの使用と生活習慣を評価。
【結果】
魚油、B-complex、抗酸化物質混合物、およびビタミンCの使用はANMの遅延と関連しており、すべてのp値は0.05未満だった。葉酸は有意に近かった(HR 0.81; p = 0.059)。GBM分析は、赤身肉の摂取、BMI、教育レベル、喫煙期間、および魚の摂取が重要な指標であることを浮き彫りにした。
【結論】
魚油(オメガ3脂肪酸)、ビタミンB複合体、抗酸化物質混合物、ビタミンCといった特定の栄養補助食品を定期的に摂取することと、英国女性集団における自然閉経の開始が遅いことは関連していた。
対照的に、喫煙、赤身肉の過剰摂取、低学歴といった因子は閉経の早期開始と関連していた。
これらの発見は、修正可能な生活習慣や栄養因子が生殖器の老化において重要な役割を果たすというエビデンスを補強するもの。
・閉経前の魚油、ビタミンB複合体、抗酸化物質混合物、およびビタミンCのサプリメント摂取と、自然閉経年齢の遅延との間に有意な関連性が確認された。特に魚油の使用は早期閉経発症のリスクが95%低いことと関連していた。B複合体と抗酸化物質サプリメントも保護的な効果を示した。この知見は酸化ストレスと炎症の緩和、卵胞刺激ホルモンとエストラジオールレベルの調節、ミトコンドリア機能とDNA修復プロセスの強化という生物学的メカニズムによって裏付けられている。一方で、赤身肉の摂取量が多いこと、喫煙期間が長いこと、そして教育水準が低いことは閉経の早期発症と関連していた。
・上記の結果は、オメガ3脂肪酸摂取量の増加が閉経遅延と関連していることを特定した過去の研究と一致しており、魚油の抗炎症効果を示唆している。また、カロテノイドが豊富な緑黄色野菜を多く摂取する女性で自然閉経年齢が遅いことを示した日本の研究とも一致している。
加工肉や赤身肉摂取と早期閉経との関連は、特定の種類の肉が持つ生殖に対する有害な影響を強調したNurses’ Health Study IIのデータと一致している。
・最近の研究では、閉経期の健康管理における女性のマイクロバイオームとプロバイオティクス介入の重要性が強調されている。既存文献では、プロバイオティクスが閉経期の泌尿生殖器症候群やその他の閉経期症状を緩和するのに有益である可能性を示唆している。プロバイオティクスは全身性および局所的な炎症を調節してエストロゲン代謝に影響を与える可能性があり、卵巣老化と閉経のタイミングに影響を与える可能性がある。
・・・膣内マイクロバイオームと女性の生理機能の関連性を示す研究は、多くはないものの毎年発表される興味深い研究分野。どの細菌群をサプリで摂取していいかわからないという方は、まずは腸ー膣軸、腸ー子宮軸の県情勢を維持するためにプレバイオティクスを積極的に摂取してみてはいかがでしょうか?