コロナパンデミックは急性感染から回復した後も身体的な後遺症に加え、心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病、不安、強迫症状など、長期にわたる精神症状を引き起こして精神衛生に大きな打撃を与えている。
したがって、心身両面の健康を改善する効果的な治療法として、運動と食事を組み合わせた多要素型の生活習慣への介入が必要であることは明らか。
運動が精神的・身体的な健康にもたらす効果はますます認識されており、結果として罹患率および死亡率を大幅に減少させる。
一方で、後遺症に悩む患者の不安や抑うつをコントロールするための運動の有効性を検討した研究は不足している。
リンクのレビューは、慢性疾患に続発する不安およびうつ症状の治療法としての運動に関するエビデンスを要約し、Covid19後遺症に苦しむ個人にも適応する可能性を示すことを目的としたもの。
同定された2161件のRCT15件中8件が含まれた。
運動は、対照的な介入と比較してより大きなうつ病および不安症状の改善と関連していた。
監視付きの運動プログラムは、慢性疾患を持つ個人の不安やうつ病の症状に対して有効だった。
・Covid-19パンデミックは精神障害を増加させた。
・不安またはうつ病の一次または二次症状を有する対象者は、監督付き運動プログラムが有効
・Covid-19の後遺症がある患者には、監督付きの運動ベースリハビリテーションプログラムが有効
・成人および高齢者集団におけるうつ病と不安に対する運動に関する利用可能なエビデンスを評価し統合した。
運動は不安とうつ病の重症度の軽減において対照的な介入よりも効果的であり、新型コロナ後遺症患者にとって有益な戦略となる可能性がある。
・身体運動の実践は免疫系の調節因子として作用し、運動中およびその後に炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインが放出され、リンパ球の循環が増加し、細胞リクルートメントも増加する。
・このレビューは、運動が脳内で多数の相互依存的変化をもたらし、うつ病に対して保護的な環境を作り出すことを示唆した。
・レビューに含まれる8研究の分析では、不安やうつ病の一次症状、または他の慢性疾患による二次症状を持つ人が、監視付きの運動プログラムを行うことで従来の治療に基づく介入や運動をしない場合と比較して、精神衛生状態が有意に改善されることが示唆された。
うつ症状に対する最大効果は、産後うつの女性に対する研究で観察された。
・特に、うつ病と診断された集団に対して運動を実施した場合、うつ病症状のコントロールと軽減において運動効果がより大きいことが示唆された。
・不安症状について、対照と比較して介入群で不安症状の改善を示さなかった唯一のRCTは、在宅での歩行プロトコルが用いられた研究であった。
・レビューで得られた上記の結果は、抑うつ症状と主な介入として用いられた運動との関連を検討した過去のレビューと一致する。同様の結果は不安障害に関しても観察され、不安障害の治療における運動ベース介入の有効性が実証されている。