足関節骨折は成人に多く、年間発生率は10万人あたり122人から187人程度とされている。この割合は運動競技に参加する人の増加と高齢者人口の増加によって、さらに増加すると予想されている。
足関節骨折の分類は困難で周辺の軟部組織損傷の重症度に基づいて2つのカテゴリーに分けられている。安定型足関節骨折は足関節の完全性と安定性を維持しながら腓骨骨折を伴う状態を指す。安定型足関節骨折はしばしば非外科的に管理され、足関節骨折の全症例の約半分を占める。一方で脱臼や距骨変位を伴う内果単独骨折、二果骨折および三果骨折を含む不安定足関節骨折は適切な治癒と機能性を確保するために外科的介入を必要とする。
足関節骨折からの回復には適切な関節再建が不可欠である一方、骨折後のリハビリプロトコルは依然として議論の的になっている。
一般的なリハビリプロトコルでは6週間に及ぶギプスまたは装具による固定を推奨しており、この間体重負荷は厳禁とされている。長期固定の理論的根拠は主に安全性を重視したもので、早期の可動化は骨折転位やその他の関連合併症リスクを高めると考えられている。
しかし一方で、体重負荷を実施した場合の方が改善するケース、または有意差がないことを示すデータもあることから、足関節骨折後の早期体重負荷という概念がますます注目を集めている。
制御された機械的負荷はメカノトランスダクションを介して骨癒合を刺激し、血流を増加させることで筋萎縮を予防する可能性がある。早期体重負荷による生理学的利点には、骨芽細胞活性の促進、仮骨形成および骨折部位のリモデリングの促進などがある。また、筋拘縮や筋萎縮、骨粗鬆症などの不動化による合併症の予防にも役立つ。
上記のような知見がある一方で、足関節骨折のフォローアップケアに関するコンセンサスは未だ欠如しており、臨床的課題を提示している。
リンクのメタ解析は、最適なリハビリテーションプロトコルに関するエビデンスに基づいた推奨を提供するために、足関節骨折後の体重負荷と非体重負荷の利点を機能回復と生活の質の結果に焦点を当てて評価したもの。
PRISMAガイドラインとPICOS戦略に従い複数のデータベース(PubMed、Embase、Scopus、Cochrane Library)を横断してメタ分析を実施。
【結果】
11件の研究(n =939)が体重負荷による良好な結果を示した。6週、3ヶ月、12ヶ月の時点で有意な機能改善が観察された。RANDスコアは、6週と12ヶ月の時点で体重負荷群を支持したが、3ヶ月では有意差は認められなかった。
【結論】
足関節骨折の荷重負荷と非荷重負荷管理について厳密な分析を行った結果、荷重負荷群において足関節機能と生活の質に統計的有意な改善が示された。この差は顕著であり、12ヶ月間の追跡期間を通して維持された。この結果は、足関節骨折治療における荷重負荷プロトコルの潜在的な利点が強調している。荷重負荷プロトコルを実施することで機能回復が迅速化され、患者の生活の質が向上し、リハビリテーション期間の延長や職場復帰の遅延に関連する医療費を削減できる可能性がある。
・これまで足関節骨折手術後の体重負荷は骨折転位、インプラントの破損や整復の喪失などの理論上のリスクに関連付けられていたが、検体研究では体重負荷ストレス下での骨折転位は1mm未満であることがわかった。この結果は外科的に治療された足関節骨折で体重負荷を実施しても、インプラント破損や整復の喪失がないことを裏付けている。
・体重負荷は損傷した関節の可動域をより早く回復させ、リハビリテーションを迅速化するのに役立つ可能性がある。コクランレビューでは体重負荷は活動制限と痛みを軽減する可能性があることも示唆されている。生活の質に関しては、体重負荷により受傷前の活動へのより早期の復帰が可能になる可能性がある。
・体重負荷は、骨盤骨折など他の病状の術後治療としても提案されている。また、下肢骨折後の早期体重負荷開始の潜在的な利点は数十年前から認識されている。大腿骨頸部骨折の外科的固定後の早期体重負荷を提唱する研究や、脛骨骨折の保存的治療後6週間以内に体重負荷を行うことで合併症なしに骨癒合が速まることを発見した研究もあり、様々なエビデンスが大腿骨頸部骨折、大腿骨骨折、足関節骨折およびSchatzker I–III plateau骨折など様々な下肢骨折の外科的固定後の体重負荷を支持している。
・体重負荷は外部固定、プレートおよびスクリューで治療された脛骨幹骨折にも推奨されている。ある研究では、明らかな危険因子を持たない患者において体重負荷がより速い治癒と合併症の全体的な発生率の低下につながる可能性があると結論。
リハビリについて迷っている方の参考になれば幸いです。