果物・野菜(FV)の摂取は心血管疾患やがん予防、肥満の抑制など多くの健康上の利点と関連している。
またFVの摂取は、妊娠中の食事のベースとも考えられている。FV摂取量が多いほど妊娠中過体重増、妊娠糖尿病、早産などのリスクが低下することが過去の研究で示されている。さらに高繊維食(通常、適切なFV摂取を含む)が妊娠糖尿病発症リスクを大幅に低減することも明らかになっている。
しかし現在の妊婦のFV摂取状況についての知見は限られており、既存研究のほとんどが自己申告によるFV摂取データに基づいている。したがって、妊婦のFV摂取状況をより正確に把握するためには、過去2〜3か月のFV摂取状況を反映する「皮膚カロテノイドの測定」など革新的で高度な評価手法を活用すること必要。
リンクの研究は、妊娠中の食行動と皮膚カロテノイド(FV摂取バイオマーカー)の関連を検討し、抑うつ症状および収入がこの関連に及ぼす調整効果を分析したアメリカの研究。
【結果】
食事制限と抑うつ症状には相互作用が見られた。 具体的には、抑うつ症状が低い場合は食事制限の強度が強いほど皮膚カロテノイドのレベルが高かったが、抑うつ症状が高い場合はこの相関は見られなかった。
食事制限と家計収入にも相互作用が見られた。 収入が高い場合、食事制限が皮膚カロテノイドレベルを高めるのに有意な影響を与えたが、収入が低い場合はこの相関は見られなかった。
外発反応的食行動(匂いや見た目など外部の刺激によって食べること)や感情的な食行動(ストレスや感情によって食べること)は、皮膚カロテノイドのレベルを予測しなかった。
【結論】
FVが豊富な食事は母体と胎児の両方の妊娠転帰を最適化するのに役立つ。
注目すべきは、高制限食がより良いFV摂取状態と関連していたこと。特に妊娠中はホルモンの変化により高糖質や高脂肪食品への欲求が高まり、それが妊娠中のFV摂取を減らす可能性がある。FVの高摂取は栄養内容に気を付けたり、高エネルギー密度食品をFVに置き換えたりすることで実現できるが、一方で妊婦が抑うつ症状のレベルが高かったり、低所得家庭に住んでいるなど追加の障壁を抱えている場合ははるかに困難であることも示された。
・感情的な食行動や外発反応的食行動と皮膚カロテノイドの関連は見られなかったが、食事制限は妊婦のFV摂取状況と重要な関連性を持つことが明らかになった。
・「より強度の強い食事制限が高FV摂取と関連する」という結果は、「成功した/適度な」食事制限が食事の質向上と関連することを示した先行研究と一致。 例えば食事制限のレベルが高い妊婦は総添加糖摂取量が少なく、脂質由来エネルギー摂取が低いことが報告されている。また食事制限のレベルが高い妊婦は、栄養価の低い食品の代わりにFVを積極摂取することで健康的な食事パターンを維持できている可能性が示唆されている。
・食事制限が皮膚カロテノイドに与える肯定的影響は、高所得家庭に住む妊婦にのみで見られた点は重要。低所得家庭はFV摂取機会に悪影響を及ぼすさまざまな財政的、環境的、社会的障壁に直面しているため、食事制限を強化するだけではFV摂取量を増加させるのに十分ではない。低社会経済的地位はFV摂取に対する重要障壁として長年認識されている。
月ごとのFV処方箋の提供と低所得妊婦への栄養教育を行った結果、参加者はFV処方箋を積極的に利用し、プログラムの価値を高く評価し、栄養情報を受け取ったり食事や買い物習慣について話す機会を大切にしていることが分かった。FVアクセスや利用可能性に関連する問題を解決するための革新的な介入が今後も必要。
・食事制限が皮膚カロテノイドに与える影響は抑うつ症状が少ない女性で顕著だった。 過去の研究では、抑うつ症状がエネルギー低下や健康的な生活習慣を選択する意欲の低下と関連していることが示されており、特に妊娠に伴う変化やストレス増加中は精神的な健康問題を抱える女性がFV摂取や健康的な食事計画など健康促進行動に従事することが難しくなる可能性が高い。年、妊婦を含む精神問題の増加傾向が明らかになっており、精神的健康が妊婦のFV摂取に影響を与え、それが妊娠転帰に直接的影響を与える可能性がある。
・抑うつ症状が少ない妊婦で、食事制限の増加が皮膚カロテノイドの増加と関連していることが示された。この結果は「成功した」食事制限が過度のカロリー摂取の抑制、不健康食品の間食頻度の低下、妊婦における糖分や脂質由来エネルギーの摂取量の低下と関連しているという先行研究の結果を補強している。
・試験前の仮説とは異なり、感情的な食行動や外発反応的食行動は妊婦の皮膚カロテノイドのレベルと関連しなかった。特に感情的な食行動については驚くべき結果だった。感情的な食行動を取る人々は栄養価の低い食品(ジャンクフードなど)を多く摂取する傾向があり、これがFV(果物と野菜)の摂取に取って代わる可能性があることから関係が見られると予想していた。感情的および外発反応的食行動の影響は健康的な食品(FVなど)の摂取量が減少することよりも、むしろ不健康な栄養素やエネルギーの過剰摂取に表れることが多いようだ。これ、感情的食行動や外発反応的食行動と肥満の関連を示した先行研究の結果とも一致する。
・・・ここ最近の日本の食料インフレが、妊婦さんとご子孫の妊娠転帰に重大な影響を与えないことを祈るばかりです。日本人の主食であるコメに関しては、農水省の発表に重大な疑義が見つかったことが報道されました。少子化の日本において、妊娠適齢期の女性と幼児の食料確保が難しい状況というのは致命的だと思いますが、それでも怒らない日本人。悪いのは国民なのか、官僚なのか?皆さんのご意見聞かせてください。
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産後ダイエット、体質管理にも非常に有益な内容になっています。
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