高齢者の失明の原因としなる加齢黄斑変性症(AMD)は、サプリメントの摂取で進行を遅らせることができることが研究(AREDSおよびAREDS2)で明らかになった。
JAMA Ophthalmology誌掲載。米国国立衛生研究所の資金提供による研究報告。
Benefit of supplements for slowing age-related macular degeneration
10年分のAREDS2のデータの分析の結果、β-カロテンの代わりに抗酸化物質のルテインとゼアキサンチンの処方は、β-カロテンによる肺がんリスクを低減するだけでなく、AMDの進行リスク低減にも効果的であることが示された。
2006年に開始されたAREDS2では、研究者はβカロチン製剤の代わりにルテイン10mgとゼアキサンチン2mgを配合した製剤を比較。ルテインとゼアキサンチンはβカロテン同様、網膜で活性を持つ抗酸化物質。
βカロテン配合の製剤は、タバコを吸ったことがない人、または禁煙した人にのみ投与。
「NIHが支援した2つの研究で、ベータカロチンが進行形の喫煙者の肺がんリスクを増加させたため、喫煙の有無にかかわらず誰でも使用できる効果的なサプリメント処方を作ることがAREDS2の目的でした」
5年間のAREDS2試験で、ルテインとゼアキサンチンは肺がんリスクを増加させずAMDの進行リスクを約26%減少させると結論付けた。
参加者4,203人のうち3,883人をAREDS2研究終了から5年間追跡調査した結果、参加者全員がルテインとゼアキサンチンを含む処方に切り替えたにもかかわらず、喫煙経験のある人の肺がんリスクがベータカロテンによって約2倍に増加することが示された。
ルテイン/ゼアキサンチン投与群では、肺がんリスクの上昇は見られなかった。
10年後時点において、ルテイン/ゼアキサンチン投与群はβカロチン投与群に比べ、後期AMDへの進行リスクがさらに20%低減していた。