ワクチンの普及によりコロナの重症者数と死者数が減少していることからワクチンの効果が明確になりつつあるが、それでも短期間で完成し、臨床試験のデータも少ないワクチンに一抹の不安を抱く人が多いのも仕方がないだろう。
特に妊娠中や授乳中に方であれば当然だと思う。
ご紹介するのは、妊娠中および授乳中の女性に対するCOVID-19ワクチン接種の有効性と安全性の概要ガイドラインを交えてまとめたレビュー。
COVID-19 Vaccine in Pregnant and Lactating Women: A Review of Existing Evidence and Practice Guidelines
・妊娠中の女性は非妊娠中の女性に比べてCOVID-19による重症化のリスクが高いにもかかわらず、COVID-19ワクチンの臨床試験から除外されている。現在、COVID-19に対する新しい薬やワクチンを検討している臨床試験は300件以上あるが、これらの試験のすべてから妊婦は除外されている。しかし、Pfizer と(妊娠23回)とModerna(妊娠12回)は、少数の参加者が試験中に誤って妊娠したと報告している。
・ファイザー社は、妊娠中の女性を対象にCOVID-19ワクチンの安全性などを評価する試験を発表した。この試験は無作為化、プラセボ対照、観察者盲検試験で、4000人の健康な女性が妊娠24週から34週の間にワクチンを接種する予定。
・米国疾病予防管理センター(CDC)がこれまでに収集したデータには5万人以上の妊婦が含まれており、ワクチンに関連する重篤な有害事象は見られなかった。イギリスも同様のデータ収集を行っており、COVID-19ワクチン接種に関連する安全性の懸念はないという同様の結果を示している。
・COVID-19を患っている妊娠中の女性は、COVID-19を持たない妊娠中の女性と比較して、重症化と早産のリスクが高くなる。Pfizer、BioNTech,、Moderna、 Janssenの動物試験のデータでは、女性の生殖、受胎能力、胎児や胚、出生後の発育、流産などへの有害な影響はなく、安全性の懸念は確認されなかった。
・いくつかの研究では、COVID-19に感染した母親の母乳にウイルスRNAが含まれ、垂直感染のリスクが2~3%と小さいことが示されている。131名のワクチン接種者(妊娠中84名、授乳中31名、非妊娠中16名)を対象とした研究において、mRNACOVID-19ワクチンは妊娠中および授乳中の女性において強固な免疫を生成し、免疫原性および反応原性は非妊娠中の女性で観察されたものと同様であったと報告している。さらに、胎盤や母乳を介して新生児に保護免疫グロブリンが移行することも報告している。
多くの専門家がワクチンで刺激された免疫グロブリンは母乳を通過し、乳児にCOVID-19に対する保護効果を与える可能性を示唆しているが、ワクチン接種後2日以内に採取した母乳サンプルにワクチンのmRNAが含まれていたという証拠は見つからなかったとする研究もあり、データにばらつきがある。
・COVID-19ワクチンの女性や男性の生殖能力への悪影響を及ぼす証拠は見つかっていない。
・限られたデータに基づき、米国疾病予防管理センター(CDC)および予防接種実施諮問委員会(ACIP)、米国産科婦人科学会(ACOG)、米国小児科学会(AAP)は、妊娠中の人もワクチン接種を控えるべきではないというガイダンスを発表している。