診断されていない潜在的ADHD患者さんが増えているような増えていないような・・・
皆さんの周りを見渡してみていかがお感じになりますか?
注意欠陥多動性障害(ADHD)は小児期に発症し成人期まで継続し、3つの臨床型
・主に不注意症状を示す病型、
・主に多動性・衝動性症状を示す病型
・混合型(すなわち、不注意症状と多動性・衝動性症状の両方を示す病型)
を示す。
小児期にADHDと診断される男の子と女の子の比率は約3:1だが、成人期にその比率は約2:1から1:1になる。
ADHD症状の現れ方の性差は有病率の差に寄与すると考えられている。男性は主に多動性・衝動性または混合型の症状を示す可能性が高く、女性は主に不注意症状を示す可能性が高い。
不注意症状は多動性・衝動性症状と比較して目立ちにくく、診断されにくい。したがって有病率の違いは女性の過小診断を反映している可能性があり、ADHDは少なくとも男性と女性に等しく影響を与える可能性がある。
現在、ADHDの単一の既知の病因はわかっていないが、出生前および周産期要因、社会経済的要因、遺伝的素因などを含むいくつかの危険因子が提唱されている。考えられるメカニズムとして、神経伝達物質ドーパミンの調節の欠損が関与していると考えられている。ドーパミンは精神活動と実行機能に関与しており、これらの機能はADHDで特徴的に障害されている。
鉄欠乏もADHDの発症の潜在的危険因子として提唱されている。
乳児、子供および女性の鉄欠乏コホートではADHD症状を発症しやすいことが観察されており、ADHDの子供コホートでは鉄欠乏発生率が高いことがわかっている。
また、妊娠中に体内の鉄を貯蔵するタンパク質であるフェリチン値の母体での低下と、出生児が乳児期および小児期にADHD症状を発症するリスク増加との間に潜在的関連性が示唆されている。
鉄は多くの神経認知プロセスに不可欠で、鉄欠乏コホートではうつ病、不安、集中困難、ブレインフォグを含む神経認知症状が頻繁に報告されている。鉄は神経の髄鞘形成、脳への酸素輸送、神経伝達物質合成とトランスポーターの発現に関与しており、後二者はドーパミン合成とドーパミントランスポーター(DAT)の発現を組み込んでいる。そういったメカニズムから、鉄欠乏はADHD症状を引き起こす最も妥当なメカニズムとして提唱されている。
女性は妊娠適齢期に鉄欠乏を発症するリスクが高い
過多月経(HMB)は妊娠適齢期女性における鉄欠乏の最も一般的な原因であり、月経量が多いほど月経ごとに失われる鉄の量がほぼ2倍になる可能性がある。しかし、近年の世論的な月経血に関する議論のタブー視が、HMB診断の律速因子となっている。
鉄欠乏がADHD症状に影響を与えるという仮説が存在するにもかかわらず、鉄欠乏発症の一般的な危険因子であるHMBとADHDの症状との間の潜在的な関連性を探求した研究はない。
リンクの研究は、HMBと鉄欠乏がADHD症状の発達に役割を果たしうるかどうかを検討したもの。
西オーストラリアで18歳から49歳の女性を対象にスクリーニングを行った。ADHDスクリーニングには成人ADHD自己報告尺度V1.1のセクションAと、認知離脱症候群(CDS)症状を評価するための成人集中力インベントリーを用いた。
【結果】
405件の質問票が回収され、平均年齢は24.8±10.1歳、平均Hbは136.8±12.4g/Lで、女性の6.4%が貧血だった。ADHDを示唆する症状は405人中174人(43%!!)の女性で報告され、128人(32%)の女性がHMBを報告した。
ADHDを示唆する症状を経験している女性では、HMBの有病率が高かった。
疲労、めまい、ブレインフォグ、不安、動悸、頭痛、むずむず脚症候群、うつ病の症状は、ADHDを示唆する症状およびHMBを有する患者でより一般的だった。
貧血状態はADHD状態にもCDSスコアにも影響を与えなかった。
【結論】
ADHDを示唆する症状、HMBおよび鉄欠乏で一般に報告される症状を持つ人々の間に明らかな関係が観察された。
・ADHDの症状は妊娠適齢期女性によく見られ、特に若い層はADHDとHMBの症状を報告する傾向が高かった。ADHD症状またはHMBを報告した女性は、鉄欠乏関連症状を経験する割合が高かった。
・遺伝子研究ではADHD症状が一般人口の中で連続体として現れることを支持している。
・ADHD症状が診断基準を満たすほど重症ではなくても、一般人口における症状は依然として調査が必要である。ADHDは女性では診断されることが少ないが、データは月経状態が診断アルゴリズムにおいて適切に質問、認識、または対処されていない可能性があることを強調している。
・妊娠適齢期女性においては、ADHD調査を行う前にHMBと鉄欠乏スクリーニングを実施することは価値がある。なぜなら両方とも診断と治療が容易であり、妊娠適齢期女性における神経症状の潜在的危険因子として見過ごされるべきではないからだ。
・・・鉄の摂取は難しい。難しいと言うのは、鉄の酸化(人体にはよろしくない)能に対しての対処と鉄の種類の選び方や他食材とのマッチング法によって鉄の機能効率がだいぶ変わるから。
特に酸化に対する対処はみなさん間違えないよう十分に情報収集してください。
疲労、ブレインフォグ、不安、うつ病、ADHDでお悩みの方で、栄養に関しては何から手をつければいいかわからないと言う方や、より具体的な栄養戦略をお探しの方は当院の栄養マニュアルのご利用も是非ご検討ください。
Lineまたはメールによるカウンセリングに基づき、皆様の症状や体質に合わせて摂取カロリー数の計算や、食事デザイン、サプリメントの選択、排除すべき食材などを最新データを元にパッケージでデザインし、ご提案いたします。
お気軽にお問い合わせください(お電話、LINE、インスタグラムのメッセージまたは連絡先をご利用いただけます)
