パンデミック禍で急増したのメンタルヘルスを軸とした様々な疾患を支援する社会的処方の一形態として、自然処方が人気を博している。
自然とのふれあいが、社会的、精神的、身体的な健康につながることを示す証拠は過去に数多く示されており、良好な妊娠転帰やメンタルヘルスの改善、高齢者における心代謝疾患や神経変性疾患のリスク低減などがその恩恵に含まれる。
自然処方箋は、公園などの自然の中で週に一定時間を過ごすよう医療従事者が患者に勧めるもので社会的処方と類似している。
社会的処方は、個人が内発的に動機づけられるもの(例えば、音楽グループ、ソーシャルスポーツ、自然保護、ボランティア活動)に基づく新しいケアモデル。
自然処方はこれまで自然の中で過ごすことがなかった人々が、自然の中でより多くの時間を過ごすことができるようにするためのソリューションとして登場し、非伝染性疾患や薬物治療など、従来のヘルスケアを補助するものと認識されている。
自然処方の利点は、社会とのつながりや親環境的行動の増加など臨床的な成果をはるかに超えるもので、メンタルヘルスの問題に対処するために大規模な自然処方プログラムが英国を筆頭に多くの国で実施されている。
リンクのレビューとメタアナリシスは、自然処方の有効性に関するエビデンスを統合し、その成功における重要な要因を明らかにしたもの。
92件の研究を同定し、うち28件の研究がメタアナリシスへデータを提供。
結果
自然処方プログラムは収縮期血圧と拡張期血圧の大きな減少をもたらす。
また、自然処方プログラムはうつ病スコアに対して中程度から大きな効果を示す。
自然処方により、1日の歩数は対称群よりも増加した。
サブグループ分析では、うつ病スコア、毎日の歩数、および1週間の適度な身体活動時間に強い効果が認められた。
自然処方プログラムは、心代謝および精神衛生上の利点と歩行量増加の証拠を示した。
・自然処方は、子どもや高齢者を含むさまざまな年齢層に有効であることが示された。
心血管疾患、筋骨格系疾患、精神疾患など多様な健康状態が対象となる。
メタアナリシスでは、血圧、うつ病や不安症状、身体活動率に効果があることが示された。
・これらのポジティブな効果は、患者とつながりがある専門家によって介入が推奨または組織された研究においてより強くなることが示唆された。
・自然処方プログラムの設計
緑地と青地の両方を含む多様な自然環境において行う。
緑地とは公園や森、丘、農園や庭園、青空間は湖や海での屋外水泳など。
自然処方は参加者の健康状態に合わせてさまざまな活動を使い分ける。例えば、ウォーキングやガーデニングとリラクゼーション活動(例えば、瞑想や呼吸法)を組み合わせたマルチモーダルな介入など。
社会的および地域的サービスも、特に心理的アウトカムについて、参加者に介入を紹介する有効なチャネルとなる。
・自然処方は世界中で人気が高まっている。標準的なケアでは行き届かない健康や社会的ニーズに対応することで患者さんのQOLを補うことが重要なインセンティブとなる。