このデータ読んでてふと、大昔に新潟県で釣りをしてたら地元の漁師さんが、「オキアミを掬って生で食べると鼻血が出るほど元気が出るぞ」と教えてくれたことを思い出した。
さて、筋肥大目的の人も健康維持目的の人の中にも、乳タンパクが体に合わない、または大量に摂取できない方が一定数いらっしゃると思う。
そんな方は大豆プロテインを摂取する前に、オキアミの摂取を選択肢として検討してもいいかもしれない。
ご紹介する研究は、オキアミ蛋白質加水分解物由来のアミノ酸(AA)摂取後のバイオアベイラビリティを、大豆蛋白質およびホエイ蛋白質と比較した小規模試験。
健康な若い男性10名を対象とした、無作為化プラセボ対照クロスオーバー試験である。連続しない4日間、対象者は水または3種類のたんぱく質にマッチしたサプリメント(ホエイたんぱく質、大豆たんぱく質、オキアミたんぱく質加水分解物)のいずれかを摂取。摂取前と摂取後180分以内に血液を採取。
血清中の食後AA濃度は、1H NMR分光法を用いて測定した。空腹感と満腹感は、視覚的アナログスケール(VAS)を用いて評価。
結果:ホエイとオキアミは、摂取後20~60分と20~40分の間に、大豆に比べて有意に高いAA濃度を示した。Area under the curve(AUC)解析で、WHEYおよびSOYプロテインの摂取と比較したところ、オキアミ蛋白質加水分解物はSOYよりも食後のEAAおよびBCAAの濃度が高く、オキアミ、大豆よりもWHEYの摂取後のEAAおよびBCAAの濃度が最も高くなり、食後の血清中EAAおよびBCAA濃度を上昇させるという点で、オキアミタンパク質加水分解物がSOYタンパク質単離物よりも優れていることが示された。
今回のデータは、アミノ酸プロファイルと消化性に関して、ホエイプロテインの栄養学的価値の高さを強調するものとなったと結論。
Krill Protein Hydrolysate Provides High Absorption Rate for All Essential Amino Acids—A Randomized Control Cross-Over Trial
・タンパク質の品質は、アミノ酸(AA)組成とタンパク質消化率に関連する。9種類の必須アミノ酸(EAA)は人間の体内では合成できないため,食事から摂取する必要がある。
ホエイプロテインは、AAの高いバイオアベイラビリティ、EAAプロファイル、ロイシンの高含有量などから筋成長をサポートする点で優れたタンパク源と考えられている。同様に、大豆は植物性の代替品としては最も優れていると考えられているが、ホエイプロテインと比較すると劣っている。さらに、大豆農業は、森林破壊、浸食、農薬の大量使用などの側面から、アジアや南米の環境に壊滅的な影響を与えている。
・オキアミを丸ごと粉砕して製造されるクリルミールはすべてのEAAを含む高品質のタンパク質と、オメガ3系多価不飽和脂肪酸を豊富に含む脂質の組み合わせである。ヒトに対しては、脂質部分のみ(オキアミオイル)およびタンパク質と脂質の混合物(オキアミ粉末/オキアミタンパク質濃縮物)を補給することの有益性が、様々な前臨床試験および臨床試験で検討されている。
・我々の知る限り、オキアミタンパク質を摂取した後の血中AAプロファイルを他のタンパク質源と比較して調査した報告はこれまでにない。
・本研究では、オキアミとWHEYを摂取した後に同等のインスリン増加が観察されたことから、今後の研究では安静時および運動後の筋タンパク質合成率に対するオキアミタンパク質加水分解物の摂取の影響を測定することが興味深いと思われる。
・タンパク質の摂取は食物摂取を調節することが示されており、タンパク質が豊富な食事は、脂肪や炭水化物が豊富な食事よりも満腹感を誘発し、食物摂取を大きく抑制することが示唆されている。本研究では、満腹感と空腹感の違いが試験日中の時間経過とともに観察された。タンパク質の満腹効果のメカニズムは不明瞭だが、提案されているメカニズムの1つでは、血中のAA濃度の上昇が満腹シグナルとして作用することを示唆している。
・他の研究は、高タンパク質含有量(25E%)の食事では、ホエイ、カゼイン、大豆の間で食欲感覚に差がないことを明らかにしている。本研究で満腹感に差がなかったのは、相対的に高タンパク質の投与量が多かったためで、3つのタンパク質源すべてにおいて血中AA濃度が一定の閾値を超えていたため、満腹感を与える効果があったと考えられる。
・この研究では健康な若い男性のみを対象としているため、女性におけるこの介入の効果は不明。