今回のメモは子宮内膜がんリスクに関するイギリスのデータをまとめてみます。
「自分だけは大丈夫」でMetS放置してる方、少なくないんじゃないでしょうか?
メタボリックシンドローム(MetS)は、心血管系疾患や2型糖尿病(T2DM)の危険因子で、中心性肥満、血清トリグリセリド(TG)値上昇、血清HDLコレステロール(HDL)値低下、血圧(BP)上昇、および糖尿病予備軍や糖尿病性血糖値を含む血糖調節障害の組み合わせと定義されている。
MetSの放置は糖尿病やその血管系合併症である虚血性心疾患や脳血管疾患の発症上昇、また大腸がん、閉経後乳がん、腎がん、子宮内膜がん(EC)など多くのがんと関連する。
中でもECはMetSと最も関連性の高い癌の一つとみられており、英国では毎年約10,000例のECが新たに診断されているが、その3分の1は予防可能な肥満による二次的なものと考えられている。
しかし実際の相関に関しては不明瞭なまま。
リンクの研究は、ECリスクとMetS構成要素(炎症、インスリン抵抗性、高脂血症に関連する血清生化学変数を含む)の関連をUK Biobankを用いて調査したもの。
上記の予測因子をBMI値の違いと比較し、副次的アウトカムでは閉経前女性と閉経後女性のサブグループ解析によってMetS要素を有する閉経前女性が、閉経後女性と同様にEC発症のリスクを有するかどうかを明らかにすることを目的としている。
【結果】
英国バイオバンクの女性177,005人が対象。ECを発症した参加者(n=1454)のうち、ウエスト周囲径>80cm、BMI>30kg/m2、高血圧>130/80mmHgはEC発症の有意な予測因子で、ウエスト周囲径が最も強い予測因子だった。
閉経前後サブグループ解析では、閉経前サブグループで高トリグリセリド血症と糖尿病がECの最も強い予測因子で、ウエスト周囲径上昇は有意な予測因子ではなかった。
KM曲線解析で閉経前サブグループのMetSの有無が明確に区別され、閉経前女性肥満におけるMetS検査の有益性が示唆された。
【結論】
この研究は、MetSとその個々の構成要素であるウエスト周囲径、高血圧、高脂血症、糖尿病がEC発症リスクを有意に上昇させることから、これらの指標をECリスク予測因子として使用できるという仮説を支持している。
閉経前においては糖尿病と高脂血症がBMIやウエスト周囲径よりも強い予測因子である。
・ウエストおよびヒップ周囲径の増加、動脈血圧の上昇、脂質プロファイル異常および糖代謝異常はすべて閉経前か閉経後かにかかわらずEC発症リスクの増加と関連することが示された。
・MetSのすべての構成要素はEC発症の有意な独立した予測因子である。これはMetSがEC発症と強く関連しており、閉経前であってもECの予測因子として使用できるという仮説を支持している。
・BMIはEC発症の独立した危険因子として最もよく知られており、プライマリケアにおいて最もよく報告される身体測定値である。
・MetSとがんとの関連を示した研究は複数ある。2022年の解析では、MetSと13のIARC肥満関連癌リスクとの関連が検討され、非MetS成人(18歳以上の全年齢層)とMetS成人におけるがんリスクに関する63研究がプールされた。がんリスクに対する効果推定値は、乳がん1.13-6.73、大腸がんは1.14-2.61、胃がんは1.18-2.50、膵臓がんは1.59-2.13、肝細胞がんは2.13-5.06、子宮内膜がんは1.37-2.20だった。
・体脂肪率はMetS最大の特徴で、インスリン抵抗性や炎症などEC発症に関連する代謝異常と関連している。特に過剰な内臓脂肪組織は皮下脂肪と比較して有害な代謝障害、脂質異常およびアテローム性肥満と関連するという証拠がある。UK Biobankコホートでは、ウエスト周囲径>88cmが最も強い予測因子であり、BMI>30kg/m2(WHO基準)が最も弱い予測因子だった。
・BMI>40kg/m2の肥満患者コホートを評価したある研究では、72人の対象女性のうち10人でベースライン時に子宮内膜異常が潜伏しており、4人に顕性EC、6人に異型過形成が観察された。
また、子宮内膜病変を有する10人の女性のうち8人は閉経前で、既知または未診断の糖尿病またはインスリン抵抗性を有していた。
興味深いことに、閉経前のサブグループ解析では糖尿病(HbA1C>48mmol/mol)と高トリグリセリド血症は中心性肥満やBMI>30kg/m2よりもEC高リスクと関連していたが、閉経後サブグループでは関連しなかったことである。
・インスリン抵抗性および高インスリン血症は、肥満とは無関係に子宮内膜症リスクと関連している。
インスリンは分裂促進および抗アポトーシス増殖因子として子宮内膜組織に直接作用する可能性があるとともにIGF-Iの生物活性を増加させ、SHBGのダウンレギュレーションと卵巣性ステロイド産生のアップレギュレーションを通じて遊離エストロゲンとアンドロゲン利用能を増加させる可能性がある。
・減量はがんリスクの有意な低下と関連している。メタ解析でECリスク減少における体重減少の効果を調査したところ体重減少によるECリスク減少は5〜40%と推定された。
・・・体脂肪(特に内臓脂肪)率に留意すべき時期はホルモン動態が活発になる閉経移行期だと思うのですが、皆さんはどのようにお考えですか?
ただ痩せるだけでなく、トレーニングによって筋肉から放出されるホルモンによる内臓を含む身体機能の活性化(MULTI BENEFIT EFFECT)も非常に重要となってきます。
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