日本ではコロナ禍における政策ミスにより若者の自殺や精神疾患と診断される方が後を絶たない。
世界保健機関(WHO)は統計的に生涯4人に1人が精神疾患を患う可能性があると警告しているが、パンデミックの影響を考慮するとハイリスク群はより大きくなるだろう。米国で行われた調査では、生殖年齢にある女性の8%から16%が精神疾患に罹患している警告されている。
妊娠中や産後は自殺率が低い。
パンデミック時に行われた最近の研究では、妊娠期間中のうつ症状は非妊娠女性に比べて減少しているという結果が報告されている。
他方で、女性のホルモン変化や心理社会的な変化により、女性は男性よりも70%以上精神疾患に罹患しやすいという研究報告もあるが、そのメカニズムに関する知識は不足している。
エストロゲンおよびプロゲステロンの増加が気分に影響を与えるのか、あるいは、エストラジオールおよびプロゲステロンがうつ病に影響を与える可能性のある神経伝達物質セロトニン、ノルアドレナリンおよびドーパミンのレベルに影響を与えるのかについては研究では結論が出ていない。
妊娠中の身体活動が妊娠中のうつ病の可能性を減らすという研究もある。
妊娠中の定期的な身体活動は母親の気分を改善し、母親の疲労を軽減し、赤ちゃんの健康に対する不安を軽減することが分かっている。
国際機関は妊婦の約60%が運動不足であることから、病気のない妊婦は妊娠中および産褥期に中強度の身体運動を定期的に行うよう推奨している。
また、運動は糖尿病や高血圧を予防する。
リンクの研究は、妊婦が身体運動、移動時、家庭、職場で行う身体活動のレベルを、妊娠時身体活動質問票(PPAQ)を用いて分析することを目的としたもの。
99人の妊婦を対象とした横断研究。
結果
うつ病にかかったことのない妊婦の身体活動量は719.29METS min/wkであったのに対し、かかったことのある妊婦は624.62METS min/wkで、うつ病と身体活動量の関連性が示された。
調査時にうつ病を患っていた妊婦の身体活動量は698.25METS min/wkで、うつ病を患っていなかった妊婦の身体活動量は826.57METSに達した。
うつ病でない妊婦はより活動的であり、雇用状況や高い教育水準は高い身体活動に直接関係していると結論。
A Cross-Sectional Study Examining the Association between Physical Activity and Perinatal Depression
・身体活動は健康に寄与し、妊娠中に併発する特定の病態のリスクを低減する。米国産科婦人科学会は、妊娠中の身体活動は妊娠中の過度の体重増加を防ぎ、妊娠糖尿病、子癇前症、帝王切開分娩のリスクを低減するとしている。
英国産科婦人科学会、カナダ産科婦人科学会、スペイン産科婦人科学会では、妊娠中1週間に150分の適度な身体活動をすることを推奨。
・今回のサンプルの女性たちにおいては、家庭で436.50メッツ、交通機関で35.21メッツ、運動として153.84メッツ、職場で82.14メッツ。
妊婦のエネルギー消費量が最も多いのは自宅であることが分かった。
・妊娠期間中、胎児が必要とするエネルギーと女性の体重増加により妊婦の疲労につながる可能性が高い。それらの要因とホルモン変化により妊娠中の母親の身体活動レベルが低下し、疲労レベルが上昇する可能性がある。
その結果、日常生活の問題に対する感情が変化し、気分の変動〜周産期うつ病発症を誘発する可能性がある。
今回のサンプルの99人の女性のうち、妊娠中にうつ病に罹患したことが明らかになったのは13.1%に過ぎず、身体活動がうつ病の発症を防いでいることがデータから示された。
さらにデータを追っていくと、うつ病を患ったことのない女性は、うつ病を患ったことのある女性よりも活動的であることが判明した。
既存の研究と比較しても、体をよく動かす母親は体をあまり動かさない母親よりもうつや不安の度合いが低いことが確認された。
定期的な身体活動は研究対象の女性にとって有益。
身体機能向上と健全なメンタルヘルスのためのパーソナルワークアウトと栄養戦略は、ぜひ当院にお任せください。