本日は、妊婦における食事性炎症指数(DII)と母親のBMI、および出生時体重パーセンタイルとの関係を評価した最初の研究をまとめてみたい。
妊娠中のDIIが、母親の体格指数(BMI)、地中海食(MD)の遵守、および周産期アウトカムといったいどのように関連しているだろうか?
食事情報はMDアドヒアランスを評価する17項目と、151項目の食物頻度質問票を用いて評価。
DIIスコアは、33の食品および栄養の炎症促進および抗炎症項目に従って設定。
参加者はDIIスコアに従って三分位に分けられ、第3三分位群の女性は、第1三分位群と比較してMDスコアの遵守率が低いことが示された。
炎症性食事は、母親の妊娠前BMIが高いこと、新生児の出生時体重パーセンタイルが低いことと有意に関連していた。
炎症性食事プロファイルが母親の過体重および胎児の低体重と関連している可能性を示唆。
・抗炎症性DIIと、妊娠前BMIの低さおよび新生児の出生時体重の高さの間に直接的な関連があることが示された。
・DIIが最も低い三分位値(ほとんど抗炎症食)の人は、ビタミンとミネラル、食物繊維、そしてオメガ3誘導体を含むPUFAsなど抗酸化物質の摂取量が多いことが示された。果物や野菜に含まれる抗酸化物質と食物繊維はいずれも炎症と負の相関があり、脂質の酸化を抑えることに寄与している。
・タンパク質摂取量が多いほどDIIスコアが高いが、タンパク質源によって炎症反応に異なる影響を与える可能性が観察された。植物性タンパク質食品源と動物性タンパク質食品源とでは、異なる影響を与える可能性がある。
・DIIが最も低い三分位の人は、EVOO、ナッツ、野菜、果物などの植物性食品と青魚などの動物性タンパク質食品を多く摂取していた。
・MDのアドヒアランスが高い参加者はDIIが低いことがわかった。MDの抗炎症および免疫調節作用はよく知られており、白血球接着分子の発現を低下させ、インターロイキン、ケモカイン、内皮可溶性接着分子などの炎症性分子を減少させる可能性がある。
・健康的な食事パターンが健康に利する潜在的なメカニズムとして、妊娠中の代謝機能障害に関連する腸内細菌叢の調節が挙げられる。
・DIIと新生児出生時体重のパーセンタイルとの間には、有意な逆相関が観察された。
同様の結果は、米国マサチューセッツ州の2128組の母子からなる縦断的コホートでも報告されている。
・今回の結果は、抗酸化物質(果物や野菜など)が豊富な母親の食事と低DIIスコアが、妊娠年齢に適した新生児体重を促進することを示唆しており、過去のエビデンスを支持するものであった。
・妊娠前のBMIと子癇前症、妊娠糖尿病、早産などの有害な妊娠転帰との関連は、炎症状態が介在している可能性があるが、メカニズムは依然として不明。妊娠前のBMIと炎症はともに食事パターンに関連していることに留意する必要がある。
・妊娠中の肥満は、高血圧性疾患や子癇前症、妊娠糖尿病、帝王切開率など、多くの産科および周産期合併症と関連し、そのリスクは肥満の程度に応じて増加する。
さらに、過体重または肥満女性の新生児は、早産や高出生体重になる可能性が高くなる。
・炎症と胎児発育制限のメカニズムには炎症と酸化ストレスが介在し、胎盤の浸潤や血管の異常発達と関連して、胎盤における血液循環障害を引き起こしている可能性がある。
・慢性高血圧、妊娠高血圧症候群、子癇前症の発症と妊娠中のDIIスコアとの間に相関は認められなかった。