トリプトファンが不足した食事をしていると、腸内細菌叢の保護機能が低下し、全身の炎症が増加することが研究者らによって報告された。
トリプトファンは加齢に伴って気分やエネルギーレベル、免疫反応に重要な役割を果たす必須アミノ酸のことである。
トリプトファンは牛乳、七面鳥、鶏肉、オート麦などに含まれており、十分な量のトリプトファンを摂取することは腸内細菌叢を健康に保つ。
With age, insufficient tryptophan alters gut microbiota, increases inflammation
老齢マウスでは、低トリプトファン食をわずか8週間続けただけで、腸内細菌叢を構成する何兆もの細菌に不健康な変化が生じ、全身性の炎症レベルが高くなることが報告された。
ジョージア医科大学のサダナンド・フルゼール博士は、トリプトファンがうつ病のリスクを軽減する神経伝達物質セロトニンや、安眠を助けるメラトニンを生成するとしている。
長期の低トリプトファン食で体内のトリプトファンの濃度が低い場合、腸内でセロトニンなどの善玉物質の産生を可能にする必須アミノ酸を代謝する細菌であるクロストリジウム属細菌の濃度が低くなり、腸の炎症に関連する細菌であるアセタチファクタが3倍に増加していることが判明。
老齢のマウスに、
1.トリプトファンが不足している食事
2.推奨レベルの食事
3.高レベルの食事
の3種類の食事を8週間与えた。
トリプトファンが不足すると人や動物の腸内細菌叢の健常性に大きな役割を果たしているMucispirillumとBlautiaという細菌の量が減少するなどの変化が見られた。Mucispirillumは、炎症に伴う酸化的な「バースト」に抵抗し、活性酸素を減少させ、結果的に炎症を抑制することに関連する多くの因子を産生する。
これらの細菌の一部は、炎症が多発するクローン病や大腸炎の患者で著しく減少していることがわかっている。