軟部組織(筋肉、筋膜、靭帯、腱、関節包、神経など)の治療方法の一つにリリーステクニックがある。
簡単に書くと、問題が起こっている組織の線維に伸長負荷を与えて組織同士の癒着や硬縮を取り除いて代謝を活性化させることで、神経伝達や組織の粘弾性を回復させる治療法だ。
長年このリリーステクニックの中でもベーシックな方法で治療を行ってきたが、よりスピーディに正確に治療が行える良い方法はないか模索してきたが、最近紆余曲折を経てオリジナルテクニックが完成しつつある。
手前味噌で恐縮だが、特に肩関節や肩甲骨周辺筋群の問題(Frozen shoulder=四十肩など)では症状の改善率や改善スピードにが大幅に向上した。
患者さんのリアクションもオーソドックステクニックを使用していたころに比べると段違い。
反復的な炎症や高負荷が原因のスポーツ障害、または退行変性による障害どちらとも相性が良い。
リリーステクニックを使用する大半の人は、筋線維の伸張収縮方向を上記の絵のように「方向」として意識しているが、実際の筋線維の伸張・収縮は方向というよりも立体的に機能している。
それを考慮して治療の際に各構造をより多次元的にリリースできる方法として考えたのがオリジナルテクニックになる。
感覚的な話になってしまうが、筋肥大を目的とするトレーニーがときどき「ヌケ感」という表現を使う。筋線維に刺激がしっかり入っていない感覚を覚えての表現だが、実は私には治療中にもこれを感じることがあった。
もちろん自分の体ではなく患者さんに触れている感覚でのことだ。
「方向」を意識した平面的なテクニックだと、リリースしきれない「ヌケ感」をちょくちょく指先に感じる。この感覚は治療家にとって非常に気持ちが悪いもので、どうしたらこの感覚を無くすことができるか、即ち、より正確に組織の線維一本一本をリリースしきることができるか?というのが長年のテーマであった。
先程オリジナルが「完成しつつある」と書いた。
それは治療精度は格段向上したが、まだより良い方法やアイデアがあるはずという思いからだ。
まだまだ進化の余地はある。
落ちてるものを拾うようにどこかにヒントがあるかもしれないし、雷のようにある日突然頭の中にアイデアが閃くかもしれない。