今回のメモは、ホッファ症候群(膝蓋下脂肪体炎)の一例についてご紹介したい。
ホッファ症候群は膝のお皿の下にある膝蓋下脂肪体(infrapatellar fat pad)という組織の炎症・線維化・肥大化によって膝の前、ちょうど膝のお皿の下に痛みが出る状態。
膝蓋下脂肪体(Hoffa’s fat pad)は衝撃吸収や潤滑の役割を担っており、スポーツ活動に伴う膝前部への反復的な外力(ジャンプやランニング)、膝過伸展による日常的な負荷、膝蓋骨アライメント異常によって炎症が起こり、線維化や肥厚が生じる。その結果、膝蓋骨と大腿骨間で脂肪体が挟み込まれ痛みを引き起こす。

主な症状は、膝蓋骨直下の前部痛(特に膝伸展時に悪化)、関節腫脹感、膝前部の圧痛、膝屈伸時のクリック音や引っかかり感。
診断は、主にMRIや超音波で繊維化や瘢痕形成を確認することで鑑別されるが、ここが問題。
MRI検査を行わずにレントゲンだけでは異常が見落とされ、上記のクリック音や引っかかり感という主訴から半月板障害と誤診される可能性がある。
先日ご相談に来られた方も、他院で半月板障害と鑑別され、様々な治療を試すもなかなか改善しないとのことでお越しになられた。
半月板障害以外だと、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)、関節内遊離体(関節ねずみ)、関節リウマチや滑膜炎も誤診されやすい症状。
当院での治療ではあえてハムストリングス・大腿四頭筋の柔軟性回復は行わずに、膝蓋骨の可動性にフォーカスした治療を行った。
その日のうちに、クリック音と膝関節運動時の痛みはかなり減少。
膝周囲の腫れぼったさ・・・こればっかりは治療後すぐというわけには…。
初回治療で日常生活に支障がある状態は脱することができたのでよかったものの、これしかし、こういう鑑別診断のミスで症状が長引いてる方少なくないだろうなと。
心当たりのある方は一度当院にご相談ください。