これまでの常識を覆す可能性がある、非常に興味深いデータです。
ビタミンDに関しては今後も深く追跡する必要が出てきました。
テーマはブログタイトルの通り、ビタミンDと妊娠糖尿病の関連性について。
脂溶性のビタミンDはカルシウム、マグネシウム、リン酸塩の腸での吸収を促進するなど重要な役割を果たすことから、人体にとって重要な微量栄養素と認識されている。
現在確認されているビタミンDの主な作用は、神経や筋機能の調節、炎症抑制、遺伝子転写や翻訳への影響、細胞増殖と分化、アポトーシス制御で、骨の健康維持、全死亡率軽減、転倒関連リスクの軽減など。
上記のように、様々な側面で人体に良い影響を及ぼすことからビタミンDの重要性は議論の余地がないが、食事からの摂取が不十分であったり、日光浴が十分でなかったりすることで体内のビタミンDが不足するとビタミンD欠乏症になる可能性がある。
最近の研究では、世界的規模で妊婦のビタミンD不足が流行していることが明らかになっている。ビタミンD不足は妊娠転帰を不利にし、母体と胎児の健康に永続的影響(生殖能力の低下、疾患活動性の亢進、胎盤機能不全、妊娠月齢に対して小さい乳児の出産)を及ぼす可能性がある。
ビタミンD不足の妊婦は、妊娠糖尿病(GDM)、妊娠高血圧症、子癇前症、貧血など妊娠中の様々な好ましくない結果を発症する可能性が高くなる。
GDMは妊娠中、あるいは最初に発見・発症される耐糖能異常で、妊娠24週から28週の間に診断される糖尿病の分類に入るが、1型糖尿病や2型糖尿病とは区別される。
最近の研究で、世界的にGDM有病率は増加傾向にあり、多くの有害な妊娠転帰の危険因子となっている。GDMと多くの不利な出産転帰は母体や新生児に対する直接的な合併症だけでなく、長期的な健康にも影響する。
したがって、GDMの危険因子を積極的に特定・調査し、予防と早期介入に積極的に力を注ぐことは極めて重要である。
リンクの研究は、ゲノムワイド関連研究(GWAS)でビタミンD、ビタミンD欠乏症、GDMに関して入手可能な要約データを用いて、ビタミンDとGDMの因果関係をMRを用いて調査したもの。
母体と乳児の健康リスク評価における科学的根拠を提供することを目的としている。
【結果】
解析の結果、ビタミンD濃度とGDMの間に有意な正の相関が認められた。
逆に、ビタミンD欠乏とGDMとの間には負の相関がみられた。
【結論】
ビタミンDとGDMの間には因果関係が存在し、ビタミンD値はGDMの危険因子として機能する。
ビタミンDと妊娠糖尿病の因果関係と機序をさらに明らかにするために、ビタミンDと妊娠糖尿病に関する縦断的研究や無作為化試験を実施することが必要。
・既存の国際的な疫学研究結果では、妊婦におけるビタミンDとGDMの相関について、この研究結果とは相反するエビデンスが示されている。ビタミンD欠乏と血糖コントロールとの間に負の相関関係があることを示す研究や、GDMの妊婦は非GDM妊婦に比べてビタミンD濃度が著しく低いことを示唆する所見もある。
9コホート研究と6症例対照研究をランダム効果モデルを用いて解析した結果、血清25-(OH)-D濃度が10nmol/L上昇すると、GDMリスクが2%減少することを示すデータもある。
・様々な研究結果の矛盾は、地域環境、母集団、交絡因子の違いから生じる可能性がある。
この研究では、ビタミンDがGDMに及ぼす影響を遺伝子レベルで調べ、逆因果や交絡因子の影響を避けるためにMR解析を用いている。MRは従来の観察疫学研究に伴う制約に対処し、因果推論を容易にすることで横断研究結果のクロスバリデーションに役立つ。また、この方法は従来の疫学研究デザインの限界を補い、ビタミンDとGDMの相関を実証的に支持する。
妊娠糖尿病の枠を超えた観点(産前産後など)からもDは非常に重要な栄養素。
真相の究明にはまだ時間がかかるでしょうが、最新のデータが発表され次第こちらでご紹介できればと思います。
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