以前ブログで、深遠なる排便の世界を書いたうんこの博物学という本を紹介したが、その中で良いうんこ(苦笑)を病気がちな人の肛門から移植して、腸内細菌叢をがらっと入れ替えることで病気を治す方法が記されていた。
古代エジプトか古代ローマ帝国だか中国高だったか、時代と場所は忘れたが病気の治療にうんこの移植術が採用されていたとの記載があった。
中国では直接口にしていたようだったし、ヨーロッパ方面では現在の浣腸器の初号機といった趣の機械で直接移植していたんだったと思う。
その当時から腸内細菌叢の存在に気づいていた人がいたのは驚いたし、実際に治った人がいたからお医者さんも続けたわけだけだけど、方法が前時代的過ぎて当時の人も大変な思いしてたんだな・・・と思ったらそうでもなかった!
Science Daily 2/4 掲載記事
国立衛生研究所、国立がん研究所(NCI)、ピッツバーグ大の共同研究
Fecal microbiota transplants help patients with advanced melanoma respond to immunotherapy
Science 2/5 掲載
Fecal microbiota transplant overcomes resistance to anti–PD-1 therapy in melanoma patients
・免疫療法に反応しないがん患者に便から摂取した細菌を移植して腸内細菌叢を調整することで、患者の一部が免疫療法に反応するのに役立つ可能性がある。
・免疫チェックポイント阻害薬に反応しなかった進行性メラノーマ患者の一部が薬に反応した患者から糞便微生物層の移植を受けたところ薬に反応。
・患者の大腸に特定の糞便微生物を導入することで腫瘍細胞を認識して殺す免疫系の能力を高める薬剤に患者が反応する可能性を示唆
・腸内細菌叢を変えることで免疫療法薬に抵抗する腫瘍の状態を再プログラムできる。
・全患者の腸内細菌叢を分析した結果、癌が安定または改善した六人の患者においてT細胞の活性化、免疫チェックポイント阻害剤に反応する細菌数の増加が見られた。
浣腸初号機が最新の内視鏡に変わっただけで腸内細菌叢を変えるという治療法の概念は当時と一緒。
当時から糞便の研究を連綿と受け継いで継続してきた研究者の方々に敬意を。
ついに「蓋をされる」存在から一躍日の目を浴びる存在にした。
細菌叢における最近の種類や数のバランスは繊細で多すぎても少なくてもいけなかったはず。
その辺はまた追ってブログに書きます。
腸内細菌を大事にしましょう。