顎関節症は、当院の慢性筋骨格系疾患の相談件数の中で腰痛、40肩に次いでご相談人数が多い疾患です。
一般的な臨床症状としては、頭蓋および顔面、顎関節の 疼痛と関節音(クリック音や捻髪音)、非対称的な口の開き、咀嚼筋の触診時の痛み、顎関節の触診時の痛み、最大咬合開度の低下が挙げられます。
顎関節症は進行性の慢性筋骨格系疾患。
咀嚼機能は話すことや噛むことなど、日常的な作業に頻繁に使用されるため様々な負荷が顎関節の機能障害につながり、顎関節症の進行を加速させます。
顎関節における症状の初期は、目に見える関節の腫れなどの症状が表出していないことが多く、臨床的に評価するのが難しい関節の一つです。
炎症などの症状が進行した段階で痛みや硬直といった症状に加えて、クリック音や捻髪音といった顎関節特有の症状が現れてきます。
クリック音や捻髪音は、顎関節の開閉動作に伴う関節円板の不規則性を示しています。
↑の図の緑のラインのように、口の開閉によって適切な可動域の範囲で通常は関節円板が動く(実際には前後、横方向、斜め方向、前方回転など複雑)のですが、円板の不規則な動きや可動域制限、椎間板の前方脱臼によって大きな破裂音が発生します。
カイロプラクティックによる顎関節症の治療では、咬筋群や筋膜の治療も重要ですが なにはともあれまずこの関節円板の運動異常を治療します。
というのも顎関節円板は、関節の力吸収および潤滑に重要な役割を果たしており、顎関節を包む関節包という組織や周囲の構造に癒合しているため、二次的な炎症性変化が周囲の構造にも拡散し、症状が複雑化する恐れがあるためです。
関節円板の線維組織は加齢によって劣化する傾向がありますので、顎関節症の家族歴がある方は遺伝的要因も考慮して、定期的にケアすることも考慮してみてください。
治療回数や治癒速度は重症度に寄りますが、初回の治療で治療効果を体感していただける患者さんが多い印象。
再述になりますが、顔面のこわばりなども含め何らかの症状が出ている場合はある程度症状が進行している可能性もありますので、お早目のケアをご検討ください。