コラーゲンとコラーゲンペプチドは、スキンケア効果を目的に食品や栄養化粧品に使用されている。
ご紹介する研究は、四十五歳から五十九歳の健康な女性四十六名を対象に魚の軟骨成分の摂取による、肌年齢や老化による肌の変化の改善に対する臨床効果を評価したもの。
四十六名はプラセボ群と魚軟骨の経口投与群(1日500mg)の二つのグループに分けられ、高解像度イメージング、超音波、反射型共焦点顕微鏡による画像解析を用いて、治療前と九十日間の治療後に、顔の鼻唇部における皮膚のしわ、真皮のエコーと厚さ、皮膚の形態的および構造的特徴の測定を行った。
魚軟骨成分を九十日間低用量(1日500mg)投与したグループは、プラセボおよびベースライン値と比較して、シワの有意な減少と真皮のエコーの増加が認められた。さらに、反射型共焦点顕微鏡(RCM)による画像解析では、魚軟骨成分の投与後にコラーゲンの形態が改善され、エラストーシスが減少したことが示されたとのこと。
Oral Supplementation with Hydrolyzed Fish Cartilage Improves the Morphological and Structural Characteristics of the Skin: A Double-Blind, Placebo-Controlled Clinical Study
・エクスポソームへの曝露は細胞の代謝を低下させ、コラーゲンなどの分解を促進し自然な生理反応を低下させ、特に抗酸化反応を弱めることで皮膚の老化プロセスを加速させると言われている。
・皮膚の状態を改善するために機能性食品や経口サプリメントの摂取が行われている。コラーゲンとそのペプチドは、様々な食品や栄養補助食品に使用されている天然成分で、外用剤に比べてより顕著な皮膚への効果を示している。
・健康管理や美肌のためにはI型コラーゲンが使用され、関節の健康のためにはII型コラーゲンが好まれている。コラーゲンペプチドにグリコアミノグリカンや、ビタミンCやミネラルなどの微量栄養素を配合するのが一般的である。
・この研究では、加水分解された魚軟骨から得られた低用量のコラーゲンペプチド(500mg/日)を補充した場合の、成熟した皮膚に対する臨床効果を、非侵襲的な皮膚画像技術を用いて検証した。その結果、皮膚のマイクロレリーフ、真皮のエコー、コラーゲン構造の改善およびシワの有意な減少を示し、その効果は試験参加者によって認識された。
・バイオアベイラビリティはコラーゲンの分子量に依存する。海洋由来のものは一般に低分子量であるため吸収率が向上する可能性がある。したがって、加水分解された魚の軟骨を経口的に補給することの利点は、他のコラーゲン源と比較した場合のバイオアベイラビリティと関連している可能性がある。
・いくつかの研究でも、加水分解コラーゲンを経口補給した後の肌の水分量の増加と、肌のパラメータの改善、顔の老化サインの減少が報告されている。
・高解像度画像解析では加水分解魚軟骨を九十
日間補給した後、前頭部と鼻唇部のシワが有意に減少した。加水分解魚軟骨がシワの減少に効果的であることを示しており、その効果は真皮密度の改善によるものであると考えられる。
・加水分解魚軟骨を補給することで、顔の鼻唇部における真皮のエコー性の有意な低下が促進されることを確認した。この結果は、真皮密度の増加、コラーゲン線維のより大きな形成および皮膚の損傷の修復を明らかにし、年代別の老化および光老化プロセスの軽減を助け、皮膚密度を向上が確認された。真皮の厚さの増加も観察され、皮膚深部の水分補給や皮膚のホメオスタシスの維持と相関していた。
・加水分解魚軟骨サプリメントの九十日間の経口使用後に、粗コラーゲンが増加し、エラストシスが減少したことから、粗コラーゲンパターンが改善されたことが示された。太陽性エラストシスは重度の光老化で現れるもので、その減少は光老化が改善されたことを示している。
・加水分解フィッシュコラーゲン、ビタミン、抗酸化物質を含む栄養補助食品を毎日経口補給したところコラーゲン形態が改善され、エラストーシスが減少したというCzajkaら(2018)の知見を裏付ける結果が得られた。
・高解像度の画像解析によって得られた結果については、被験者も評価対象となる皮膚のパラメータの改善を確認できたことからその効果を実感している。臨床評価においても、被験者はしわの減少、肌の質感の改善、保湿効果、肌のハリと見た目の改善を実感した。