ホエイプロテインとプロバイオティクスの同時摂取、すなわちベアリングの概念がキーになりそうだ。
製品化を待たずとも、ホエイとヨーグルト、プロバイオティクスサプリの同時摂取を試してみてはどうか。
今日のブログは、ホエイプロテイン(WP)分離物を濃縮した高蛋白質プロヨーグルト(Pro-WPI)がスポーツ貧血及びアスリートパフォーマンスの向上に一役買いそうだというデータを簡単にまとめてみたい。
筋タンパク質合成速度を最適化するためには十分なタンパク質が必要で、アスリートやボディビルダーが筋肉量を維持するためには、1日に1.2〜1.7g/kg体重(BW)のタンパク質摂取が提案されている。食事性タンパク質が不足すると体内のタンパク質は分解され、体内のエネルギー需要を満たすために作用する。
貧血は、赤血球(RBC)とHb値が体の健康を維持するために不十分であることから、栄養失調の兆候である。血液中のHb値が低下するとHbが酸素運搬体として機能するため、疲労症状が現れる。
一般に、アスリートは一般人に比べてヘモグロビン濃度が低く、いわゆる「スポーツ貧血」と呼ばれる状態にある。
スポーツ貧血は栄養必要量の増加、食事制限、吸収率の低下、有酸素運動によるエネルギー損失の増加などにより引き起こされる鉄欠乏症で、スポーツ貧血には鉄の生物学的利用能を含む多因子による慎重なアプローチが必要。
リンクの研究は、10%および20%のホエイプロテイン(WP)分離物を濃縮した高蛋白質プロヨーグルト(Pro-WPI)を製造し、安全性の評価と並行して、それらの毎日の摂取が身体測定、血液学的パラメーターおよび運動能力へ及ぼう影響ついて調査したもの。
24名のアスリートがを対象に、治療G1(Pro-WPI30)とG2(Pro-WPI60)について、それぞれ10(T1)と20(T2)のWPIを含むPro-WPI製品を、1日3回/週5日/9週間摂取した。
選手のヘモグロビンは、ベースラインの12.69g/dlから、G1では16g/dl、G2では16.66g/dlと有意に増加。
さらに、垂直跳び、走り幅跳び、スプリント速度、ハーフスクワット、腕立て伏せの運動能力が向上。
健康な腸内細菌(プロバイオティクス)と並行して、ミネラル結合(乳清生物活性ペプチド)による鉄のバイオアベイラビリティの向上は鉄の状態に影響を与え、スポーツ貧血とパフォーマンスを改善に寄与した。
一方、尿中アルブミンは基準範囲(30mg/g未満)の境界を超え、G1では38.25mg/g、G2では44.13mg/gに達し、尿pHは正常範囲であった。尿中アルブミンの増加は、高タンパク質摂取に伴う高タンパク質代謝率に起因するものと思われる。
High-Protein Concentrated Pro-Yogurt (Pro-WPI) Enriched With Whey Protein Isolate Improved Athletic Anemia and Performance in a Placebo-Controlled Study
・Pro-WPI機能性製品のアスリートに与える影響
PRO-WPI製品の身体測定と血液学的生化学的パラメータに対する効果では、BMRはG1(1,854.25 Kcal/day)がプラセボ群(1,892.14 Kcal/day)より有意に低く、G2(2,040 Kcal/day)が最も高いことが示された。
これらの結果は、G1(10%WPI)の体重およびBMIに反映され、プレーンヨーグルトを食べたプラセボ群に比べ有意に減少した。
高タンパク食は、満腹感の向上と代謝の変化による脂肪量の減少という2つのメリットをもたらし、減量のための有望な戦略として考えられる。
Pro-WPI60 (20% WPI) の脂肪含量の増加による BMR の増加は、G1(69.19 kg, 8.35%, 5.87 kg, 63.57 kg, 22.59kg/m2) と比較して、G2メンバーの体重、脂肪、脂肪量、無脂肪量 (FFM) 、ひいては BMI (79.54 kg, 13.09%,10.42 kg, 69.23 kg, 25.1kg/m2) が著しく増加した理由かもしれない。
・血液学的パラメータ
Hbベースライン(12.69g/dl)と比較して、プラセボ、G1、G2のすべての発酵製品(Pro-WPI、Pro-WPI 30、Pro-WPI60)は、それぞれ14.86、16、16.66g/dlとHbを著しく増加させた。
同様に、赤血球においても、ベースラインは3.94×106/μlであったが、それぞれ4.91、5.44、5.89×106/μlに上昇。
発酵乳には発酵中に生成される乳酸などの有機酸が含まれており、特に食事時に摂取することで鉄の吸収が高まる。
乳酸菌はタンパク質を加水分解する能力が発達していることが特徴である。このタンパク質分解活性は、細菌が必要とする遊離アミノ酸を生成するだけでなく、多様なペプチドを生成し、その中には生物活性を持つものもある。いわゆる「生理活性ペプチド」(BAPs)は、栄養学やヘルスケアの観点からも興味深い存在である。
プロバイオティクスは、発酵乳の生物活性因子により鉄の吸収と利用を促進し、鉄欠乏性貧血を改善・予防することが報告されている。
ホエイタンパク質由来生理活性ペプチドは、カルシウム、鉄、亜鉛などの陽イオンに対する結合能力が高いことが報告されており、消化管でのミネラル吸収を促進する腸内細菌叢を調節する可能性がある。
これは、健康な腸内細菌(プロバイオティクス)とミネラル結合(ホエイ生物活性ペプチド)による鉄のバイオアベイラビリティの向上と並行して、鉄の状態に影響を与え、スポーツ貧血を改善するための選択肢となり得ることを示唆している。
運動能力への影響
垂直跳び、幅跳び、ハーフスクワット、腕立て伏せなど、テストしたほとんどの運動能力パラメーターにおいて、有意な向上が記録された。
ホエイプロテインは、トレーニングや競技の後のアスリートのタンパク質合成と回復を増加させることが報告されている。
「プロバイオティクス・アスリート」というキーワードで、アスリートへのプロバイオティクス補給が最もよく研究され、ラクトバチルス・カゼイ、L. fermentum、L. acidophilus、L. rhamnosusなどの種を用い、プラセボ対照デザインの実験で、臨床指標と免疫機能に対するこれらのプロバイオティクスの効果が明らかにされている。
・安全性に関する考察
タンパク質が豊富な食事はタンパク質の代謝によって生成される非炭酸を過剰に放出するため、酸性化するが、pHやその他の尿パラメータは、アルブミン濃度に有意差が記録される以外はプラセボグループと同等であることが示された。
高タンパク食ラットの尿組成の変化は、タンパク質の種類(乳製品、非乳製品、動物性タンパク質、植物性タンパク質)によって異なることが報告されている。微量アルブミン尿(MA)は、尿中のアルブミン排泄量の増加を意味し、食事性タンパク質の摂取はその原因因子の1つであると報告されている。
1980年代には、男性アスリートにおいて1日2g/kgまでのタンパク質摂取は腎機能に有害でないと報告している研究がある。