斜角筋症候群のご相談が多い1週間だった。
腕神経叢のリリース方法に工夫を加えてから、治療成績がアップしたが、それでも慢性化していると治療にそれなりの時間がかかってしまう。
上記のペインマップに心当たりのある方はたとえ小さな違和感でも『なんとかなる」と放置せず、なるべくお早めにご相談ください。
さて、今回のブログは妊娠前および妊娠中の栄養要因と妊娠転帰に関する最新のレビューをまとめてみたい。
過去のブログでもご紹介してきたように、妊娠前および妊娠期間中の妊産婦の食習慣が、妊娠糖尿病(GDM)、子癇前症、子宮内発育制限、低出生体重児(LBW)、妊娠低年齢児出産(SGA)などの有害な妊娠転帰に遭遇する確率に影響することを示唆するエビデンスは少なくない。
母親の栄養因子は、女性の幸福に影響を与えると同時に、新生児の適切な発育と成長に極めて重要な役割を果たす事は疑いようがない事実である。
妊娠は胎児の遺伝情報と子宮内での栄養利用能とが組み合わさった複雑な相互作用を伴う。
遺伝的素因の重要性は広く認められており、近頃胎児と母体の両方で同定された遺伝的変異は子宮内環境、妊娠期間、胎児の成長に影響を及ぼす。例えば、葉酸代謝経路に関連する主要な酵素遺伝子(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素、MTHFR)の遺伝子変異と有害転帰リスク上昇との間に関連があることを強調研究があいついでいる。
また、ビタミンD受容体(VDR)多型と、早産(PTB)、LBW、SGA出産などの有害な妊娠転帰を経験する可能性との関連性を示唆する研究もある。
従って、遺伝と食事の相互作用に内在する複雑性を探求することは、母子の健康に対するアプローチに革命をもたらす可能性を秘めており、母子栄養のための正確で個別化された戦略の設計により可能性を与えるものである。
リンクのレビューは、母親の栄養、遺伝子と食事の相互作用が母体および新生児の転帰に及ぼす影響を調査した最も包括的な系統的レビュー。栄養、遺伝的因子がどのように動的に相互作用し、妊娠中および妊娠後の全体的な健康の軌跡に影響を及ぼすかを包括的に理解することを目的としたもの。
【結論】
母親における葉酸やビタミンA、C、Dを含む必須ビタミンやミネラル摂取量増加が、早産や呼吸器感染症などの有害な妊娠転帰のリスクを減少させる可能性があることを示唆している。
・妊娠中、葉酸は胎児の成長と発育に極めて重要な役割を果たしており、母親の葉酸状態とホモシステイン濃度を最適に維持することの重要性が強調されている。葉酸摂取量と葉酸を介するホモシステイン代謝経路多型の両方が、母親の血漿葉酸値とホモシステイン値に影響を及ぼす。それらの多型は、葉酸代謝、1炭素代謝、DNA合成、メチル化を阻害する可能性があり、胎児の成長と発育にリスクをもたらす。ホモシステイン代謝経路多型が存在すると1炭素代謝のために葉酸の供給を増やす必要があるかもしれない。実際に、葉酸の補充はそれらの多型が妊娠転帰に及ぼす影響を緩和すると考えられる。
また、葉酸の補充はホモシステインからメチオニンへの変換に必要な一炭素基の利用能を高め、ホモシステインレベルの正常維持に寄与する
・母親のビタミンD欠乏と頭囲の拡大および出生体重の減少との間にいくつかの関連が認められた。
・いくつかの研究で、妊娠中の母親のビタミンおよび/またはミネラルレベルとPTBリスクとの関連が検討されている。過剰なミネラルはミトコンドリアの活性酸素種(ROS)を増加させ、酵素活性を低下させ、抗酸化物質に対する細胞防御機構を枯渇させることで酸化ストレスとミトコンドリア機能障害を誘発する可能性がある。ミトコンドリアの機能障害は、活性酸素の発生と蓄積を増幅し、SOD2活性に影響を与え、酸化ストレスを増大させる。
・既存の研究は、酸化ストレスと抗酸化システムの障害と自然早産との関連を示している。早産の胎盤や乳児では活性酸素の産生が増加し、酵素活性や抗酸化物質のレベルが低下していることが確認されている。妊娠中のミネラルの過剰摂取は、酸化ストレスを誘発することで自然早産の一因となる可能性がある。
まだまだ研究が続いている分野なので確たるしょうこというわけではありませんが、しかし、数は少ないですが現時点でわかっている上記の内容を把握しておくだけでも、お子様の将来の疾患リスク回避にやくだつのではないでしょうか?