女性の多くが月経困難症、過多月経、月経前気分障害 (PMDD)といった月経異常を経験する。
骨盤病変がないのに月経痛がある月経困難症は若い女性が婦人科を受診する主な理由の一つで、日本人女性における月経症状に対する経済負担は年間約6,830億円と推計され、月経困難症が仕事の生産性低下に関連するケースは70%以上にのぼる。データによると4分の1以上の女性が月経痛のために労働時間を短縮したり、欠勤している。月経による仕事や学校の欠席は、経済的、社会的、健康的に大きな負担となることが研究で証明されている。
その一方で、月経困難症が広く蔓延し、女性のQOLが低下しているにもかかわらずこれまでこの疾患は科学的にほとんど注目されてこなかった。
近年の研究で、食事や生活要因が身体器官の働きや性ホルモンレベルに大きく影響し、月経周期は食習慣、身体活動、刺激物の使用によってかなり影響を受けることがわかっている。
それらの因子はBMIや体脂肪率に影響し、排卵障害や月経痛、月経不順に直結する。
栄養密度が低く、ビタミンやミネラルが少なく、加工食品が多い食事は月経障害を引き起こしたり、月経困難症を悪化させる食事関連疾患リスクを高める。
最近は、月経障害を緩和する可能性のある生活習慣要因を含む修正可能因子を同定する試みが数多くなされている。
リンクの研究は、月経周期に関する女性の知識、月経症状に及ぼす食事や生活要因の影響を評価し、月経の苦痛を緩和または悪化させる可能性のある食事モデルを特定することを目的としたもの。
計505名の若い女性が研究に参加。
回答者の90%近くが少なくとも1つの月経障害を報告し、そのほとんどが月経困難症(70.7%)だった。
結果
月経困難症/月経痛は特定の食品群の摂取頻度が高いことと関連していた。
重度の月経困難症女性は中程度の月経痛の女性よりも、精製された穀類製品、加工肉、砂糖、水を摂取する頻度が有意に高かった。
一方で月経痛が軽度の女性では、甘味のある乳製品、動物性脂肪、果物の摂取頻度が高かった。
月経周期と身体の生理的変化に関する知識は、比較した食事モデル間で有意差が認められた。
低加工製品(野菜、果物、全粒穀物、乳製品、豆類)を含む抗炎症食を摂取している女性は月経痛が有意に少なかった。
お菓子や加工肉、飽和脂肪酸が多く食物繊維の少ない食品など、加工度の高い食品の摂取は月経痛や不快感の増加と関連する頻度が高かった。
・ホルモン療法(避妊、ホルモン補充療法)を受けていない女性において、月経周期中のホルモンの変化が食習慣に大きな影響を及ぼすことが報告されている。ホルモンの変化を認識することは、女性が食事量をコントロールし、正常体重を維持するのに役立つ。
・月経前症候群(PMS)は、女性に食欲や食物渇望の変化をもたらしやすい。複数の研究で、調査対象女性のほぼ4分の1が月経中に糖分への欲求を含む食欲増加を経験し、痛みの強さは甘いものの摂取量の増加と有意に相関していた。月経中の多くの女性が果物、甘いもの、炭水化物を欲していることがわかった。
・月経中の炭水化物摂取量の増加について考えられる仮説の一つに、単純炭水化物(グリセミック指数が高い)とネガティブな気分の影響を軽減する脳内セロトニンの産生量増加との関係がある。単純炭水化物は脳内セロトニンの前駆体であるトリプトファン利用能を高めるため、女性は月経前の数日間、無意識のうちに炭水化物の摂取量を増やし、気分改善に関係する神経伝達物質を産生しようとすると考えられている。
・朝食摂取頻度を含む生活習慣が月経痛と関連することが研究で示されている。軽度の月経痛女性は重度の月経痛女性よりも、規則正しい食事や朝食を摂取する頻度が高かった。
18〜20歳の日本人女性を対象とした研究では、週0〜3回朝食を摂取する女性は、週4〜7日朝食を摂取する女性に比べて、月経周期が不規則で月経痛が重い頻度が有意に高かった。
・参加者の60%以上が月経周期の生理学について十分な知識を持っていた(学歴は有意差因子で、大学卒業者の73%が十分なレベルの知識を持っていたのに対し、中等教育を受けた女性で十分なレベルの知識を持っていたのは36%のみだった)。また、多くの女性は最適とはいえない代替的なセルフケア方法に頼っていた。
・デンマーク女性を対象とした調査では月経痛(月経困難症)の有病率は、魚油(n-3系脂肪酸)およびビタミンB12の食事摂取量と逆相関することが明らかになった。プロスタグランジンが介在する月経痛は食事性脂肪酸の影響を受けることから、魚油サプリメントが月経困難症の治療や予防に使用できる可能性があるという仮説を支持する結果である。
・地中海食または抗炎症食に基づく非加工食の順守が月経痛の重症度を減弱させ、月経困難の発症率を減少させることがわかった。
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