食糧不安は量的、質的な食糧不足から生じる複雑な問題である。
最近の日本における児童給食のクオリティがどういった状態か皆さんご存知だろうか?
ご存じない方は是非なんらかの方法で調べてみて欲しい。
育ち盛りの子供たちにうまいものを腹一杯食べさせたいなんて思いは微塵もないことがよくわかる。
いつからこんな国になってしまったのか・・・
食料不足と食料多様性の欠如は食料不安の主因であり、貧血、栄養不良、過体重(栄養素が乏しく、脂肪や糖分の多い食品の摂取による)、免疫系を損なう可能性がある(例:保護物質分泌の減少、腸管バリア機能低下、血漿中補体レベルの低下)。
また、睡眠の質やパターンも食事や栄養素の摂取によって大きく影響を受ける。
睡眠は休息機能を果たすだけでなく、代謝調節、食欲コントロール、免疫機能への影響においても中心的な役割を果たしている。
就寝前に高タンパク質の食事や脂肪の多い食品を過剰に摂取したり、深夜に糖分の多い食品を間食したりすると睡眠の質が低下する可能性がある。
一方で、野菜や果物を含むバランスの良い食事は睡眠の質を高め、全体的な幸福感を向上させる。
近年、食料不安と睡眠関連問題に関する研究が増えており、68ヵ国の223,561人の青少年を対象とした研究では、深刻な食糧不安と睡眠障害の有病率はそれぞれ6.4%と8.0%で、48ヵ国において深刻な食糧不安は睡眠障害リスクの高さと有意に相関していることが報告されている。
青少年における食糧不安と睡眠関連の問題の関係は公衆衛生上の重要な問題であることから
というのも、より精度の高い研究が求められている。
食料不安の影響が他の思春期のサンプルにも及ぶかどうかを明らかにするため様々な国のサンプルで睡眠関連の問題についての研究を行う必要がある。
リンクの研究のは、Valle de Ricote(スペイン、ムルシア州)に住む12歳から17歳の青少年を対象に食料不安と睡眠問題の関連を調査したもの。
836名の青少年(55.3%が女子)をサンプルとしたEating Healthy and Daily Life Activities Studyのデータを分析。
【結果】
食糧不安のある青少年は食糧不安のない青少年と比較して、就寝時の問題、日中の過度の眠気、夜間の覚醒、および睡眠に関連するあらゆる問題の発生確率が高かった。
【結論】
この研究は、食料不安が青年の睡眠関連問題の程度と関連していることを示唆している。結果は、体格、ライフスタイル、社会人口統計学的変数で調整しても変わらなかったことから、食料不安を緩和する戦略を実施することは青少年の睡眠の改善に寄与する可能性があり、統合的な公衆衛生介入の重要性を強調している。
Food Insecurity and Sleep-Related Problems in Adolescents: Findings from the EHDLA Study
・食糧不安を報告した青少年は就寝時の問題、夜間の目覚め、規則的な睡眠の変化、睡眠時間、いびき、その他の睡眠関連問題をより多く経験した。さらに、食糧不安が高まるにつれて、睡眠に問題が生じる可能性も高くなった。
具体的には、(食べ物がなくなることを)不安に感じること、空腹であること、食事を抜くこと、バランスのとれた食事でないこと、少食であることが睡眠関連の問題と関連していた。
・食習慣は睡眠関連ホルモンの変化を引き起こすため、睡眠の質に大きく影響する。
加工食品や糖分の多い食品を多く摂取するとインスリンやレプチン濃度が上昇し、行動リズムと概日リズムの両方が乱れ、不規則な睡眠覚醒パターンを引き起こす可能性がある。
炭水化物を大量に摂取すると睡眠の質を低下させ、食欲を増進させるホルモンであるグレリンが刺激される。
・特定の栄養素の摂取はセロトニンやメラトニン産生を制御することで、睡眠の質に影響を与える可能性がある。トリプトファンは必須アミノ酸の一種で、睡眠と覚醒に関係するセロトニンとメラトニンの前駆体として機能する。トリプトファン利用能を制限し、セロトニンとメラトニンの合成を妨げる食品を摂取すると睡眠調節に悪影響を及ぼす可能性がある。
・家庭環境の関連性も考えられる。食糧不安を経験している家庭では青少年の健康に悪影響が出る可能性があり、睡眠が損なわれる可能性がある。例えば、低収入世帯や不安定な雇用は食糧不安の重要な予測因子である。さらに、母親の食に関する行動や子育ては思春期の食糧不安に重要な影響を及ぼす。食糧不安に直面している親はしばしば高レベルのストレスや不安に直面し、それが子育てのスタイルや子どもとの相互作用に影響を及ぼすことがある。
また、親の栄養に対する理解は食糧不安中の食事の選択の質に影響を与える可能性がある。
・食糧不安を経験している思春期の子どもたちは、高ストレス環境で生活していることが多く、それが精神的健康に影響を及ぼす可能性がある。家庭の食糧不安と精神的健康との関連は幼い子どもたちよりも思春期の子どもたちの方が強い。次の食事にありつけるのかや、あるいは家庭全体の経済状況を心配することはストレスや不安の高まりにつながり、睡眠パターンを乱す可能性がある。
・青少年における精神的健康問題と睡眠の質との相関関係多くの文献で指摘されており、青少年における食糧不安は95カ国でより悪い精神衛生と関連していることが明らかになっている。あるコホート研究では、交絡因子(例えば低所得)を調整後、小児期の食糧不安の持続的高リスクが青年期以降の心理社会的問題と関連することが観察されている。
・食糧不安は認知機能と感情的幸福を損ない、集中力の低下、過敏性、気分の落ち込みを引き起こす。また、食糧不安のある青少年は心理的幸福度が低く、身体への不満が大きく、やせ願望が強いことがわかっている。こうした認知的・感情的な障害は、不眠症やその他の睡眠に関連する問題の一因となる可能性がある。
ご紹介したデータは青少年の睡眠の質に関するものですが、多くの世代で睡眠障害でお悩みの方は多いと思います。睡眠薬も含めいろんな対応戦略が考えられますが、上記のデータの通り栄養戦略も非常に重要です。
ネットの情報ではなくデータを元にしたより具体的な栄養戦略をお探しの方は、当院の栄養マニュアルのご利用を是非ご検討ください。
Lineまたはメールによるカウンセリングに基づき、皆様の症状や体質に合わせて摂取カロリー数の計算や、食事デザイン、サプリメントの選択、排除すべき食材などを最新データを元にパッケージでデザインし、ご提案いたします。
お気軽にお問い合わせください(お電話、LINE、インスタグラムのメッセージまたは連絡先、GOOGLEビジネスページのチャットをご利用いただけます)