乳がんは世界的に大きな健康問題であり、2020年には世界で226万人の乳がんの新規症例が報告されている。
乳がんは有病率は高いものの、正確な原因は未だ完全には解明されていない。
現時点では遺伝的要因(BRCA1およびBRCA2の変異)、人口統計学的要因、環境要因、繁殖要因、ライフスタイルが関連していることが分かっている。
年齢や人種・民族も危険因子として知られている。
乳がんは主に中高年の女性に多くみられ、発症年齢の中央値は62歳で、白人女性と比較して黒人女性では発症年齢が若干低く観察されている。
また、未婚、初潮が早い、初産年齢が遅い、閉経年齢が高い、初潮から最初の妊娠までの期間が長い、多胎妊娠、35歳以降の初妊娠、母乳育児が少ない/ないなど、様々な生殖因子と相関している。
また、乳がんリスク上昇は、過体重または肥満、不十分な身体活動、喫煙、アルコール摂取と関連している。
また、最近では環境ホルモン(内分泌かく乱物質:ビスフェノールA、ジクロロジフェニルトリクロロエタン、ポリ塩化ビフェニル、フタル酸系可塑剤))による悪影響も注目されている。
深刻な乳がん発生率の上昇に伴って予防戦略の構築が非常に重要なテーマとなっており、
セルフコントロールが可能な「食事」は乳がんリスクマネジメントにおいて有望なアプローチと考えられている。
リンクの総説は、最近の関連報告から食事成分など乳がん予防に重要と考えられる活性化合物をまとめ、考察したもの。
乳がんと食事パターンの関連性を調査した研究論文の要約、乳がん予防に関連する物質の概要、この分野で現在進行中の研究を紹介する。
The Risk of Breast Cancer between Western and Mediterranean Dietary Patterns
欧米食パターンと乳がん
欧米食パターンは精製穀物、過剰な砂糖、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸、赤肉や加工肉の大量摂取など、健康に悪影響を及ぼすとされる特定の成分を多く摂取することを特徴としている。
精製穀物とは、穀物を加工する際に外側のふすまと胚芽を取り除いたもので、この加工によって全粒穀物に含まれる栄養源である食物繊維、ビタミン、ミネラルの多くが取り除かれることで精製穀物の栄養価は低くい。
精製穀物は食物繊維が少ないため便秘になりやすく、健康的な体重を維持するのが難しくなる。また消化が早いため、血糖値やインスリン濃度が急激に上昇する。このグルコース代謝の乱れは2型糖尿病やその他の心代謝系疾患の発症の一因になる。
シリアル、パン、クラッカーなどに使用される精製穀物は合成ビタミンやミネラルで強化されているケースが多いが、全粒穀物が持つ自然由来栄養素は不足しており、結果的に栄養価は低い。
ある研究では、全粒穀物の摂取は精製穀物の摂取と比較して、タンパク質のターンオーバーの好ましい促進をもたらし、より良い健康結果をもたらすことが明らかになっている。
さらに、全粒穀物摂取量が多い人の乳がんの相対リスクは摂取量が少ない人と比べて0.84であり、全粒穀物を7回/週以上食べている女性の乳がんの調整オッズ比は、全粒穀物を食べないか食べる頻度が低い人と比べて0.49だったと報告されている。
砂糖の過剰摂取も欧米食の顕著な特徴であり、クッキー、ケーキ、キャンディーとともに、甘味飲料や甘味シリアルなどさまざまなソースに含まれている。添加糖は食事に多大なカロリーを加え、飲料だけで添加糖摂取量の47%を占めている。
砂糖の過剰摂取は乳がんのリスク上昇につながることが実証されている。
欧米食はトランス脂肪酸や飽和脂肪酸の過剰摂取、オメガ6系不飽和脂肪酸(PUFA)の多用、オメガ3系PUFAの不足など有害脂肪の摂取が多いことが特徴である。
特にオメガ6とオメガ3の比率が20:1になると、代謝異常、特に炎症が起こりやすくなる。赤身肉、バター、チーズ、クリームなど動物由来食品には飽和脂肪酸が含まれている。飽和脂肪の多い食事は超低密度リポ蛋白の増加、心血管疾患のリスクの増加、非アルコール性脂肪肝炎に関連している。
高脂肪食は肥満、慢性炎症、腸内細菌叢の異常、および癌を誘発することが示されている。
クラッカー、クッキー、揚げ物では植物油の利用により、工業用トランス脂肪酸の存在が脂肪含有量の60%を占めることがある。炎症と小胞体ストレスに対する不飽和脂肪酸の保護的役割とは異なり、工業用トランス脂肪酸は有害プロセスを刺激する。
European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)でトランス脂肪酸の摂取量と乳がんのリスクとの関係を評価する研究が行われ、工業用トランス脂肪酸の摂取量増加は乳がんリスクの上昇と相関していることが示されている。
一般的な欧米食には新鮮な野菜や果物の摂取が少ないという特徴がある。
野菜や果物には植物性栄養素や食物繊維が豊富に含まれており、消化・代謝や血糖値を調整し、乳がんリスクを低減させる。また抗酸化物質が豊富に含まれており、炎症を抑え、がんから体を守る働きがある。
全体として西洋食パターンは高カロリーで低栄養であるため、体が必要とする以上のカロリーを摂取しやすく、体重増加や肥満リスクを高めている。
肥満や過体重は乳がんの危険因子である。
また炎症は欧米食によって刺激され、乳がんリスクを高めることが分かっている。ある研究では、欧米型食生活をしている女性は乳がん発症率が高いことが明らかにされている。
地中海食パターンと乳がん
1960年代、ギリシャやイタリアに住む人々が北欧や米国に住む人々よりも心血管疾患による死亡率が低いことが明らかにされ、地中海食パターンが大きな関心を集めた。
地中海食は新鮮な果物、野菜、ナッツ、豆類、未精製の穀物、オリーブオイルを多く摂取し、魚や乳製品を適度に摂取するのが特徴。
西洋の食事に比べて赤身肉摂取量が少なく、赤ワインを適度に摂取する。
この食事パターンは心血管疾患や癌リスク低減など多くの健康上の利点があると考えられている。
乳がん発生率は地中海食の予防効果により減少している。最近の研究によると果物、野菜、魚、オリーブオイルを豊富に含む地中海食の遵守は、閉経前後女性の乳がんリスクを低下させる可能性がある。乳がんリスク低下は食物繊維、フラボノイド、抗酸化物質を定期的に摂取していることに起因しており、それらの物質はエストロゲン値を下げ、性ホルモン値を上げ、フリーラジカルを中和し、DNAを害から守り、酸化ストレスを減少させる。
食事成分詳細
果物、野菜、植物性食品
一般に地中海食に含まれる植物性食品は新鮮で加工度の低いもの。
果物や野菜、特にアブラナ科の野菜を摂取することで乳がんリスクを低減する可能性がわかっている。数多くの天然由来物質が、抗炎症作用、抗増殖作用、抗転移作用、抗血管新生作用、アポトーシス作用などの特性を示し、がんの予防剤となり得ることが確認されている。
ザクロ、食用キノコ、海藻、クルクミン、全粒穀物、柑橘類、ブドウ、キュウリなど、地中海沿岸で見られる多くの栄養価の高い天然植物は抗がん活性または抗悪性腫瘍活性によってがん発生と進行を妨げることが実験研究で明らかにされている。
野菜や果物のファイトケミカルには、カロテノイド、フラボノイド、テルペン、スタノール、植物性エストロゲン、フェノール酸など様々な化学物質を含む。
赤、オレンジ、黄色の果物、濃い葉野菜、海藻に含まれるカロテノイドは、強い抗がん作用を持つと考えられている。
カカオ、果物、菌類、お茶、野菜、ワインに含まれるフラボノイドはがん細胞の成長を防ぐ効果がある。
柑橘類に含まれる有機化合物の一種であるテルペン類はがん細胞の成長を遅らせることで抗がん作用を示し、抗ウイルス作用がある。
穀物、豆類、ナッツ類に含まれる化合物の一種であるスタノールは、細胞の代謝、免疫システム、細胞膜の構成に影響を与えることで抗がん作用を示す。
ベリー類、ニンニク、ブドウ、プラム、大豆、豆腐などに含まれる植物性エストロゲンは、局所的なエストロゲン合成の阻害やエピジェネティックな修飾の誘導を通じて乳がん予防に関連する。
穀類、コーヒー、果物、ハーブ、豆類、ナッツ類、油糧種子(ピーナッツ、オリーブ)、野菜に含まれるフェノール酸には抗炎症作用があり、酸化反応による細胞損傷を防ぐのに役立つ。
果物や野菜、特にアブラナ科の野菜を摂取することで乳がんを含む様々な種類のがんリスクを低減できることが数多くの疫学研究によって示唆されている。
カロテノイド
カロテノイドはニンジン、カンタロープ、メロン、パパイヤ、カボチャ、カボチャ、サツマイモ、ミカン、トマトなど、多くの果物や野菜にオレンジ色の色を与える天然色素。
カロテノイドにはがんを予防する可能性があることがいくつかの研究で示唆されている。
乳がんとカロテノイドの関連をまとめた疫学研究レビューでは、カロテノイド摂取量、特にβ-カロテンと乳がんリスクとの間に逆相関があることが観察されている。
他の研究でもα-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、ルテイン、リコピン、ゼアキサンチンなどの循環型カロテノイドが乳がんリスクと逆相関することが報告されている。これらのカロテンは顕著な抗酸化作用を発揮し、腫瘍の成長と浸潤を抑制し、アポトーシスを誘導する。
フコキサンチンは著名なカロテノイド色素で、自然界、特に藻類における推定カロテノイド総生産量の10%以上を占め、抗がん作用、抗炎症作用、抗酸化作用がある。日本などの東アジア諸国では「海藻」がフコキサンチンの伝統的供給源であり、何世紀にもわたって薬用として使用されてきた。
アスタキサンチン、クルクミン、ヒドロキシチロソール、オレウロペイン、レスベラトロール、スペルミジンなどの化合物は抗酸化物質として働き、マイトファジー媒介物質の誘導を促進することで保護をもたらす可能性を示唆する研究が増えている。
ポリフェノール
フラボノイドは自然界に存在するポリフェノールの約60%を占め、フェノール酸は約30%を占める。
豆類、果物、野菜、緑茶、赤ワインなどに含まれるフラボノイドには抗酸化作用や抗炎症作用がある。
ポリフェノールは植物性食品に含まれる生理活性物質の一種で、フラボノイド、ポリフェノールアミド、フェノール酸、その他のポリフェノールに分類され、さらにアントシアニン、フラバノール、フラボノール、フラボン、フラバノン、イソフラボンに細分化される。
アントシアニンは、ベリー類(ラズベリー、ブルーベリー、エルダーベリー、カシス、ストロベリーなど)、紫ニンジン、赤キャベツ、ナス、赤ブドウ、黒プラム、ブラックチェリー、ブラッドオレンジなどカラフルな果物や野菜に多く含まれる。
これらの食品が食事に多く含まれることから、アントシアニンは地中海式ダイエットの中で最も顕著な食事性フラボノイドであると言える。
アントシアニンは抗酸化作用と抗菌作用を持ち、乳がん細胞において異常に活性化したERK1/2およびAkt/mTORシグナル伝達経路を阻害することが判明している。
また、アントシアニンはAktとPLCγ-1の活性化を効果的に抑制し、がん細胞の運動性と浸潤を抑制することが実証されている。
フラボノールは果物や葉物野菜に含まれるフラボノイドで、ケルセチンとカエンフェロールが最も著名なフラボノール。玉ねぎ、カーリーケール、ネギ、ブロッコリーに豊富に含まれる。ケルセチンは乳がんT47D細胞においてG2/M停止とアポトーシスを誘導し、細胞増殖を抑制する。
またケルセチンとチモキノンは、P53遺伝子とDNA損傷マーカーをアップレギュレートし、乳がん細胞に著しい細胞毒性をもたらすことが明らかにされている。
またいくつかの癌細胞株では、DNA修復遺伝子の発現が抑制されることも明らかになった。
フラボンは主にルテオリンとアピゲニン配糖体から構成され、トマト、ナス、オリーブ、タイム、ペパーミント、ディルウィード、オレガノ、パセリ、ローズマリーに多く含まれる。ルテオリンは乳がんのがん幹細胞表現型の維持に重要な役割を果たすABCG2、アルデヒド脱水素酵素1、CD44、Cripto-1、ヘムオキシゲナーゼ1、Nrf2の発現を抑制するとともに、主要転写因子を抑制することが明らかになった。
また、ルテオリンとインドール-3-カルビノールの組み合わせが、エストロゲン受容体αとサイクリン依存性キナーゼ4/6経路を阻害することでERα陽性乳がんを抑制する相乗効果を持つことがin-vitroと異種移植動物モデルの両方で実証された。
地中海沿岸コホートにおける乳がんとフェノール酸由来化合物の関連調査では、研究対象者が摂取したポリフェノールの総量の40%がフェノール酸で構成されており1日の摂取量の中央値は260mg(四分位範囲:70~376mg)だった。
コーヒーや果物、野菜に含まれるクロロゲン酸を代表とするヒドロキシ桂皮酸を多く摂取している閉経後女性では、乳がんの発生率が低下したことが報告されている。
リンゴやコーヒーに含まれるクロロゲン酸は乳がんにおける酸化的損傷、ミトコンドリア機能障害、上皮間葉転換や浸潤を抑制する機能を示した。
消化性繊維
野菜や果物を摂取することで食物繊維を摂取することができる。
短鎖脂肪酸(SCFA)は大腸の細菌によって食物繊維を発酵する際に作られる。
人間の腸内で最も多く生成されるのは、酢酸、プロピオン酸、酪酸で、その比率はおよそ3:1:1:1。その他のSCFAとしては、ギ酸、イソ酪酸、2-メチルブタン酸、バレレート、イソバレレートが少量生産されている。
異なるSCFAの相対量は、摂取した食物繊維の種類、個人の腸内細菌叢、および健康状態全般によって異なる。
生存のためのエネルギー源を作り出すために、嫌気性微生物は消化性繊維を発酵させてSCFAを生成する。放出されたSCFAは大腸粘膜上皮細胞の燃料としても利用され、血流に乗って運ばれるため様々な宿主組織の生理機能の維持に役立つ。
新しい研究では、がんを治療する化学療法、免疫療法、放射線療法の効果がSCFAによって影響される可能性が示唆されている。SCFAの免疫調節特性は、免疫を抑制するTregや腫瘍を殺すCD4+およびCD8+ T細胞の量を変化させる重要な要因であると考えられる。
さらに酪酸を含むヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC)は、細胞周期や増殖の調節に関連し、他のHDACs阻害剤と同様に抗がん剤として試験されている。
果物やオリーブ由来のペクチンは消化性繊維で、発酵してSCFAになるほか低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールのレベルを低下させる。
ペクチンとその誘導体はがん細胞の成長を抑制し、アポトーシスを刺激する可能性がある。
また、他の植物化合物と組み合わせることで乳がん細胞の浸潤能を低下させる能力があることが実証されている。
さらにペクチンは血管新生を減少させることで、マウスにおける乳がん発症を予防する可能性が見出されている。
また、がん細胞の移動と浸潤に関与するウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子とウロキナーゼ受容体の合成を阻害する可能性がある。
ペクチン、特にリンゴペクチンは乳がん細胞増殖を抑制し、細胞接着、細胞周期、細胞死に関与するGal-3と呼ばれるレクチンの発現を低下させることが示されている。
またペクチンは乳がん細胞に酸化的かつ断鎖的損傷をDNAに与え、増殖を遅らせることが示されている。
オリーブオイル
伝統的な地中海食の主要なカロリーおよび脂肪源は、オリーブオイル(エクストラバージンオリーブオイルに限る)。
オリーブオイルの主要な脂肪酸であるオレイン酸は、n-9系一不飽和脂肪酸(MUFA)で、オイル全体の脂肪酸濃度の55~83%を占める。オリーブオイルには飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、ビタミン類、ポリフェノールなども含まれている。
健康な人に最も多く含まれる脂肪酸はオレイン酸で、血漿、脂肪細胞、細胞膜に存在する。オレイン酸を多く含む食事を摂ることで多数の免疫担当細胞経路が活性化され、炎症性疾患に役立つことが実証されている。
乳がんにおけるオレイン酸の効果については議論の余地があるが、オレイン酸は低転移性がん細胞に対しては抑制効果を示し、高転移性がん細胞に対しては選択的に細胞増殖と移動を促進することが明らかにされている。
トリプルネガティブ乳がん細胞を用いた共培養系では、脂肪細胞から分泌されるオレイン酸によって脂質過酸化と非アポトーシス細胞死であるフェロプトシスが抑制された。
また、がん細胞のアポトーシス、細胞内のカスパーゼ3活性、活性酸素の発生を高める。
多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、n-3系PUFAとn-6系PUFAに分類される。
飽和脂肪酸やトランス脂肪酸とは対照的にPUFAには抗炎症作用があるため、人間の健康に有利であると考えられてきた。オリーブオイルではn-6系PUFAであるリノール酸が抗動脈硬化作用に寄与し、n-3系PUFAであるリノレン酸も同時に寄与している。
乳がんリスクは食事のn-3系多価不飽和脂肪酸と逆相関することが明らかになっており、n-3/n-6PUFAs比率が高いほど、乳がんリスクが低いという結果も出ている。
一般的に欧米の食事はn-6PUFAが豊富。
欧米集団は、アジア集団と比較してn-6系PUFA、特にリノール酸の摂取量が多く、n-3系PUFAの摂取量が少ないため乳がん発生率が高くなっている。
欧米食ではn-6系PUFAを多く摂取するため、アジア系アメリカ人女性は白人女性に比べて乳がん発症率が60%高いと言われている。
魚類
乳がんは魚の摂取が好影響を与えるがんの一つのようだ。
ある研究では、地中海食摂取者で週5皿までの魚介類を食べる女性は乳がんリスクを78.9%から92.8%減らすことができるとしている。
また魚介類に含まれるPUFAが上皮成長因子受容体を阻害し、乳がんの成長を減少させることが実証された。
乳がんのリスクを下げることが実証されたオメガ3脂肪酸、特にエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)は魚に多く含まれる。
また、EPAやDHAなどの海洋由来のn-3PUFAは植物由来のものより8倍も乳がん予防に効果があることがわかっている。
アルコール摂取
乳がんリスクはアルコール摂取に関連する。
いくつかの研究により、アルコールは乳がんの重大な原因であることが判明している。思春期のマウスを用いた研究では、アルコールへの曝露が腫瘍発生の潜伏期間に大きな影響を与えることがわかっている。具体的には、対照群では18.5~22週だった潜伏期間が、アルコール群では9.5~8.4週と短縮された。
また思春期からのアルコール摂取は、乳腺上皮細胞の増殖、乳管成長、乳腺の終末芽形成に顕著な変化をもたらすことが明らかになっている。
地中食ではワインが飲まれているが、ワインからフラボノール、カテキンやエピカテキン、プロアントシアニジン、アントシアニン、各種フェノール酸、スチルベン・レスベラトロールが含まれることが報告されている。これらの化合物は抗酸化作用や抗炎症作用があることが報告されている。
ビールには主にフラボン、フラボノール、フェノール酸、タンニンなどの数多くのフェノール化学群が見つかっている。
ワイン、ビール、ウォッカの健康効果を比較した研究では、赤ワインだけが酸素による酸化ストレスに対する防御を提供することがわかっている。