前回のブログに引き続き長寿・アンチエイジングネタです。
全くストレスのない環境ですべてがうまくいった生活を続けた場合に、人間が生きられる最長の寿命は150歳が上限だという。
しかし現実社会ではストレスフリーなどあり得ない。
シンガポールのバイオ企業Gero社とRoswell Park Comprehensive Cancer Centerの研究チームが、加齢とストレスから回復する能力の低下との関連性に関する研究結果をNature Communicationsに発表した。
Gero scientists found a way to break the limit of human longevity
研究チームはAIを用いて、人間の寿命を左右する生理学的パラメータを2つ発見した。
1.「生物学的年齢」と呼ばれる値。この研究ではDynamic Organism State Index(DOSI)で示されている。この数値は、ストレス、ライフスタイル、慢性疾患と関連しており、標準的な血液検査から計算することができる。
2.「レジリエンス」は生物の状態変動の動的特性を反映している。この数値はストレス反応に対してどれだけ早く正常な状態に戻るかを示している。
「この研究では、人間の長寿の基本要因である「回復力」の漸進的な低下と定義される加齢と、回復力の低下に続く加齢関連疾患(死の執行者)の役割を明確にした点で概念的に画期的である」
アンドレイ・グドコフ博士は続けてこう述べている。
「加齢関連疾患の予防や治療が効果的なものであっても、本質的なアンチエイジング治療法が開発されない限り、平均寿命を延ばすことはできても、最大寿命を延ばすことはできない」
本質的なアンチエイジング治療法のヒントとは・・・
ハーバード・メディカル・スクールの遺伝学教授であるデビッド・シンクレア氏は、この研究について
「今回の調査は”回復速度”が老化の重要な指標であることを示しており、老化のプロセスを遅らせて健康寿命を延ばすための薬剤を開発する指針となる」
とコメントしている。
・AIは健康的なライフスタイルを選択したり、喫煙などの不健康な生活習慣をやめると、寿命が延びることを予測している。
・健康な被験者は非常に回復力が高く、回復力の低下は慢性疾患や全死亡リスクの上昇に関連することが判明した。
・なんらかのストレスを受けた後に平衡状態のベースラインに回復する速度は、加齢とともに低下し、回復に必要な時間もどんどん長くなる。40歳の健康な成人では約2週間だった回復時間が、80歳の集団では平均して6週間に伸びた。
回復速度を維持するための要素は前回のブログを参考にしてみてください。