線維筋痛症(FM)は主に女性が罹患する疾患で、原因はまだ特定されておらず、全身の痛みに加え、不安、抑うつ、疲労、体重増加、QOLの低下、日常業務の困難などを引き起こす。
過去に体内の炎症マーカーがFMを悪化させるかどうかを調査した研究では、痛みのレベルが強いFM女性および除脂肪体重が低いFM女性はQOLが低いことに加え、筋力が低下していた。
FM女性の炎症を抑え、筋肉量と筋力の増加を改善し、QOLを向上させるための取り組みを行うことが推奨される。
線維筋痛症(FM)の原因の一つとして、酸素活性種の増加が指摘されている。
また、レドックスマーカーのアンバランスがFM患者の痛みの増幅や除脂肪体重と関連する可能性も指摘されている。
リンクの研究は、FM患者における痛みと除脂肪体重に関連する可能性のある因子を調査することを目的としたもの。
FM患者47名を対象とした横断研究。
筋肉痛の自己認識、除脂肪体重、身体組成、QOL、睡眠の質、うつ病指数、筋力パフォーマンス、酸化ストレスバイオマーカーを評価。
結果、血中抗酸化物質濃度が低くQOLが低いと、筋肉痛が大きくなることが観察された。
また、血中酸化ストレスマーカーが高く、筋力パフォーマンスが悪く、QOLが低いと、FM患者の除脂肪体重が低いことが観察された。
過酸化脂質の増加と抗酸化物質の減少は筋力の低下と生活の質の低下に加え、FM患者における筋肉痛の増加と除脂肪体重の減少に独立して寄与をしている可能性があると結論。
Oxidative Stress Biomarkers and Quality of Life Are Contributing Factors of Muscle Pain and Lean Body Mass in Patients with Fibromyalgia
・筋肉のパフォーマンスの低下、QOLの低下、さらにレドックスバイオマーカーの不均衡が、FM患者における筋肉痛の増加や除脂肪体重の減少の独立した要因である可能性が示された。
レドックスバイオマーカーのバランスを整える努力は、筋肉痛や除脂肪体重といったFM患者の筋肉症状の改善における優先事項のひとつであると考えられる。
・ストレスが筋肉痛や炎症反応を引き起こすと、ストレス認知がQOLの低下につながることから中枢性感作がFM疼痛における基本的なメカニズムであることが示唆されている。
・ミトコンドリア機能障害は、末梢性筋肉痛、脱力感、疲労、運動不耐性を引き起こす可能性があり、FMで報告されているように慢性疼痛患者は、うつ病、不安、睡眠障害、認知障害などの併存疾患を有する確率が高い。
・他の研究では、持続的な痛みと抗酸化活性、特にSOD依存との間に直接的な関連があることがわかった。これは、SODレベルの減少が筋肉痛の増加と関連しているという今回の知見を裏付ける。
・細胞ホメオスタシスの乱れ、筋骨格系の酸化ストレス、低いQOLが、FM患者における高い筋肉痛の予測因子となる可能性がある。
・肥満がFMにおける大きな懸念材料であることを強調する。FM女性における過体重および肥満の有病率は76%であり、平均BMIは28.99kg/m2であった。
最近の研究では、肥満や過体重のFM患者は正常体重の患者よりも痛みやQOLの面で障害があり、BMIが高いFM患者は除脂肪体重が低く、QOLが悪いことが示されている。
・酸化的バイオマーカーの血中濃度は年齢と相互作用するようだ。