若く痩せた成人を対象とした研究では、代謝異常のごく初期の兆候を示す人ほど、活性型褐色脂肪組織(「褐色脂肪」とも呼ばれる)が多く存在することがPET/CT画像で明らかになった。
Journal of Nuclear Medicine誌に掲載されたリンクの研究は、「Pre-prediabetic」状態に対抗するために褐色脂肪が動員され、ごく初期の代謝異常やホルモン異常に対する第一線の保護機構として機能する可能性を示唆。
Active brown adipose tissue protects against ‘pre-prediabetes’
褐色脂肪は、寒い季節など体温が低下すると活性化し、熱を生産して体を温める脂肪の一種。
現在、褐色脂肪の生体内検出技術としてはFDG PET/CT検査が最も一般的で、褐色脂肪がグルコースと脂肪酸を消費することがいくつかの研究により明らかになったことから肥満や他の代謝異常の治療ターゲットとなる可能性がある。
18歳から35歳の体格指数(BMI)18から25の健康な成人ボランティア34名を対象に、血液採取、生活習慣の聞き取り調査を実施。
褐色脂肪を活性化させるために被験者は冷却スーツを着用し、体温を震えが起こる程度まで低下。
2時間後、被験者は冷却スーツを脱いでFDG PET/CTによる画像診断を実施。
また、冷却スーツを脱いだ後に冷却後の血液を採取。
被験者ごとに活性化した褐色脂肪を分析し、グルコース、インスリン、脂質、その他の代謝物レベルと活性化した褐色脂肪量および強度を相関させた。
活性化褐色脂肪の高値は、早期の代謝機能障害と関連しており、冷却前のグルコース、インスリン、甲状腺刺激ホルモン、トリグリセリド値は高褐色脂肪群の方が低褐色脂肪群より有意に高かった。
BMIにも有意差が認められ、褐色脂肪レベルが高い被験者は、低い被験者よりもBMIが高いことが判明。
褐色脂肪レベルが低い人ほど、コントロールされた食事を守り、定期的に運動していると報告する傾向があった。
褐色脂肪組織が全体的な代謝の健康にかなり影響する(影響を受ける)可能性があることを示唆。
分子イメージングが代謝障害を発症するリスクのある患者の特定に有用である可能性を示し、褐色脂肪の活性化が「pre-prediabetic」における代謝保護機構であることを示唆。