アイシングについては多くの議論がある。
運動後のアイシングによって身体的パフォーマンス、炎症性バイオマーカーの調節、疲労・回復・ウェルビーイングに関する指標に及ぼす影響について多くの研究が行われている。
研究が行われ、アスリートが広く使用しているにもかかわらず、現在ではアイシングの効果については懐疑的な見方がトレンドのようだ。
ちなみに上の画像は2021年のNBAオールスターゲーム後のショット。
KINGは以前から膝のアイシングしてる。
エビデンスがどうあれ本人が調子良いと思えばするよね。
リンクのデータは、運動後のアイシングを適切に行うために、背景の違いを考慮・理解することを目的に、科学者に解説を依頼して回復アイシング戦略の使用を批判的に検討したもの。
53名の寄稿者による13本の論文を掲載。
応用実践の改善に関して、また、運動後アイシングの使用をめぐる論争に対処するためにコレクションをまとめている。
The Use of Post-exercise Cooling as a Recovery Strategy: Unraveling the Controversies
・冷水浸漬(CWI)と筋力適応
CWIが筋力適応に与える影響について検討した研究では、CWIはレジスタンストレーニング後の短期的な回復を促進するかもしれないが、大部分のエビデンスは、レジスタンストレーニングに対する分子シグネチャーと生理学的適応を弱める方向にあると結論づけた。
一方で、トレーニング中にCWIを定期的に使用(3週間で12セッションのCWI)すると、スポーツ障害が発生せず、垂直跳びのパフォーマンスが向上する傾向があることを実証している研究もある。
他のレビューでは、2.5週間から8ヶ月にわたって運動後のCWIを実施したアスリートで、障害がなく、むしろ筋力が向上する傾向があることを示す結果が強調されている。
こういった研究結果の不一致は、実験的アプローチの違いに起因している可能性がある。
トレーニングセッション間の回復が限られている(10セッション以上/週)シナリオでは、CWIはその後のトレーニングパフォーマンスを向上させ、結果として適応に十分なトレーニング刺激を維持することができるようになるようだ。
CWIの有益な回復効果は、テクニカルコンディショニングまたはエアロビックコンディショニングの後にこのモダリティをプログラムし、レジスタンストレーニングセッションの後にはこれを避けることで活用できるとする意見もある。
このように運動後のアイシングは、適応前の運動課題の適合性、回復を必要とする生理的システム、およびトレーニング要求とアスリートの健康状態の変化による回復の必要性に合わせて戦略的にプログラムする、回復ピリオダイゼーションが提案されている。
・高強度ワークアウト間のアイシング
4kmのサイクリングタイムトライアルを2回行う間に、5~10分間のCWIを実施し、その効果を調査した研究では、CWI後に熱および知覚スケールが緩和されたにもかかわらず、受動的または能動的回復群と比較して同様のパフォーマンスを報告した。
CWIがこのようなパフォーマンスタスクに役立つメカニズムは明らかではないが、血行動態の変化(静脈還流に影響)、心臓の副交感神経の再活性化などがメカニズムと考えられる。
しかし、高体温は高強度かつ短時間の運動の主要な制限要因とはならないことから、高強度かつ短時間の運動中に冷却を行うことは、環境的な熱ストレスがない場合を除いて、せいぜい議論の余地があるに過ぎないとする意見もある。
*運動後の冷却と知覚の回復
CWIが感覚とそれに伴う生理学的な回復に与える影響を調査した研究では、CWIは筋肉痛を緩和し、交感神経の遮断を促進し、副交感神経の活動を増加させることが報告された。
アスリートは、浸水時に痛みや不快感を訴えたが、これらの感覚は最初の3分間で徐々に減少し、リラックス感、幸福感、活力、活力の向上に変化した。
今後は、このような感覚的な体験が、激しいトレーニング期間中にどのように変化していくかを調査する必要がある。
*新たなメカニズム
運動後の冷却に対する主な反応は、末梢血管収縮、四肢血流量の減少、末梢から中枢への血液量の再分配など。このような生理学的変化によって運動後の起立不耐症を軽減することができ、その他の回復効果もあることを強調する研究もある。
また、夕方のトレーニング後のCWIに頭部を入れると、その後の睡眠構造が改善されることを示唆する研究もある。しかし、頭部浸漬は副交感神経活動を低下させ、睡眠傾向は改善されたものの、温熱感覚と快適性を阻害した。
*新たな冷却モダリティ
特殊な相変化材料(PCM)による長時間(3~6時間)の穏やかな冷却刺激は、筋損傷後の筋力低下を緩和するためにより効果的であると言われている。