過去のブログで新型コロナのリスク要因をブログに上げてきたが、総評的データが出てきたので簡単にまとめてみたい。
医療従事者や詳しい方には耳タコな内容だろうが、結局は基本的な健康管理が重要ということだろう。
ジョンズ・ホプキンス大学のデータ(2021年9月30日更新)によると、現在コロナウイルス感染者は世界で2億3300万人、470万人の死者が出ていることから、初期SARS出現時に予測されていた緊急事態に各国が準備ができていかったことは明確である。
今回のパンデミックは将来に到来する多くの予見可能なパンデミックの1つに過ぎない。
将来のパンデミックの予防と治療を考慮する上で、健康的なライフスタイルと環境曝露を組み合わせることは、ワクチンや薬に付随する重要な対策となる。
主に定期的な身体活動の実施、肥満の回避、新鮮な果物・野菜、ポリフェノール、微量栄養素、魚由来のオメガ3脂肪酸(例えば、地中海食)を豊富に含む食事の摂取、炎症の抑制、心理社会的ストレスと環境汚染物質への曝露を回避、健全な睡眠パターン、禁煙が挙げられる。
双子を対象とした研究では、遺伝的素質と比較して、非遺伝的要因が免疫反応の個人差に最も強く寄与していることが明らかになっている。
実際、様々なライフスタイルや環境因子は免疫反応だけでなく、ワクチン接種に対する個人の反応も調節する。
健康状態は明らかに複数の変数に依存するため、異なる内因性および環境因子への曝露を一括して考慮するより包括的なパラダイム、いわゆる「エクスポソーム」が重視されている。
エクスポソームは、個人レベル(身体活動、体重管理、食事、 ストレス、睡眠と概日リズム、公害、喫煙、腸内マイクロバイオーム) と環境暴露(気候や日光、環境汚染)の2つの非遺伝的暴露の大枠を それぞれ包含している。
これらすべての暴露は、複雑なメカニズムを介して相乗的に作用し合い炎症を引き起こす可能性がある。
リンクのナラティブ(非系統的)レビューでは、エクスポソーム(身体活動、体重管理、食事、ビタミンDと日光への暴露、ストレス、睡眠と概日リズム、環境汚染への暴露、喫煙、腸内マイクロバイオームなど)が炎症と免疫機能に及ぼす影響を要約し、新型コロナなどの感染症の予防や発症後の予後におけるライフスタイルの変化の役割、およびワクチンの効果への影響に焦点を当て考察している
The Exposome and Immune Health in Times of the COVID-19 Pandemic
身体活動
現在のパンデミック下では座位が多い生活様式となり、インスリン抵抗性、脂質異常症、血管内皮機能障害、高血圧、サルコペニアなどを引き起こす可能性がある。
運動不足は35以上の慢性疾患の原因であると言われている。
逆に、定期的な身体活動(PA)が免疫機能に有益な効果をもたらすことはよく知られている。
定期的な運動は運動不足の対照群と比較して、市中感染及びその後の死亡リスクをそれぞれ31%及び37%減少させるとするデータもある。
実際に、中強度または高強度のインターバル運動を4週間行うだけでもナチュラルキラー(NK)細胞の数および機能の顕著な改善につながる。
また、定期的な運動は加齢とともに進行する免疫機能不全を抑制する。
リンパ組織と血液の間の自然免疫細胞のトレードを促進し、病原体に対する免疫機能を向上させ、全身性炎症も抑制するなど、免疫系に利益をもたらす。
筋収縮は、骨格筋からサイトカインを誘導し、それによって他の組織や器官に到達して抗炎症作用を含む無数の有益な効果を引き起こす。
定期的な運動の有益な効果は、ミオカイン(またはエクサーキン)が血中に放出される「時間窓」(すなわち、運動中およびその後の時間)が頻繁に繰り返されることで、有益な効果が蓄積されることに起因している。
インターロイキン(IL)-6は活動中の筋肉から放出され、ミオカインとして働くと抗炎症作用を発揮してNK細胞を刺激するが、この作用は安静時には観察されない。
定期的な運動によって達成できる高いレベルの心肺機能(CRF)は、低いレベルのCRFと比較して急性呼吸器感染症による疾病日数の減少(-46%)させる。また、理論上CRFが高いとCOVID-19合併症のリスクを低減できる免疫マーカーの発現にプラスの影響を与えることが報告されている。
さらに運動は、新型コロナやその他のワクチンの有効性を向上させるためにも有益かもしれない。
インフルエンザワクチン接種前の「急性」(すなわち、1回のセッション)または定期的な運動(反復セッション)はいずれも安全で、ワクチン接種に対する免疫反応を高めることができまる。
インフルエンザワクチン接種の6時間前に、同じ腕の非利き腕の三角筋と上腕二頭筋の収縮を行うことにより、男性細胞媒介性免疫反応(インターフェロン-γ反応の増強により反映)が、女性では抗体反応が向上することを示す研究もある。
過去のメタアナリシスでは、定期的な運動がインフルエンザ、肺炎球菌、水痘帯状疱疹ウイルスに対するワクチン接種後の抗体価をそれぞれ上昇させることが明らかにされている。
また、以前は座位が多くインフルエンザワクチンの反応が悪かった70歳前後の参加者を対象とした研究では、中強度の有酸素運動に無作為に割り付けた参加者は対照群と比較してインフルエンザシーズン全体を通じてインフルエンザ血清防御の著しい改善を示したことが明らかになっている。
さらに、身体的に活動的な高齢者は座りがちな高齢者に比べて「老化」T細胞が少なく、ナイーブT細胞の数が多いことが知られている。
体重管理
肥満の人はCOVID-19感染のリスクが高いだけでなく、正常体重の人と比べて予後が悪い(重症化および死亡のリスクが高い)という証拠がある。
肥満が免疫機能に及ぼす有害な影響には、いくつかのメカニズムが関与している。特に腹部臓器周辺の過剰な脂肪率(内臓脂肪)は炎症性サイトカインやアディポサイトカインやアディポカインの産生・分泌の増加し、低悪性度慢性炎症(LGCI)につながる。
過剰な脂肪率は新型コロナに対して重要な免疫細胞に影響を及ぼし、NKリンパ球の数の減少及び細胞殺傷能力の低下と関連している。
一方、脂肪細胞によって産生される最も豊富なアディポカインの1つであるレプチンは、単球やマクロファージにおける炎症性サイトカインの産生を増加させ、サイトカイン産生の調節障害、感染症、自己免疫疾患に対する感受性増大、および炎症反応のアップレギュレーションをもたらす。
これは多くの肥満に関連する併存疾患が、免疫機能障害と関連している理由を説明できるかもしれない。
さらに、脂肪組織におけるアンジオテンシン変換酵素(ACE)2の発現は、肺組織のそれを上回っている。ACE2はSARS-CoV-2の重要な侵入受容体であるため、過剰な脂肪組織の結果としてこの膜受容体のレベルが上昇すると、標的細胞へのウイルスの侵入を促進し、COVID-19感染のリスクを増大させる。
また、肥満は呼吸機能障害と関連しており、低換気、肺高血圧、および心ストレスのリスクを高め、COVID-19の予後を悪化させる。
BNT162b2ワクチンの2回目を接種した248人の医療従事者を対象とした最近の研究では、肥満の人は正常体重の人と比べてワクチン接種に対する反応が損なわれている。
これは、肥満がB型肝炎、狂犬病、破傷風、又はインフルエンザに対するワクチン接種後の免疫反応を低下させ得るという過去の証拠と一致している。
ビタミンDと日光浴
ビタミンDは免疫系の適応型と自然型の両方を調節し、ウイルス感染に対する炎症反応を改善する可能性がある。35,833人の参加者を対象とした研究により、ビタミンDの状態のバイオマーカーである血漿25-ヒドロキシビタミン(OH)Dの低レベルは、38年間のフォローアップにおいて細菌性肺炎の高リスクと関連していることが示された。
症例対照研究、横断研究、前向きコホート研究の最近の系統的レビューとメタ分析では、37.5nmol/L未満の25(OH)Dレベルと急性気道感染症のリスクと重症度の間に有意かつ非線形の相関があることが示されている。
またビタミンDの補給は、特にビタミンD欠乏症の人々において、呼吸器感染症及び喘息の増悪の発生を減少させることができるという証拠がある。
ビタミンDはCOVID-19の予後に影響を与える可能性がある。
スペインやイタリアなど、住民の血漿中ビタミンD濃度が低いヨーロッパ諸国(特に高齢者)は、パンデミックの初期にCOVID-19による死亡率が最も高かった。
さらにビタミンDの欠乏は、COVID-19感染に対する感受性の高さ及び感染患者における集中治療室(ICU)入院のリスクの高さと関連しており、重症患者ではビタミンDレベルの低さが報告されている。
低用量(1000IU)と比較して、5000IUを2週間毎日経口補給すると、ビタミンD状態が最適でない軽度から中等度のCOVID-19患者の咳や味覚減退などの症状の回復までの時間が短縮されたデータがある。
さらに13の研究および2933人の患者を含むメタアナリシスでは、ビタミンDの補充はCOVID-19による有害転帰、ICU入院、および死亡のリスクの低下と関連していることが明らかになった。
COVID-19合併症に対するビタミンDの効果は、抗菌および抗ウイルスタンパク質の産生、ならびに炎症反応の調節、それによってサイトカインストームを防ぐ(または抑制する)効果によるものと考えられる。
紫外線はビタミンDとは無関係に免疫調節効果を発揮する。
慢性的に紫外線に曝されている皮膚部位(三角筋の上など)は、効果が低下する可能性があるためワクチンの投与に最適な部位ではないかもしれず、非曝 露部位(例えば、臀部、上腕内側など)がより適している可能性がある。
風疹ワクチンを冬に接種した子ども(紫外線への曝露が少なく、したがってビタミンDレベルが低い)では、夏に接種した子どもと比べて高い抗体価が認められた。このことは、日光への暴露がワクチンの有効性を損なう可能性を示唆している。
対照的に、B型肝炎ワクチンの反応は、夏よりも冬に悪いことが証明されている。
寒冷地や温帯地域ではインフルエンザや風邪の年次流行は、 日照時間が短くビタミンDを刺激する紫外線のレベルが低い秋から冬にかけて起こる。
さらに、インフルエンザウイルスは太陽光の紫外線を浴びると急速に不活性化される。
興味深いことに、SARSと新型コロナの両方が冬季に出現しており、最近の研究では寒くて乾燥した天候と低レベルの紫外線がSARS-CoV-2の高い感染性と適度に関連していると推定されている。
ストレス
最近のメタ分析では、一般人口の約3分の1がCOVID-19パンデミック中にストレスの症状を示したと報告されている。
心理的ストレスは免疫機能不全の引き金となりうる。試験や初デートで経験するような短時間のストレスは液性免疫を維持しながら細胞性免疫を抑制する傾向があるが、慢性的なストレスは細胞性及び液性の両方の抑制と関連している。
心理的ストレスは急性呼吸器感染症の高リスクと関連しており 、心理的ストレスといくつかの慢性疾患、特にうつ病、心血管疾患、ヒト免疫不全ウイルス/後天性免疫不全症候群との関連は確立されている。
急性ストレスと炎症性バイオマーカー(IL-1β、IL-6、IL-10、TNF-α)との直接的な関連については、メタアナリシスによる証拠がある。
慢性ストレスは酸化ストレスの増加を通じて「炎症性老化」(加齢に関連する慢性的な炎症)を引き起こすと考えられている。
これはワクチンの効果にも関係するかもしれない。
心理的ストレスがインフルエンザワクチン接種に対する抗体反応を低下させる可能性があるとするメタアナリシスもある。
短期的なストレス要因(例えば、学力試験)と長期的なストレス要因(例えば、介護)の両方において、ワクチン応答を損なう可能性を指摘するデータは多い。
COVID-19感染と心理的障害(うつ病など)を直接結びつける証拠は見つからないが、パンデミック中に全人口が直面するストレス状況は免疫機能を損ない、その結果、SARS-CoV-2感染リスクを高め、おそらくワクチン効果にも影響を及ぼすと思われる。
睡眠とサーカディアンディスラプション
シフト勤務、長時間労働、24時間人工光(店舗、電話、テレビ、インターネット)にさらされるなど、多くの行動が睡眠障害を引き起こす可能性がある。
このような背景から、睡眠障害はCOVID-19パンデミックのもう一つの帰結として浮かび上がってきている。
睡眠不足及び概日リズムの乱れは、免疫機能不全及び炎症促進状態と関連している。
睡眠不足は、TNF-α、IL-1、またはIL-6などの炎症性サイトカインをアップレギュレートする。
高齢者では加齢に伴う夜間覚醒時間および日中の眠気の変化が、血漿IL-6およびコルチゾール濃度の上昇と関連している。
最近のメタアナリシスでは、長い睡眠時間および睡眠障害が、CRPおよびIL-6の高値と関連していることが判明した。イタリアの1310人を対象とした研究では自宅自粛生活中、参加者はベッドで過ごす時間が長いにもかかわらず睡眠の質が低いことを報告した。
これは、ストレスや概日リズムの乱れなど様々な要因に起因しているのかもしれない。
概日リズムの乱れはメラトニン合成の低下と関連する夜間の光への曝露に よって引き起こされる可能性がある。メラトニンは抗炎症作用を発揮する免疫調整剤としての特性を有している。
しかしメラトニンの最も認知された機能は、概日リズムの調節である。
概日リズムの乱れと不十分な睡眠は慢性炎症を促進して免疫老化の一因となるため、感染症やワクチンに対する免疫反応にも影響を及ぼす可能性がある。
実際、睡眠時間が1時間増えるごとにB型肝炎ワクチン接種後の二次抗体レベルが56%上昇することが示される一方、1日6時間未満の睡眠は1日7時間未満の睡眠に比べてワクチン接種に対して臨床的に防御反応を示す可能性が低い。
睡眠は、睡眠をとらない場合と比較して免疫記憶を高め、それによってA型肝炎ワクチン接種後の抗原特異的T-ヘルパー細胞反応の利益を生み出し、それは1年後にも維持された。
しかし一方で、短期間の研究では相反する結果が得られているため、睡眠不足がワクチン接種に対するヒト抗体価反応に影響を与えるかどうかを確認するためには、より多くの研究が必要である。
環境汚染にさらされる
大気汚染への長期的な曝露はACE2の過剰発現をもたらし、COVID-19の予後を悪くする可能性を増大させる。大気汚染への曝露は、全身的な炎症反応、ウイルスを貪食する肺胞マクロファージを介した炎症反応、および宿主免疫にも影響を及ぼす可能性がある。
大気汚染への曝露が呼吸器感染症のリスクを高め、結果としてCOVID-19の予後を悪化させる可能性があることを示す証拠が多数ある。
COVID-19の流行により汚染レベルは大きく低下したが、大気汚染への曝露は症状の重症度および死亡リスクと同様にCOVID-19感染率を高める可能性もある。
COVID-19の死亡率に関しては、イタリア、スペイン、フランス、ドイツの66の行政区域で記録された4443件の死亡例のうち、大部分(83%)は二酸化窒素レベルが最も高い地域で発生した。
喫煙
コロナウイルスも標的細胞への侵入口として細胞膜受容体ACE2を利用しているという証拠が蓄積されている。タバコの煙の主成分であるニコチンは、ACE2受容体の発現または活性をダウンレギュレートすることができるかもしれない。
したがって、喫煙中に吸入されたニコチンがCOVID-19に対して保護効果を有するという仮説が成り立つ。しかし最近発表された報告によると、肺のACE2受容体は、喫煙者では非喫煙者よりも活性化されており、喫煙がACE2の発現を調節することによってCOVID-19の危険因子となる可能性を示している。
当初喫煙とコロナ感染/疾患の重症度との関係については論争があり、免疫機能に対するニコチンの役割については矛盾する仮説が存在した。(以前ブログで紹介したデータでは喫煙者の方がコロナ重症化リスクが低く驚いた)
いくつかの研究は、ニコチンには抗炎症作用がありウイルス感染に反応してしばしば生じるサイトカインストームを抑制するのに有益である可能性を示唆している。
しかし、喫煙者は非喫煙者に比べてB型肝炎などのワクチンに対する無反応のリスクが1.53倍高いというメタ分析がある。
ワクチン接種に対する反応性の低下は、喫煙に関連した炎症性状態によって媒介されている可能性がある。
喫煙がCOVID-19の感染と重症化に対して保護的でありうることを示唆する前臨床証拠もあることを念頭に置くとさらなる研究が必要。
腸内細菌叢
腸内細菌は免疫、炎症、病原体に対する防御において極めて重要な役割を担っている。
腸内細菌叢の変化(ディスバイオーシス)は、常在菌に対する免疫応答の調節障害と微生物の炎症性コミュニティの安定化をもたらし、慢性炎症につながる恐れがある。
ディスバイオーシスは、肥満、2型糖尿病、高血圧、結腸癌、自己免疫疾患(炎症性腸疾患)、アレルギー性喘息及びヒト免疫不全ウイルスなどの様々な症状に関連する。
上述のエクスポソーム要因のいくつかは腸内細菌叢の状態に影響を与え、ディスバイオーシスにつながる可能性があり、エクスポソームの異なる構成要素と宿主との双方向的かつ動的な関係を反映している。
抗生物質やその他の薬剤(例えば、プロトンポンプ阻害剤、抗精神病薬、オピオイド、非ステロイド性抗炎症薬)の不適切な使用は、腸内細菌叢の全体構造に著しい影響を与える。
他には、身体運動、心理社会的ストレス、タバコとアルコール、食事が腸内細菌叢の構成と機能に影響を与える因子に含まれる。
高脂肪/低繊維の西洋化された食事は細菌種の多様性減少と関連し、有益な種(Bifidobacterium、LactobacilliumまたはEubacteriumなど)の存在度を低くするのに対し、地中海食は反対の効果を持つ。
一方、プロバイオティクスと炭水化物は腸内細菌叢を良好に調節し、それによって免疫調節作用および抗炎症作用を発揮する可能性がある。
様々なプロバイオティクスを含む発酵乳製品である低脂肪ヨーグルトは、介入研究および観察研究において、慢性炎症のマーカーおよび腹部肥満の低減と関連している。
一方、逆説的だが、COVID-19を予防するために提案されている手洗いなどの衛生対策が、腸内細菌叢の組成を変化させる可能性がある。
細菌や特定の感染症にさらされることで免疫系の発達が促されるとする「衛生仮説」によれば、過度の衛生対策はマイクロバイオームに悪影響を及ぼす可能性がある。
最近では、コロナ患者におけるディスバイオーシスの存在を示唆する研究がある。
ある研究では、腸内細菌種Faecalibacterium prausnitzii(抗炎症性細菌)の存在量と疾患の重症度との間に逆相関があることを見いだした。
また、腸内マイクロバイオームが宿主免疫応答の調節を介して、コロナ重症度の大きさに関与していると結論づけた研究もある。
これらの研究者らは、疾患が治癒した30日後でさえ腸内マイクロバイオーム組成が依然として変化しており、これが症状の持続に寄与している可能性があることを発見した。
プロバイオティクスはウイルス感染に対する全身的な免疫反応を改善し(それによって、結果として生じる肺組織損傷及び心血管合併症を減衰させ)、感染によって影響を受けるグルコース/脂質代謝経路を調節することもできる。
これらの知見は、まだ証拠は限られているものの、プロバイオティクスがコロナの軽度および重度の両段階に対する予防および代替治療戦略として考えられる可能性があることを示唆している。
腸内細菌は、ワクチン接種に対する免疫反応にも影響を及ぼす可能性がある。
腸内細菌がワクチン接種に対するB細胞及びT細胞の両方の応答を改善するというエビデンスがある。
注目は、ワクチン応答は地域間で大きく異なる可能性があること。
考えられる可能性は、集団間の腸内細菌叢の種類の高いばらつき。
例えば、ガーナの小児を対象に実施した研究ではロタウイルスワクチンの免疫原性と有意に相関する腸内細菌叢の構成が、発展途上国で報告されたロタウイルスワクチンの有効性の低下に寄与しているかもしれないと結論付けている。
ワクチン反応に対するプロバイオティクスの役割に関する最近の系統的レビューでは、プロバイオティクスはワクチンの有効性と保護期間を改善するための比較的安価な介入であることが示唆されている。
結論
新型コロナの流行を通じて、免疫の健常性に大きな役割を果たすエクスポソームと総称される様々な生活習慣や環境曝露が悪化している。
特に、運動不足や肥満の増加、不健康な食事パターン、高いレベルの心理社会的ストレス、睡眠不足、概日リズムの乱れ、さらには大気汚染への高い曝露、低い日光曝露、ビタミンDレベルの不足などが挙げられる。
ウイルス感染を回避することを目的とした対策(自宅軟禁、公園や体育館の閉鎖など)を実施することで、他の健康指標に及ぼす悪影響を覆い隠してしまうようなことがあってはならない。