今年もNBAはいいチームばかりでどの試合も目が離せない状況なものの、漢はだまってBULLS一択ということ(?)で、今年はBULLS推しに終始。
去年はLA推しだったけど、今年は今のところディフェンスがいまいち機能してなくて興醒め感漂い。
どうしたレイカーズ・・・
さて
今回は、バスケットボール選手の筋伸張性の性差を解析したデータをまとめてみたい。
関節可動域や筋身長力・柔軟性は競技能力やスポーツ障害予防の観点から重要視される要素の一つ。
シーズン中のケアやオフシーズンのトレーニング戦略の構築に役立つかもしれない。
筋伸張性や関節可動域(ROM)の解析目的として、
・運動能力やスポーツ傷害における筋緊張や非対称性など柔軟性に関連する危険因子の特定
・物理的・技術的なトレーニングプロセスやスポーツ傷害リハビリの進捗度評価
が挙げられる。
ROMの測定方法は、American Academy of Orthopaedic SurgeonsやAmerican Medical Associationといった機関によって国際的に確立されている。
スポーツ選手におけるROM評価では、異なる競技間で柔軟性の値に差があることがわかっている。また、柔軟性は年齢、性別、筋肉の非対称性による片側優位性、選手のポジションに依存的である。
競技の技術的動作特性ごとに身体的・技術的パフォーマンスを向上させることができる最適なROMを持っていること選手も観察されている。
身体的・技術的パフォーマンス(スプリント、ジャンプ、アジリティ、キック、バランス)は、技術的動作が筋肉の硬縮や最適ではないROMによって制限されると低下する。したがって、アスリートが成功するためには特定のまたは機能的なROMが必要で、それには他のスポーツパフォーマンスパラメータの最適値が伴わなければならない。
筋肉の緊張によるROM制限や、筋肉の非対称性、四肢間のROM非対称性はスポーツ傷害と関連していることがいくつか研究で明らかになっている。
そのため、スポーツの下肢柔軟性プロファイルを規定する基準値を知ることは非常に重要である。
スポーツ医療の専門家がアスリートのROMを評価する場合、その結果をそのスポーツの基準値(傷害リスクを予測するための最適なカットオフ値)と比較することで、傷害のリスクが高いアスリートを特定することができる。
過去に、バスケットボール選手(BP)を対象とした下肢の特異性分析ROM研究の存在は確認されていない。
リンクの研究は
・64名のBPの下肢柔軟性プロファイルを性差とともに定義
・1つ以上の動作においてROMが制限されていたり、下肢ROMの非対称性に起因する傷害のリスクが高い選手を特定すること
を目的とした観察研究。
バスケットボール選手(BP)の柔軟性プロファイルを分析で可動域(ROM)の性差が明らかになり、スポーツ傷害の受傷リスクが高い選手を特定することができる。
スペインバスケットボールリーグに所属する64名(男性33名、女性31名)の選手が参加しました。
股関節、膝関節、足関節において8つの受動的ROMテストを評価。
各選手は、年齢、基本的な人体計測データ、利き側の四肢、トレーニングやスポーツに関連する変数に関するアンケートに回答。
下肢の柔軟性プロファイルは
・15°と10°の股関節伸展(HE)
・膝関節伸展時の38°または39°の足関節背屈(ADF-KE)
・膝関節屈曲時の39°または40°の足首背屈(ADF-KF)
・43°の股関節外転(HAB)
・股関節屈曲時の75°と61°の股関節外転(HAB-HF)
・膝関節伸展時の78°と83°の股関節屈曲(HF-KE)
・134°と120°の膝関節屈曲(KF)
・145°と144°の股関節屈曲(HF)
を男女のバスケットボール選手でそれぞれ行った。
HE、HAB-HF、KFで性差が認められた。
選手はADF-KF、HE、HAB-HF、HF-KE、KFでROMが制限されていると報告し、主にHE、ADF-KE、KF、ADF-KF、HF-KEでROMが非対称であると報告した。
本研究で特定したBPの性別に特化した下肢柔軟性プロファイルスコアは、アスレチック&コンディショニングトレーナーがROMスコアの異常から傷害のリスクが高い選手を特定するのに役立つと結論している。
Lower Extremity Flexibility Profile in Basketball Players: Gender Differences and Injury Risk Identification
・本研究で得られた柔軟性プロファイルではいくつかの性差が見られた。一般的に、スポーツ分野では女子選手は男子選手よりも下肢の柔軟性プロファイルの値が高いという仮説が立てられてきたが、本研究ではこの仮説を完全に否定する結果となった。
男性BPは女性BPよりもHE ROM(腸腰筋)、HAB-HF ROM(単関節内転筋)、KF ROM(大腿四頭筋)の値が高く、これは女性プレイヤーと比較してより良い技術的動作やより良い競技パフォーマンスに貢献すると考えられる。
・女性には、筋肉量が少ない、骨盤の直径が大きい、重心が低いなどROMが大きさに有利な生物学的利点があるにもかかわらず、本研究の結果では女性が男性よりも柔軟であるという仮説と矛盾する結果が観察された。
・スポーツ種目の特性がプレーヤーの性別に応じて特定の動作のROMに影響を与えていることが示唆される。
例えば、バスケットボール選手の基本的なプレーポジションは両側の股関節を大きく外転させたパーシャルスクワットポスチャー。このポジションでは、体のバランスをとるために、大腿四頭筋(KF ROM)、内転筋(HAB-KF ROM)、ヒラメ筋(ADF-KF ROM)の十分な伸張性が必要。
さらに、正面からの動作では広いHE ROMが必要になることがある。
このようにBPに課せられた特定の技術的要求や動作パターンは、女性よりも男性の方が大きい。
・本研究における柔軟性の包括的な分析により、アスレチック&コンディショニングトレーナーに選手の運動能力を向上させ、スポーツ傷害のリスクを最小限に抑えるため戦略を提供できる。
この分析ではADF-KF ROM(ヒラメ筋)、KF ROM(大腿四頭筋)、HF-KE ROM(ハムストリングス)、HAB-HF ROM(一関節の内転筋)、HE ROM(腸腰筋)のROMが制限されていることが観察された。
・他の研究では、36.5°未満のADF-KF ROMの値は膝蓋腱の緊張が高まるため、若年BPの膝蓋腱炎の素因となっていることが判明した。
・また、膝蓋腱炎を発症したバスケットボール、ハンドボール、バレーボールのシニア選手のグループでは、無症状の選手に比べてADF-KF ROM(ヒラメ筋)とHF-KE ROM(ハムストリングス)がそれぞれ10.7°と8.9°減少していることを明らかにした研究もある。
・エリートジュニアBPを対象にした研究では、Sit and Reachテストで測定したハムストリングス伸張性と膝蓋腱炎との関連性がわかった。
・ADF-KF ROM(ヒラメ筋)、HF-KE ROM(ハムストリングス)でカットオフポイントよりも低い値を示す選手は、予防措置を取らなければ将来的にスポーツ傷害のリスクが高くなる可能性がある。
・BPの4.7%から25%の範囲で四肢間のROM非対称性が見られた。
最も非対称性が高かったのは、HE ROM(腸腰筋)、ADF-KE ROM(腓腹筋)、KF ROM(大腿四頭筋)、ADF-KF ROM(ヒラメ筋)、HF-KE ROM(ハムストリングス)であった。
四肢間ROMの非対称性はサッカー、フットサル、インラインホッケーよりも低く、これはバスケットボールの技術的な動作が対称的に行われていることに起因すると考えられる。
・KF非対称(大腿四頭筋)を有するプレーヤーは、ハムストリングスと大腿四頭筋の傷害リスクが高いとする研究もある。
・股関節外旋筋の非対称性と腰痛の受傷歴に相関を見出した研究もある。
・これまでの研究で、スポーツにおける片側の技術的な動きや、利き手足でより大きな反復や負荷をかけることが原因で、アスリートにおける四肢間のROM非対称性が報告されている。利き手と非利き手の間の力発揮とROMの不一致は、片側優位のスポーツにおいて各肢で行われる機能的な不一致によって引き起こされる。
以上。
バスケットボールにおける過剰トレーニング負荷(量と強度)と反復的な技術的スキルは、BPの内転筋、ハムストリングス、大腿四頭筋、腸腰筋、上腕三頭筋に慢性疲労をもたらす。
適切な回復プラン(カイロプラクティック、栄養、休息)で治療しないと、筋肉の伸張性は恒久的に低下しROMの制限は進行する。
足首、膝、股関節のROMはエクササイズや当院の臨床技術によって改善することができるので、高い競技レベルを目指すアスリートの方は一度ご相談ください。