調理器具や繊維製品などに撥水剤およびコーティングとして使用されるペルフルオロアルキル物質(PFAS)は様々な環境下で分解されず、時間の経過とともに蓄積し続ける。
PFASへのヒトの曝露は妊娠、思春期が来るタイミング、および生殖機能に影響を与える可能性があるといわれてきた。
また母乳育児中の授乳期間の短縮と関連しているが、そのメカニズムは不明である。
下のリンクは、南デンマーク大学の研究者による、妊娠初期の血清PFAS濃度と授乳期間との関連を調べ、妊娠中の血清プロラクチン濃度の潜在的な役割を明らかにすることを目的とした研究。
結果は、PFASの血清濃度の上昇は産後の母乳育児を終了するリスクの上昇と関連していた。体内のPFASレベルが高い母親は、母乳育児を早期に終了する可能性が高い。
Pregnancy exposure to perfluoroalkyl substances, prolactin concentrations and breastfeeding in the Odense Child Cohort
材料と方法
オーデンセ小児コホートの1,286人の妊婦の血液から5種類の主要なPFAS(n=1300)とプロラクチン濃度(n=924)の分析のために血液サンプルを分析。
その後、産後3ヶ月と18ヶ月にアンケートで授乳期間についての情報を提供し、さらにサブグループは週1回の携帯電話のテキストメッセージで授乳情報を提供した。血清-PFAS濃度と授乳終了との関連はCox回帰を用いて解析し、血清-PFAS濃度とプロラクチン濃度との関連は線形回帰を用いて評価した。
研究者は、PFASへの世界的な曝露を考えると、これらの知見は公衆衛生上重要である。母乳育児は子どもの健康と母親の健康の両方を促進するために不可欠であるため、母乳育児能力に対するPFASの悪影響は長期的な健康影響を及ぼす可能性があるとしている。