新型コロナ感染症の急性期初期においてタンパク質とエネルギーの摂取量が多いと生存率が向上し、院内死亡リスクの低下と有意に関連していたというデータ。
ICUに入院しているCOVID-19重症患者のタンパク質およびエネルギー摂取量は最適なレベルではないことを明らかになった。ガイドラインでは重症患者を対象にタンパク質とエネルギーの摂取量の目標値が示されているが、これらの摂取量はガイドラインとさらに一致することが推奨される。
今後の臨床試験では、COVID-19を発症した重症患者の急性期初期と後期におけるタンパク質とエネルギーの最適な摂取量を決定する必要があるとしている。
Protein and Energy Intake Assessment and Their Association With In-Hospital Mortality in Critically Ill COVID-19 Patients: A Prospective Cohort Study
・重度の栄養不良と筋肉量の減少は、COVID-19の重症化を招き、死亡率上昇の危険因子として知られている。
・37日間ICUに入院したCOVID-19の重症患者を対象とした本研究では、入院から5日目の生存者におけるタンパク質およびエネルギー摂取量は、推奨される目標値のそれぞれ約46および58%であった。Kaplan-Meier解析による粗生存率の推定では、蛋白質とエネルギーの摂取比率がそれぞれ目標値の60%と86%よりも低かった患者は、これらのカットオフ値よりも高かった患者に比べて生存期間が短かった。
・他の研究では、1日あたりのエネルギー摂取量が1,000cal増加すると重症患者の60日後の死亡率が統計的に有意に低下することが報告された。この相関関係は、タンパク質の摂取量についても認められた。
・この研究では、タンパク質とエネルギー摂取量の増加による生存率の向上は、急性期初期には意味があったが、急性期後期にはなかった。これは、急性期の栄養補給を後回しにすると病状、併存疾患、呼吸機能の悪化、サイトカインストームといった他の要因が大きくなり、死亡発生に影響することと関連していると考えられる。したがって、”時間”は栄養学的生存メリットの重要な要素である。
・COVID-19患者のタンパク質とエネルギー摂取量が他の重症患者に比べて少ない主な理由の一つは、患者との密な接触によるウイルス感染による医療従事者のパニックに起因すると考えられる。