コロナウイルスが武漢の研究所から漏洩したとする説に慎重論。
武漢研究所での事故の可能性を完全に否定することはできまないが、現在のところSARS-CoV-2が実験室由来であるという証拠はないとする考察。
漏洩の可能性も完全には否定していない。
The Origins of SARS-CoV-2: A Critical Review
初期のコロナ症例が武漢ウイルス研究所(WIV)と関連していたという証拠はなく、パンデミック前にWIVがSARS-CoV-2の前駆体を保有していた、あるいは研究していたという証拠もない。
SARS-CoV-2が実験室由来ではないかという疑惑は、SARS-CoV-2が最初に検出されたのがウイルス研究所がある都市であったという偶然から、研究所由来ではないかという疑念が生じたとしている。
このレビューでは事故や人為的な漏洩よりも、動物市場における人獣共通感染症としてパンデミックが起こった可能性を重要視している。
大多数のヒト由来のウイルスと同様に、SARS-CoV-2の起源の最も妥当な説明は人獣共通感染症。
SARS-CoV-2が武漢の市場で発生した初期の流行と、SARS-CoVが広東省の市場で発生したときの状況は酷似している。SARS-CoVに感染した人間は流行初期に動物市場の近くに住んでいたり市場で働いていたりした。
武漢は複数の動物市場を有する中国中部最大の都市であり、旅行や商業の中心地であり、中国国内および海外の他の地域との接続も良好。病原体が定着するには人口の多い地域が必要という条件を満たしている。
研究者らは、他のシナリオとは対照的に人獣共通感染症の起源を裏付ける科学的証拠が多数存在すると主張している。人獣共通感染症の起源を包括的に調査しなければ、世界は将来の同じパンデミックに脆弱になる可能性があると結論。