胸部痛を訴える女性からのご相談が相次いだ。
症状の出る部位は胸骨からみぞおち付近にかけて。皆さん循環器内科での精密検査は特に異常なしとのこと。真っ先に疑ったのは肋間神経前皮枝扼症候群。
この症状は肋間神経前皮枝が腹直筋や肋間筋の出口付近で圧迫されることで発症する疼痛疾患。一般に、症状は腹部前面(画像緑の丸付近)に生じる疼痛(鋭い痛みの場合もあり)。
お越しになられた方々のうち、3名の方は胸全体(みぞおち患側)になんとなくこわばる感じも訴えた。
痛みは一般に咳、くしゃみ、起立動作、歩行、体の回旋などで誘発されるが、今回ご相談にこられた方のほとんどが睡眠時の仰向け姿勢での痛みを訴えたのは興味深い。

原因は一般に妊娠、胸椎椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、側湾症、ストレスや不適切な姿勢、外傷、スポーツ障害が挙げられるが、今回当院では妊娠とスポーツ障害(の可能性)が主な原因だった。
スポーツ障害について”可能性”としたのは、直接の原因は判然としないものの、胸部痛でご相談にこられた女性(妊娠中の方を除く)の全員がヨガまたはピラティスを行っており、”腹圧の入れ方と背骨を個別に動かす”指導を受けてから痛みが発症したことがその理由で、患者さん達はそれ以外に理由が見当たらないとのこと。私はヨガとピラティスの理屈は知らないので”腹圧の入れ方と背骨を個別に動かす”というのは患者さん達の言葉をそのまま引用。
上記の通り、肋間神経前皮枝が肋間筋胸骨側で圧迫されることで発症することを考えると、ヨガやピラティスによる誤った体の使い方やオーバーロードによって神経絞扼が発症した可能性は否定できない。
画像にある通り、治療は神経の出口にピンポイントでフォーカスすることから始まるが、念のため周囲の軟部組織と背骨も診察して終了。
治療後は皆様納得のレベルまで寛解した。
どう考えても”無理のある理屈”で体を痛める方が後を絶たない….
類似の症状でお悩みの方は当院にご相談ください。