当院にパーソナルトレーニングでお越しになっている方が、スマホで血糖値を測定できるキットをゲットしたとのことで早速トレーニング前後で測定してみました。
トレーニング前は109付近だった数値がトレーニング後に一気に75まで下降。
糖尿病や血糖値コントロールでお悩みの方は一度当院のパーソナルトレーニングと栄養戦略を試してみてください。
さて、今回のブログは、妊娠中の食事と腸内細菌叢が新生児の転帰に与える影響を調査したデータをまとめてみます。妊活中・妊娠中の方はぜひ最後までお付き合いください。特に妊娠中高血圧でお悩みの方は必読です。
世界の新生児の約15%が低出生体重児(LBW)で、これは年間2,000万人を超える新生児に相当し、在胎不当過小児(SGA)も含まれる。
新生児死亡の80%以上はLBW新生児で、3分の2が早産、3分の1がSGAである。
注目すべきは、LBWは周産期死亡の予測因子であるだけでなく成人病リスクも高める(DOHaD)ことである。
妊娠中の母親の栄養不良は、LBW、早産、子癇前症、妊娠高血圧症候群、死産など、母親と発育中の胎児の両方に様々な合併症を引き起こす可能性がある。
LBWと関連する妊産婦の栄養不均衡を示す食事内容は、赤身肉や加工肉、揚げ物などの摂取量が多く、野菜、果物、全粒穀物、ナッツ類、魚介類の摂取が少ないことを特徴とする。
また、妊娠中の栄養不良のほかに、妊産婦の化学物質曝露、母親の病気、ストレス、薬の使用などもLBWの危険因子となる。
危険因子が明らかになっている一方で、母親におけるどのような食事パターンがLBW予防に有益かは今のところ決定的な証拠はない。
現在のガイドラインは、炭水化物制限によるケトジェニックダイエット、乳製品排除によるパレオダイエットなどあらゆる大栄養素を極端に制限するダイエットを禁忌としている。
また赤身肉や加工肉の摂取を制限し、単糖類、加工食品、トランス脂肪酸および飽和脂肪酸は控えること、および妊娠中のエネルギー摂取量の増加を提唱しているが、母親の食事の多量栄養素組成に関する具体的な推奨は欠けており、妊娠中における特定の多量栄養素の過剰摂取がLBWに及ぼす影響は依然として不明である。
さらに、メカニズムは不明であるものの、妊娠中の母親の食事は母親の微生物叢と関連し、潜在的に新生児への微生物伝播に影響を与え、新生児の微生物プロファイル形成と健康に影響を及ぼす可能性がある。
腸内細菌叢の崩壊は母親の高糖質摂取と関連している可能性があるが、母親の炭水化物摂取に反応する妊娠中の腸内細菌叢の変化とLBWとの関連については十分な情報はまだない。
リンクの研究は、母親の食事がLBWに与える影響を評価し、妊娠中の母親の腸内細菌叢との関連を探ったもの。
台湾の単胎出生母子257組が対象。
【結果】
総エネルギーの主な供給源は炭水化物(56%)、次いで脂肪(27%)、タンパク質(15%)だった。
乳児のLBW率は7.8%で、母親の炭水化物摂取と正の相関があった。
妊娠中の腸内細菌叢では、バクテロイデス・オバータス(Bacteroides ovatus)およびドレア属(Dorea spp.)がそれぞれ間接的および直接的に胎児の成長と負の相関を示した。
Rosenburia faecisは新生児出生時体重と直接正の相関を示した。
妊娠中高血圧は微生物叢の特徴を変化させ、胎児の発育不良と関連していた。
微生物がアクセス可能な炭水化物は、妊娠中の腸内細菌叢の組成と機能を変化させる可能性があり、特に妊娠中高血圧リスクのある女性はLBWを予防における食事パターンからの逸脱を調整するための潜在的マーカーとなる。
【結論】
妊娠中の腸内細菌叢、特に炭水化物を介する微生物叢が新生児出生時体重に重要な役割を果たすことが示された。
妊娠中高血圧が微生物叢の特徴と対応する機能的経路を変化させ、その結果、胎児の成長に悪影響が生じることもわかった。
本
Carbohydrate-Mediated Pregnancy Gut Microbiota and Neonatal Low Birth Weight
・微生物がアクセスしやすい炭水化物摂取量を調整することは、妊娠期間を通じて腸内細菌叢組成および機能に影響を及ぼす可能性があることを強調する。この調整は、特に高血圧リスクのある妊婦にとってLBWリスクを減少させることを目的とする上で有望である。
・妊娠中の腸内細菌の上位4種は、炭水化物主体の食事(炭水化物:脂肪:タンパク質=3.8:1.9:1)を反映しており、3種(B. ovatus、Dorea spp.、Roseburia faecis)は母親の妊娠中高血圧に感受性があった。母親の妊娠中高血圧によって破壊された炭水化物媒介性腸内細菌叢の特徴は、新生児の転帰に対する妊娠中の宿主環境決定要因の重要性を浮き彫りにした。
多くの集団において母体および/または乳児の腸内細菌叢組成と不利な新生児転帰との関連が示唆されている。
・妊娠中の母親の糞便サンプルから同定されたRuminococcaceae、LachnospiraceaeおよびEubacteriaceae属は、新生児の出生時体重および1ヵ月時体重の重要な予測因子だった。台湾の小規模サンプルコホートでは生後1ヶ月の乳児の腸内細菌叢組成とβ多様性は、SGA早産児とAGA早産児で異なっており、特定の微生物叢組成の存在量は経時的(生後7、14、30日)に変化することがわかっている。30日目はKlebsiellaとEnterobacterの存在量がSGA児で低かったことから、SGAが生後早期の腸内細菌組成の発達に影響を及ぼすことが示唆された。同様に、分娩後3~4日目の早産児の腸内細菌叢は満期産児の腸内細菌叢とは異なっていた。
・高血圧患者を対象とした先行研究では、血圧とダイアリスター属およびパラバクテロイデス属の存在量との間に正の相関関係があることが示されている。一方、ディアリスター属は合併症のない妊婦に比べて分娩前の子癇前症の女性で有意に減少していることがわかった。注目すべきは、ディアリスター属とパラバクテロイデス属はこの研究コホートでは有意ではなかったこと。
さらに母親の妊娠中高血圧が、バクテロイデス・オバツス、ドレア spp.と胎児発育不良と炭水化物媒介機構を変化させる可能性、およびローズブリア属と胎児の出生時体重増加との関連を変化させることが示唆された。
・炭水化物を多く摂取すると、ビフィドバクテリウム属、ダイアリスター属、パラバクテロイデス属など炭水化物代謝に関与する細菌が増加する。
・妊娠前および妊娠初期に総繊維摂取量が高いと子癇前症および妊娠糖尿病(GDM)リスクが減少する。GDMリスクの増加は高GL値と相関している。
・微生物がアクセス可能な炭水化物の利用可能性は腸内細菌叢組成と機能を決定し、宿主のホメオスタシスをサポートする。異なる炭水化物摂取は異なる微生物の増殖と関連する。例えば、レジスタントスターチはルミノコッカス、ユウバクテリウム・レクターレおよびローズブリアと関連しているのに対し、フルクタン、ポリデキストロース、フラクトオリゴ糖およびガラクトオリゴ糖は腸内ビフィズス菌および乳酸菌の増殖と関連している。
・バクテロイデスは糖質代謝に関与する重要な細菌。特に妊娠高血圧群では正常血圧の女性に比べて、炭水化物摂取量が多いとB. ovatusの存在量が減少することが示唆された。このデータは、炭水化物摂取に対するB. ovatusの乱れが妊娠中高血圧と関連している可能性を示唆している。
・・・以前のブログでも炭水化物源とそれに関連して増殖する腸内細菌種について書きました。
日本人には日本人なりの腸内細菌叢育成のための食事方法があることもわかってきました。
より具体的な妊活中・妊娠中の栄養戦略をお探しの方は、当院の栄養マニュアルのご利用を是非ご検討ください。
産後ダイエット、体質管理にも非常に有益な内容になっています。
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