先日、極度の肩こりと頭痛でお悩みの女性が訪問された。
他院で筋膜リリースや頸椎のアジャスメントなど行うも改善に至らず。
それもそのはず、調べてみると原因は第一肋骨と大後頭神経。筋膜リリースや頸椎のアジャスメントでは治療効果は期待できない部位だ。
また、強いアジャスメント繰り返したのか頸椎はかなり不安定な状態。
原因とマッチしない、「ボキッ」と音を鳴らすだけのパーフォーマンスがどういった結果をもたらすかアジャスト至上主義の治療かは再度熟考したほうがいいだろう。
肋骨の治療後、肩こりはペインレベル10→2まで減少。頭痛は数日様子を見て後日報告いただくことに。目がすっきり見えるようになったとも。
肩こり頭痛でお悩みの方は一度当院にご相談ください。
さて、今回のブログは乳癌の栄養学。
乳癌予防・治療において、より精度の高い栄養学的アプローチを行うために最新データをまとめてみたい。
近年、世界的に女性の乳癌罹患率が緩やかに増加しており、現在では新規癌診断のほぼ3分の1を占めている(次いで肺癌、大腸癌)。一方で、検査技術と治療の進歩によって死亡率は継続的に低下している。現在、すべての病期を含む乳癌の5年相対生存率は約90%とされる。
乳癌の原因を解明するための疫学的研究によって多くの危険因子(遺伝的素因、初潮の早さ、閉経の遅れ、初産年齢の高齢化、出産率の減少、母乳育児制限、更年期ホルモン補充療法、アルコール摂取、体重過多、運動不足)が同定され、修正可能なものと修正不可能なものに分けられる。
近年は、食事性発癌因子も注目されている。特に、過度のアルコール摂取は乳癌リスクの重要な一因である。また、赤身肉や加工食品に多く含まれる飽和脂肪酸やトランス脂肪酸も、乳癌リスクの上昇に関与する可能性がある。WHOの国際がん研究機関は、赤身肉と加工肉をそれぞれ発がん性物質の可能性が高いもの(probable carcinogen)と確立されたもの(established carcinogen)に指定している。
一方で、抗酸化物質や保護化合物が豊富な果物や野菜を多く取り入れることは、乳がんリスクの低減と関連している。食事要因が単独で乳癌を引き起こすわけではないが、アルコールと赤肉/加工肉の摂取を減らし、果物と野菜の摂取を増やすことは乳がん発症リスクを下げ、全身の健康を促進するための貴重な一歩となるだろう。
慢性低悪性度炎症や高インスリン血症など、肥満関連因子も発癌に寄与している可能性がある。
砂糖の過剰摂取は、体重増加、肥満、メタボリック症候群を引き起こして発癌リスクを高めるだけでなく、ホルモンレベルの乱れを引き起こしてインスリン抵抗性を促進し、乳癌発症の一因となる可能性がある。
したがって、砂糖の摂取制限は乳癌予防のための賢明な戦略といえる。
一方で、乳製品と大豆が乳がんに与える影響を調査した広範な研究では、一貫性のない結果がもたらされており議論が続いている。食事と乳癌の相関を調査する研究は膨大にあるにもかかわらず、乳がん発症における砂糖、乳製品、大豆の役割に関するコンセンサスは依然として得られていない。
リンクの叙述的レビューは、過去10年間に発表された、砂糖、乳製品、大豆の摂取に焦点を当てた、食事と乳がんの相関について最近の知見を要約したもの。
【結果】
砂糖の多量摂取と乳がん発症との相関については限られたエビデンスしかなかった。
乳製品と大豆の摂取は分析した論文の大部分で予防効果を示したが、結果には有意な異質性が認められ、閉経状態と特定の乳がん分子サブタイプが結果の解釈に影響を及ぼす主な要因だった。
閉経後の高グリセミック指数は危険因子である可能性があり、砂糖入り飲料と人工甘味料は相反する結果をもたらした。
BCに対する大豆の影響は分子サブタイプによって異なり、いくつかの研究で腺管形成型で正の相関が示唆されてた。
Common Misconceptions about Diet and Breast Cancer: An Unclear Issue to Dispel
砂糖の摂取
・糖分摂取と乳癌リスクの関連性は参加者の閉経状態によって異なる。
合計15,839症例、577,538人の参加者を含む14の前向きコホート研究を含む包括的なメタ解析により、グリセミック・インデックス(GI)およびグリセミック・ロード(GL)と乳癌発症との関係が掘り下げられた。驚くべきことに、GIが67単位/日を超えると、用量依存的予防効果があることが明らかになった。閉経状態を評価したサブグループ解析では、乳癌発症とGIとの正の相関は閉経後でのみ観察され、閉経前では観察されなかった。
・合計892,403人の女性を含むシステマティックレビューと用量反応メタ解析では、閉経後の女性において、エストロゲン受容体(ER)陰性サブタイプと50単位/日のGLとの間に統計的に有意な正の相関が示された。
・飲料からの糖分摂取に焦点を絞り、35,593人の参加者を調査した前向き研究では、週に1〜6本の砂糖入り清涼飲料水の摂取が、閉経後乳癌を含む肥満に関連した癌と正の相関があることが強調された。他の用量反応メタ解析でも、砂糖入り飲料(SSB)の摂取は全癌リスクと正の相関を示し、サブグループ解析では乳癌患者においてこの相関が示されている。
・2009年から19年の間に79,742人の患者が登録されたNutriNet-Santéコホートでは、糖の供給源も精査された。乳がん有病率の統計的に有意な増加は、砂糖入り飲料、乳製品、牛乳ベースのデザート、果物以外の食事源、固形食品、遊離糖で用量反応的に観察された。特にアスパルテームとアセスルファムKが乳癌リスクの上昇と正の相関があることを観察した。
要約すると、砂糖の多量摂取と乳癌発症リスク上昇との関連性については、現在のエビデンスはまだ限定的であり不明確である。
乳製品の摂取
・乳製品摂取と乳癌リスクとの関連性は、閉経状態によって異なる。78,320人の韓国人女性を対象とした研究では、閉経前の女性(50歳未満、n = 29,803)では、1日1食未満の乳製品摂取と比較して、1日1食以上の牛乳摂取は乳癌発症と逆相関することが明らかになった。しかし、この予防効果は50歳以上の女性では確認されなかった。
また、22の前向きコホート研究(1,566,940人)と5つの症例対照研究(33,372人)を対象とした系統的レビューとメタ解析でもこの逆相関が強調され、閉経前女性においてのみ保護的役割があることが明らかになった。
・44,840人の女性を含む研究では、地中海食に従う閉経前および閉経後の女性において、乳製品摂取と乳癌リスクとの間に統計的に有意な逆相関があることが報告された。
・乳癌のサブタイプに関しては、乳製品摂取とホルモン受容体陰性乳癌との間に正の相関が現れ、逆にERおよびプロゲステロン受容体との間には負の相関が見られた。
対照的に、北米女性52,795人を分析した結果、乳製品摂取量が多いほどホルモン受容体陽性サブタイプの発症リスクが上昇することが観察されており議論が続いている。
・乳発酵、脂肪含量、乳製品の種類など、乳製品の特徴的な成分を詳細に調べたところ、興味深いパターンが明らかになった。乳発酵に焦点を当てたメタ解析(27研究)では、非発酵乳製品の統計学的に有意でない予防効果が示され、対照的に発酵乳製品の統計学的に有意な予防効果は閉経後女性でのみ観察された。
・低脂肪乳製品の乳がんリスクへの影響を調査した11研究を分析した結果、閉経前の女性においてのみ、低脂肪製品が統計的に有意な乳がん予防効果を有することが明らかになった。
275人のイラン人女性を対象とした症例対照研究では、低脂肪乳製品と同様に、乳製品の総摂取量が多いこと、特に発酵乳製品の摂取に関連して乳がんリスクが85%低下することが示された。
・10,930人の女性を対象としたAguilera-Buenosvinosらの前向きコホート研究では、閉経前女性では1日1~2食の低脂肪乳製品を摂取することでリスクが低下するのに対し、閉経後では2~4食の乳製品を摂取することでリスクが低下することが明らかになった。
大豆の摂取
・大豆摂取と乳がんリスクとの関連性が注目されている。これは、大豆に含まれるタンパク質にエストロゲン様作用を持つ植物性エストロゲンが含まれていることに起因している。エストロゲンと乳癌発生との関連性が確立されていることから、大豆摂取と乳癌発生との関連を探ることが研究の重要な焦点となっている。
・マレーシア人女性7663人を対象とした症例対照研究では、豆乳の摂取頻度が週1回を超えると、大豆製品の摂取と同様に乳癌罹患率との間に逆相関が示された。また、8前向きコホート研究を組み合わせたメタ解析では、イソフラボン摂取量が10mg/日増えるごとに乳癌発症リスクが3%低下することが示された。同様に、合計485,495人が参加したメタ解析では、大豆摂取量が0~15mg/日の場合、摂取量が多い場合に比べて乳がんリスクが増加することが示唆された。
・上記のように大豆および大豆イソフラボンの大量摂取と乳がんリスクとの間に逆相関があることを示す研究は多い。
・乳癌リスクに対する大豆の潜在的影響に関する研究の中で、閉経状態の役割についてはまだ結論が出ていない。
・中国人女性1753人を対象に、中国式野菜・果物・大豆食として知られる地中海食の改良版の潜在的な予防効果を調査した結果、オリーブ油、豆類、全粒穀物を大豆、菜種油、粗粒穀物に置き換えた地中海食の改良版は、閉経後の女性とERおよびPgR陰性の乳癌サブタイプを予防する効果があることが示された。論文著者は、ER陰性乳癌との特異的な関連はα型と比較してエストロゲン受容体β型との優先的な関連によるものではないかと推測している。
結論
レビュー全体として、乳がん発症における乳製品および大豆摂取の予防効果が強調されている一方で、高糖質摂取と乳がん発生率との関連については限られたエビデンスしか見いだせていない。また、栄養と乳がん発症との関係は閉経状態に影響されるようで、サブタイプによって異なる相関が示されている。
砂糖摂取量の増加は、特に閉経後の女性において乳癌を発症する可能性が高くなったが、この相関は特にGI値が高く、炭水化物摂取が多い食事との関連で示されている。
また、ホルモン受容体を発現しない乳癌亜型と高GI食との間に潜在的な相関関係があることも示された。
いくつかの研究では、砂糖入り飲料や人工甘味料を摂取する人に乳癌発症率が高いことが報告されているが、相反する結果を示す研究もあり、最適な砂糖摂取レベルに関する合意は得られていない。
一方で、乳製品、特に牛乳の摂取量が多いと予防効果がある可能性が示唆され、この関連は閉経前女性でより強固にみられた。ヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品は乳がんリスク低下における潜在的な有益性を示したが、非発酵乳製品は一貫性のない結果となった。
大豆摂取は、その植物性エストロゲン含量により乳癌罹患に多面的に関与しており、閉経後女性における大豆摂取と乳がんリスクとの間に逆相関があることが示された。大豆イソフラボンや大豆タンパクを含む特定の大豆成分は、乳癌発症予防において有望な結果を示している。
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