妊活中の患者さん達から嬉しい報告が届いた。
このまま順調に全てのプロセスが進むことを祈るばかりです。
さて、今回のブログは1型糖尿病(T1DM)を患っている女性の妊娠について、お役に立てるかもしれない情報についてまとめてみたい。
妊娠を計画中の1型糖尿病女性の治療目標は、妊娠前および妊娠中に最適な血糖コントロールを維持し、流産、先天性奇形、巨細胞、新生児合併症の発生率を低減することである。
T1DMの妊婦さんは内因性のインスリン分泌がないか、あるいは最小限であるため、妊娠前および妊娠中に正常な血糖値を達成するための集中的な臨床治療が必要。治療方法として、適切な食事療法と集中的なインスリン療法が選択される。
しかし、血糖コントロールは妊娠経過を改善するが、低血糖症のリスクを高め、昏睡、痙攣、死亡などの母体の合併症を引き起こす可能性がある。低血糖はT1DMを持つ多くの妊婦に影響を与え、その頻度は妊娠中以外の場合と比べて数倍高くなる。
N-3系多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)には保護作用があり、β細胞の保存に影響し、内因性インスリン分泌を増加させる。内因性インスリン分泌が増加すると1日のインスリン投与量が減り、代謝コントロールが向上し、インスリン療法の副作用(主に低血糖症)が軽減される。
また、妊娠中の免疫系の抑制はT1DM女性のC-ペプチド濃度を上昇させるが、n-3PUFAサプリメントはその抗炎症作用によってC-ペプチド濃度の上昇をサポートする役割を果たしている。
N-3 PUFA and Pregnancy Preserve C-Peptide in Women with Type 1 Diabetes Mellitus
n-3系長鎖多価不飽和脂肪酸の摂取は、母体、胎児、子供の健康に影響する。
n-3PUFAは内因性インスリン産生を増加させ、その結果、1日のインスリン投与量が減少し、代謝コントロールが改善され、長期的な糖尿病合併症のリスクが減少し、インスリン療法の副作用(主に低血糖)が軽減される。
n-3PUFAは妊娠34週以前の早産を予防するという証拠がある。
母親にとっての有益な効果に加えて、n-3PUFAは子供の健康にも影響を与える。
ドコサヘキサエン酸は胎児の脳や網膜のリン脂質に取り込まれ、神経膜や内皮膜の流動性や柔軟性が高くなる。
また神経伝達に関与し、イオンチャネル活性や遺伝子発現を制御し、神経保護作用のある代謝物に代謝されることもある。
ドコサヘキサエン酸のサプリメントを摂取している母親の子孫は、対照群の子孫よりもIQが高かった。
母体と胎児の両方に多くの有益な効果があることから、妊娠を計画している女性やT1DMを患っている妊婦には、n-3 PUFAの補給が推奨される。
欧州食品安全機関(EFSA)の摂取基準値は、250mgのEPA100〜200mgのDHA。