片頭痛は世界で10億人が罹患している神経血管障害。
カイロプラクティックは頸性頭痛に効果的であり、当院でも頻繁にご相談がある症状の一つ。
片頭痛予防には頸椎、背中、顎関節の定期的なケアに加えて、摂取する栄養素も重要である。
「カリウム」は細胞の恒常性と機能性を維持し、感覚伝達経路に重要な役割を果たしている。
過去の研究では片頭痛と血圧の関連性が明らかになっており、食事性カリウムの降圧作用が片頭痛の頻度や強さを軽減する可能性が示唆されている。
しかし、食事性カリウムと片頭痛との関連については十分に解明されていない。
リンクの研究は、食事からのカリウム摂取量と片頭痛の有病率との関係を明らかにすることを目的としたもの。
結果
10,254人の参加者のうち、20.1%が片頭痛または重度の頭痛だった。
食事性カリウム摂取量Q2(1771~2476mg/d)における片頭痛発症の調整オッズ比(OR)は、最低四分位群(Q1、≦1771mg/d)と比較して0.84だった。
米国成人における食事性カリウムと片頭痛の関係は、約1439.3mg/dで変曲するL字型パターンを示した。
・カリウム摂取量と片頭痛との間にL字型の相関があることが明らかにされ、移行閾値は約1439.3mg/日に特定された。
・Q1群の参加者と比較して、未調整モデルのQ4群の参加者およびモデル1のQ4群の参加者(年齢、民族、性別で調整後)は片頭痛有病リスクが低く、オッズ比(OR)はそれぞれ0.68および0.85だった。カリウム摂取量が多いQ2群では、人口統計学的データ、生活習慣、合併症、栄養摂取量を調整後、Q1群と比較して片頭痛リスクが減少した。
・食事性カリウム摂取量が1439.3mg/日未満の場合、片頭痛有病率はカリウム摂取量の増加とともに徐々に減少することが判明した。しかし、食事からのカリウム摂取量が1439.3mg/日を超えると、カリウム摂取量がさらに増加しても片頭痛有病率は安定したままだった。
・カリウムはヒトの代謝を正常に維持する上で極めて重要。また、細胞の形態と機能を維持するのに不可欠だが、この研究では多くのアメリカ人成人のカリウム摂取量が1日の推奨摂取量より少なかった。
・カリウムは野菜や果物に多く含まれ、穀物には微量しか含まれない。欧米食では穀物を多く摂取するため摂取量が低下しがちになる。
・カリウム摂取量の増加は血圧を下げるのに有効であることが証明されており、カリウム摂取量の増加は多くの慢性疾患と逆相関している。高血圧予防として1日3,500mgを超えるカリウム摂取が推奨されている。米国心臓協会(AHA)、米国医学研究所(IOM)、米国保健社会福祉省、米国農務省(USDA)などの団体が定めた食事ガイドラインは、健康への悪影響を軽減するためにカリウムの豊富な食品を選択することを提唱している。
・対象者のうち、特に女性が食事性カリウムの1日あたりの推奨摂取量を満たしていないことが強調され、男性に比べて女性の片頭痛有病率の高さの一因になっている可能性がある。
・片頭痛の理学的メカニズムは解明されていない。多くの研究から、酸化ストレスレベルが酸化ストレスに対抗する身体の抗酸化能力を上回ったときに出現すると考えられている。
カリウムの内皮細胞に対する保護作用が、酸化ストレスによる血管障害を防ぐ可能性がある。
・ヒト試験で同定された様々な化学物質が片頭痛を誘発する可能性がある。
血管平滑筋ATP感受性カリウム(KATP)チャネルの活性化による動脈拡張が最も一般的。ATPアーゼの本質的な機能は恒常性を確保し、細胞外カリウムの細胞内移動を促進すること。
KATPチャネルが片頭痛に関与している証拠として、KATPチャネル開口薬であるレブクロマカリムが片頭痛を誘発することが挙げられる。
・片頭痛の頻度を下げるためには、食事中のカリウムを増やすことが重要であることが示唆された。