親指の指先のしびれのご相談をいただいた。
在宅ワークになってから症状が悪化。
「極度の肩こり」も感じているという。
整形外科の検査(レントゲン)では頸椎ヘルニアと診断がつき、首の牽引治療を行っているもののなかなか改善に至らずという状況だった。
まず当院では頸椎ヘルニアの検査。
これは整形外科的検査法とカイロプラクティックの治療法を組み合わせた独自の検査法を何パターンか実施。
その結果頸椎以外にも問題があると確信するに至り、親指の関節モーションや関節を構成する軟部組織の触診を行ったところ、原因は親指の第一間関節の局所的な問題と判明。
極度の肩こり感も、よくよく調べていくとFrozen shoulder(癒着性関節包炎)いわゆる四十肩だった。
「指先のしびれ」と「極度の肩こり感」、レントゲンで頸椎に異常が見られれば確かにヘルニアで間違いなさそうだが、あくまで「なさそう」なだけで、ヘルニアや椎間の変形があってもそれが原因とは限らないケースはままある。
こういうケースに遭遇すると、画像診断も非常に重要だが、それと同時に患者さんの表現の仕方や、どんなタイミングで痛みが出るかなど細にわたって確認することの重要性や、表面的に見えている現象をまず疑うことの重要性を再認識させられる。
人間は表面的な現象に囚われて物事を判断してしまいがちで、治療家にもそのバイアスは働く。
しかしそのバイアスの影響を受けず、的確な診断をおこなっていくには、いま自分が何かに囚われていないか?自分自身に問いかけながら、または気づきを保ちながら診療に臨むことが大事だろう。
この気づきを保つ訓練はカイロプラクティックの診療に限らず、人間関係の構築などなど日常生活でも大いに役立っている。
一歩でも物事の本質に近づきたければ、まずは自分の認識を疑ってみよう。
ちなみに治療後の指先と肩の状態は良好。
退行性の組織の癒着の問題だった割には意外と早く痛みが引いた印象。