右臀部に痛みがあり、梨状筋症候群と他院で診断された患者さんがお越しになられた。
筋膜リリースなど行ってもらい、その場ではなんとなく痛みが減ったような気がするもすぐに元に戻ってしまうとのこと。歩行も若干困難。
当院である関節のカップリングモーションを検査したところ痛みほぼゼロで、歩行も問題なし。
このカップリングモーションの治療は統計的にも優位に痛みの減少を示すパターンで、何度も治療に成功しているが今回も案の定だった。
巷では筋肉と筋膜に原因を求めてアプローチする人が多いようだが、それじゃいづれ”全く治せない”壁にぶち当たると思うんで、それメインでやってる人は色々苦しそうだなと・・
さて、今回は月経困難症に関する興味深いデータをまとめてみます。
なるべく短くまとめるのでどうぞ最後までお付き合いください。
月経困難症は世界で最も蔓延している婦人科疾患で、その有病率は90%を超えるとされる。
月経困難症は原発性と続発性に分類され、原発性月経困難症は骨盤に基礎疾患を伴わない月経痛を指す。一方で続発性月経困難症は子宮内膜症、子宮腺筋症、平滑筋腫など骨盤内病変を伴う。原発性月経困難症の疼痛は10代後半から20代前半に始まり、特に妊娠適齢期女性の多い。
月経困難症は下腹部痛の他に頭痛、下痢、嘔吐などの症状を伴い、痛みや不快感は月経開始とともに始まり、8~72時間持続することもある。
月経困難症の正確な原因はまだ不明だが、月経中のプロスタグランジン(PG)F2αレベル上昇に伴う過度の子宮収縮が関係していると信じられている。PGはシクロオキシゲナーゼ2(COX-2)によって産生され、子宮血管収縮を誘発して虚血を引き起こす。また、PGは求心性神経を感作することで月経困難症に伴う疼痛を誘発する。さらに、PGは子宮収縮力を亢進させて一時的に子宮内圧の上昇を通じてけいれん性疼痛を誘発することも示唆されている。
原発性月経困難症治療では非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用することが多いが、NSAID治療に反応しない患者にはエストロゲンまたはプロゲスチンを含む経口避妊薬が処方される場合もある。これらの避妊薬は子宮内膜組織の成長を調節し、PGレベルを低下させることで炎症を緩和し、疼痛症状を改善する。
薬理学的以外では、栄養学的介入も月経困難症の症状を緩和する潜在的な効果を示している。
ハトムギ(Coix lachryma-jobi L. var. ma-yuen Stapf.)は、生殖器の健常性に有益な効果を示すだけでなく抗がん作用や抗酸化作用も示す。以前の研究では子宮平滑筋収縮に対するハトムギエキスの緩和効果が強調されており、in vitroとin vivoの両研究においてPGF2αによる子宮収縮と細胞内Ca2+動員の機序が解明されている。
リンクの研究は、ハトムギの治療可能性をさらに追求するために、ハトムギエキスベース製剤の月経困難症症状の緩和に対する有効性を評価したもの。
69人の参加者を、ハトムギベースの処方群(n=35)とプラセボ群(n=34)に無作為に分けた。年齢、初潮年齢、月経困難症発症年齢、月経期間、BMI、血圧、心拍数などのベースライン特性は群間で同等だった。主要アウトカムは、月経困難症のVisual Analogue Scale(VAS)、疼痛評価尺度、Menstrual Distress Questionnaire(MDQ)および炎症バイオマーカー(PGE2、PGF2α、IL-6、Hs-CRP)の血清レベルを用いて測定。
【結果】
ベースライン時およびプラセボ群と比較して、介入群では初回治療時および試験終了の両時点でVASスコアの有意な減少がみられた。
疼痛評価では、持続痛、鈍痛、疲労感、吐き気/嘔吐、下腹部の腫脹、背部痛、下痢、冷や汗の改善が示された。
バイオマーカー分析では、介入群でPGE2、PGF2α、Hs-CRP値が有意に低下したが、IL-6値には有意な変化はみられなかった。
【結論】
ハトムギベース製剤の処方は、プラセボと比較して月経困難症の症状を効果的に緩和し、痛みと不快感を改善し、炎症性バイオマーカーを減少させたことから、ハトムギベース製剤が原発性月経困難症の症状を緩和するのに有効であることを実証した。
重要なことは、このホットドリンク製剤が多くの女性の「医薬品よりも食事による介入を好む」 趣向に合致し、簡便かつ効果的な代替手段を提供することである。
・月経困難症患者におけるハトムギベース製剤の有用性に関する初の試験。
介入は2月経周期にわたって実施され、月経困難症に関連する疼痛および不快感を有意に最小化した。また、月経困難症に関連するPGE2、PGF2α、hsCRPサイトカインの血清レベルを効果的に減少させた。
・全体としてハトムギベース製剤が月経困難症に有益であることが実証され、従来の非ステロイド性抗炎症薬に通常伴う副作用なしに月経困難症の緩和を提供するという利点を持ち、月経困難症の代替治療として役立つ可能性が強調された。
・月経困難症患者の93%が月経のたびに痛みを経験し、41%以上が痛みのために日常生活に大きな悪影響受けると報告されている。この時期の感情変動は月経痛に起因することが多い。
・ハトムギエキスがPGF2αによる子宮収縮に対抗できることは過去にも示されている。カルシウムの流入を調節することで子宮収縮に関与するシグナル伝達を効果的に減少させるのがそのメカニズムである。さらに、タマネギ、シナモン、ブドウ種子エキスを加えることで処方の効果が高まっることもわかっている。
・ハトムギ外皮抽出物は、エリオディクチオール、セラミド(2S,3S,4R)-2-[(2′R)-2′-ヒドロキシテトラコサノイル-アミノ]-1,3,4-オクタデカントリオール、p-クマル酸などの豊富な生理活性化合物による顕著な抗炎症性を示した。これらの化合物はRAW264.7マクロファージにおけるLPS誘発性の一酸化窒素(NO)とPGE2の産生を効果的に阻害したことから、炎症の重要な調節因子である可能性が強調された。
ハトムギベースのものは手軽に手に入ると思うのでぜひ試してみてください。
ブドウ種子エキスとの組み合わせは興味深いですね。
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産後ダイエット、体質管理にも非常に有益な内容になっています。
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