本日二本目のコーヒー関連の記事。
韓国人を対象に、コーヒー摂取量と大腸がんのリスクとの関連性を調べた研究。
性別と年齢(5年以内)を一致させた大腸がん症例923人と対照1846人を対象に、コーヒーの摂取量を評価した。コーヒーの摂取量が多いことは、大腸がんの発症確率の低下と関連していた(3杯/日以上 vs 飲まない)。さらに、砂糖やクリームなどのコーヒー添加物の摂取をコントロールすると、逆相関はより強くなり(3杯/日以上 vs. 飲まない)、有意な逆線形傾向が示されたと結論。
The Association between Coffee Consumption and Risk of Colorectal Cancer in a Korean Population
・加工肉や赤身肉の摂取が大腸がんのリスクを高めることは示唆されているが他の食品の摂取に関連する大腸がんリスクについては、限られた証拠しかなく結論は出ていない。
・コーヒーは、その抗酸化作用と抗炎症作用により様々な健康被害のリスクとの関連性が調査されている。コーヒーにはポリフェノールやメラノイジンなどの生理活性成分が含まれているため、大腸がんに好影響を与える可能性がある。
・砂糖やクリームなどコーヒーへの添加物は、大腸がんの強い危険因子に分類されている肥満リスク増加に寄与している可能性がある。
・本研究では、3杯/日以上のコーヒーを摂取している人はコーヒーを飲まない人に比べて、大腸がんになる確率が32%低いことがわかった。コーヒー消費量と大腸がんリスクとの間に観察された逆相関は、砂糖やクリームなどのコーヒー添加物の消費量をコントロールするとより強くなり、大腸がんの発症確率は78%低下し、コーヒー消費量と大腸がんリスクとの間には有意な逆線形傾向も示された。また、性別、解剖学的部位、肥満の有無で層別化した解析では、コーヒー添加物の摂取量を調整すると、コーヒー摂取と大腸がんのリスクとの間に有意な逆相関が認められた。
・コーヒーの消費と大腸がんリスクの間に逆相関があることは、いくつかのメカニズムが考えられる。
第一にコーヒー成分は、胆汁酸恒常性遺伝子の発現を低下させることで、大腸がんの促進因子とされる胆汁酸の合成および分泌を減少させる可能性がある。
第二に、大腸の運動性、特に直腸領域の運動性を高め、その結果上皮細胞が発がん物質にさらされる機会を減らすことで、大腸がんのリスクを低下させる可能性がある。
第三に、フェノール化合物(クロロゲン酸,カフェ酸,フェルラ酸,クマル酸)、ジテルペン(カフェストール,カフエオール)、メラノイジンといった抗酸化・抗変異原性成分が含まれている。これらのコーヒー成分のうちカフェストルとカフエオールはいくつかの発がん物質の遺伝毒性を低下させることが報告されている。またクロロゲン酸類は、AMP依存性キナーゼ(AMPK)の活性化や、肝グルコース-6-ホスファターゼの発現・活性の阻害を通じて、糖代謝を改善することが確認されている。2型糖尿病は大腸がんの危険因子として知られていることから、クロロゲン酸類のこれらの機能が大腸がんのリスク低減に貢献する可能性がある。