Nicotinamide mononucleotide production by fructophilic lactic acid bacteria
若返り効果で名高いニコチンアミドモノヌクレオチド。
今後はより身近なアンチエイジング、心臓病、パーキンソン病対策サプリとして親しまれる存在になるかもしれない。
静岡大学学術院の研究グループが若返り効果で注目されているニコチンアミドモノヌクレオチド(以下、NMN)を生産する乳酸菌の発見を発表した。
・NMNは心筋梗塞や脳虚血、アルツハイマー病、糖尿病などの疾患に対する薬理効果が認められ注目を集めている。ミトコンドリア SIRT3 の不活化は重篤な心筋障害を引き起こすが、NMNの補給によって回復した。
・NMNはサーチュイン、ポリADPリボースポリメラーゼ、NADaseなどのNAD+を消費する酵素を介して加齢に伴うNAD+の減少を改善することが示唆されている(NAD+は、生体内の酸化還元反応に関与する重要な補酵素)。
・サーチュイン(SIRT1-7)はNAD+依存性の脱アセチル化酵素で、老化や長寿の重要な制御因子として知られている。脳内のSIRT1を増加させると、雌雄のマウスで老化を遅らせて寿命を延ばすことが報告されており、NMNは老化をきっかけとしたSIRT1の不活性化を回復させることができる。
・NMNの驚くべき有効性は、NMNを含む製品の市販化を促進するはずで、いくつかの企業はNMNを含むサプリメントを提供していが市販のNMN含有製品は非常に高価である(錠剤製品で1gあたり130〜400米ドル、粉末製品で5〜7米ドル)。
・本研究では、NMNを産生するLAB細胞がNMN生産プロセスに使用できる可能性がありプロバイオティクスとして使用できることから、NMN産生微生物として乳酸菌(LAB)に着目した。
・NMNまたはNRの産生活性を調べた結果、Fructobacillus属に属する3つのLABがNMNまたはNRを生産し、細胞外に分泌していることが示唆された。
Fructobacillus属は5種。F. fructosus (type species), F. durionis, F. ficulneus, F. pseudoficulneus, F. tropaeoli 。
・本研究でNMN生産に用いたMRS培地は、肉および酵母エキスからなり、不確定要素として様々なビタミンやミネラルが含まれている。
NMNを含有する乳酸菌そのものを製剤化することにより、乳酸菌のプロバイオティクス効果も併せた新しい製剤(サプリ)の開発に期待ができそう。
マウスに投与する実験では若返りの効果があったことからNMNは一躍注目された。
その後、抗老化作用だけでなく、免疫力の向上、アルツハイマー病やパーキンソン症改善効果も期待されている。