11/13時点での日本の新規コロナウイルス陽性率は0.3%となっており、感染拡大の兆候はない。
ワクチン摂取開始当初、専門家たちの間では「ワクチンには感染を防ぐ効果はない」という意見が多勢だったが、11月に入ったあたりからがらりと意見が変わり、「感染予防効果もある」ということになった。
日本の陽性率が低空飛行を続けるのはワクチン摂取が進んだおかげなのかもしれない。
あとはコロナ用の経口薬が早く登場してくれればというところだが、手の届くところに経口薬が来るまでのあいだに罹患した場合の選択肢は他にないのだろうか?
コロナ感染後の下痢などの消化器症状(GI)、大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)、集中治療室(ICU)での死亡者数の増加などが記録されている関連文献には、SARS-COV-2感染時の腸肺軸には無視できない関連性があると結論づけている。
腸内細菌叢を調査する研究やプロバイオティクスなどの治療法を取り入れることで、宿主の免疫系の強化、腸内細菌叢の改善、腸管バリアー機能の改善から、ウイルス感染症の炎症反応や呼吸器症状の軽減に役立つのではないかと専門家の間で議論されている。
リンクのレビューは、新型コロナ治療におけるプロバイオティクス使用の可能性を検討したもの。
簡単に下にまとめてみた。
感染者の検査として腸内細菌叢のスクリーニングを行い、プロバイオティクス、食物繊維、プレバイオティクスなどのサプリメントを摂取し、マイクロバイオームの改善やGI症状の緩和を行うことで、炎症の抑制、免疫反応の強化、腸管バリア機能の改善、さらにはCOVID-19感染者で見られる有害な細菌株に対するプロバイオティクスのアンタゴニスト効果など、疾病管理に役立つ可能性がある。
プロバイオティクスや、食事介入、シンバイオティクス、プレバイオティクス、メタボロームモジュレーション、糞便微生物叢移植などの治療法を使用中の他の治療法と合わせて追加・補完治療として検討するのに十分なエビデンスがあると結論。
SARS-CoV-2 microbiome dysbiosis linked disorders and possible probiotics role
・COVID-19プレリュード
COVID-19は、中国湖北省武漢で最初に出現。
魚介類と動物の卸売市場が流行発祥のホットゾーンとされ、すぐに日々の患者数が指数関数的に増加した。
COVID-19は主に呼吸器系に感染し、肺炎など急性かつ重度の呼吸器感染症を引き起こす。SARS-CoV-2感染症の病態は、炎症性サイトカイン増加に基づいて肺障害、臓器不全、そして死亡につながる。
一般に臨床現場では、炎症性疾患や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を抑制するために副腎皮質ステロイド療法が行われていが、COVID-19では効果がないか、副作用のために避けられている。
重篤な症状の呼吸困難に加えてこ潰瘍性大腸炎、胃腸感染症(GIT)や下痢など、他の器官に影響を及ぼすケースもある。
興味深いことに、GIT症状を持つ患者はより重篤な呼吸器症状を有しており、これは、有益な微生物であるLactobacillusやBifidobacteriumの減少が認められる微生物の異常と関連している可能性がある。
一方でClostridium hathewayi、Clostridium ramosum、Coprobacillusの豊富さは重症度と正の相関があり、Faecalibacterium prausnitziiの豊富さは病気の重症度と逆相関した。
さらに、Clostridium hathewayi、Clostridium ramosum、Crobacillusなどの腸内細菌の異常は、下痢、大腸炎、IBD、炎症などに直結していた。
また、COVID-19のICU患者における死亡率の増加は、抗生物質の使用量やICUに関連する腸内細菌の異常と相関しているようだ。
したがって、腸内細菌叢の異常に対する新たな治療アプローチの詳細な調査が必要であり、腸内細菌叢に関連する免疫系を高め、関連する症状やウイルス感染の進行を減少させることが重要である。
免疫系を強化するための補助的な治療法として、プロバイオティクスを用いて腸内細菌叢を操作することは、副作用が少なく、自らの防御機構を活性化することで効果が期待できる。
・各疾患におけるプロバイオティクスの役割
特定の量のプロバイオティクスを投与すると、腸を通じて免疫力を強化することにつばがり、抗生物質、異生物、病原性または毒性因子に対する抵抗力が誘発される。
プロバイオティクスとして、ビフィズス菌、エンテロコッカス菌、ラクトバチルス菌、サッカロミセス・ブーラルディ菌、エシェリヒア・コリNissle 1917、ラクトコッカス菌、ロイコノストック菌、ペディオコッカス菌、ストレプトコッカス菌などの多様な微生物株が知られている。
これらの菌株は、急性下痢、抗生物質に起因する下痢、クロストリジウム・ディフィシルに起因する下痢、炎症性腸疾患、乳幼児のアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患を含む消化管関連疾患の改善のために広く使用されている。
現在では2型糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、非アルコール性脂肪肝などの代謝性疾患の治療において、プロバイオティクスを補助剤として使用する可能性についての研究が進んでいる。
また、様々な研究によりプロバイオティクスを呼吸器感染症(RTI)の治療に使用することで、病気の発生率や重症度が減少することが明らかになっている。喘息、結核、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、インフルエンザなどのウイルス感染症などの呼吸器系疾患はすべて腸の症状や腸内細菌叢の構成の変化と関連しており、肺と腸の相関関係が示唆されている。
前臨床試験でプロバイオティクスの使用が研究されており、喘息モデルにおいて有益であることがわかっている。
Lactobacillus casei、L. rhamnosusおよびBifidobacterium Bifidumの投与は、呼吸器インフルエンザウイルス感染症のウイルス力価を低下させ、症状を緩和することがわかっている。
同様に、Lactobacillus rhamnosus を鼻腔内に投与すると、マウスモデルの呼吸器シンシチアルウイルス感染症に対する防御効果が得らた。
プロバイオティクス治療は疾患に起因する炎症を抑え、粘膜免疫を強化することで、ウイルス感染の拡大を抑制するという有益な効果をもたらす可能性がある。
・ウイルス感染症における免疫力向上のための新たなアプローチ
低い治療効果や副作用を考慮すると、炎症の改善に実績のあるサプリメントを追加することが選択肢として考えられる。
その選択肢の1つとして、プロバイオティクスの補給が挙げられる。
プロバイオティクスはSARS-2ウイルスに関連するメディエーターである単球化学誘引タンパク質-1(MCP-1)を調節し、それに伴って炎症を改善することで病原性を改善することがわかっている。
同様に、ウイルス感染によって引き起こされる異生物の調整剤として作用する可能性があり、COVID-19においても、特に消化器症状の軽減において有望な効果があると考えられる。
また、腸内細菌叢のバランスを整えること、病気の重症度の程度を軽減する可能性がある。これは、腸肺軸の機能や、免疫系と直接結びついているビタミンAの調節によるものと考えられる。
したがって、マイクロバイオーム分析を診断テストとして臨床現場に取り入れる必要がある。
・COVID-19におけるプロバイオティクスのエビデンス
COVID-19に罹患した患者の約58~71%が抗生物質による治療を受けており、そのうち2~36%の患者が下痢に悩まされていた。これは、投与された抗生物質とその後の細菌叢の異常に関連している可能性がある。
このことから、腸内細菌叢を強化することで二次感染に対する脆弱性が改善される可能性があり、抗生物質による下痢はプロバイオティクスを用いて管理することができると考えられている。
またある臨床試験では、Lactobacillus rhamnosus GG、生きたBacillus subtilis、Enterococcus faecalisを含むプロバイオティクスを補給した場合、プロバイオティクスを補給していない場合に比べて、人工呼吸器関連肺炎の発症が有意に少ないと結論された。
中国の研究者による小規模なケーススタディでは、COVID-19患者の一部が、非病原性細菌である乳酸菌とビフィズス菌の減少という細菌叢異常に悩まされていることが報告されているが、動物実験ではコントロールモデルやサルモネラ感染後モデルと比較して、マウス小腸におけるコロナウイルス受容体の発現低下と乳酸菌およびバチルス・クラウジーの存在との間に相関関係は認められなかった。
したがって、利用可能な臨床データが限られているため、COVID-19患者の死亡リスクを低下させるプロバイオティクスの治療効果は不確かであり、プロバイオティクスの検証のための早急な研究が必要である。
・COVID-19関連の下痢とプロバイオティクスの使用
最近の研究で、H1N1インフルエンザAウイルス患者や中東呼吸器症候群(MERS)、SARS-CoV-2患者に下痢や腹痛などのGIT症状が見られたことから、呼吸器系の疾患であってもGIT症状をフォローすべきであることが示された。研究では、ウイルス性疾患や抗ウイルス療法における腸内細菌の異常が指摘されており、COVID-19でも同様である。
下痢など消化器系の症状は腸内細菌の多様性の変化と密接に関連しており、プロバイオティクスの使用で緩和される。
既に販売されているプロバイオティクスを付加的・補完的な治療法として用いて腸内細菌の多様性を改善することで、SARS-CoV-2関連の下痢対策になるかもしれない。
・COVID-19におけるIBDとプロバイオティクスの役割の可能性
クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)などからなる炎症性腸疾患(IBD)は、腸内細菌の異状を含む様々な誘因により消化管免疫系が不適切に反応する疾患。
IBDは一般的に、炎症を緩和するために免疫抑制剤を用いて管理されるが、これはIBD患者にも有用ではないかもしれない。プロバイオティクスは、腸内細菌叢や炎症を調整することで、IBDや大腸炎を緩和する実績がある。
したがって、COVID-19の補完療法に役立つ可能性がある。
プロバイオティクスは、有機酸、バクテリオシン、ペプチドなどの代謝物や、炎症を含む様々な代謝経路における複数の重要な標的を通じて働き、IBDを緩和する可能性がある。
・粘膜免疫 – 腸と肺のクロストークとプロバイオティクスの役割
粘膜免疫システムという概念は、頸部、口腔、呼吸器、腸などの粘膜構造が病原体から身を守るためにユニットとして、またシステム全体の器官として機能していることである。
腸肺軸のような統合された粘膜免疫システムという考えは、これらの2つの粘膜部位が同じ胚の起源を持ち、構造的にも機能的にも類似しているという事実によって裏付けられている。
腸内細菌の異常によるリーキーガットは、肺疾患を含む病状を悪化させる可能性があり、また、SARCoV-2が腸管内腔に浸潤し、続いてリンパ系にも浸潤することで二次感染を引き起こし、COVID-19の重症度を高める可能性がある。
腸と肺の細菌叢の異常は様々な急性肺疾患で発生する。
また、COVID-19で使用されるコルチコステロイドも微生物の異常を誘発する可能性がある。
さらに最近の研究では、腸内細菌叢が腸肺レベルでアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に影響を与えるため、プロバイオティクスが病気の重症度を軽減する可能性があるという仮説が立てられた。
腸内細菌叢と肺内細菌叢を調節するためにプロバイオティクスを加えることで、COVID-19疾患の重症度を克服することが期待できると考えられる。
短鎖脂肪酸(SCFA)などの微生物の代謝産物が気道疾患に影響を与えることは、これまでにも報告されている。
繊維を多く含む食事はSCFAを高め、アレルギー性炎症から保護することがわかっている。
・COVID-19におけるプロバイオティクスの作用機序
プロバイオティクスは、上皮バリア機能の強化、抗炎症作用、腸内細菌の多様性の向上、腸内の有害な細菌株に対する拮抗薬、NF-kBなどの複数のシグナル伝達経路の遮断または強化、様々な疾患の重症度を軽減する働きのあるSCFAなどの代謝物の産生などの役割を果たしている。
COVID-19の病態には、上皮バリアーの破壊、炎症、異生物の存在が含まれており、これらはプロバイオティクスの補給によって緩和される。
さらにCOVID-19では炎症性メディエーターの産生が増加しており、これらが急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、不整脈、ショックの原因となっていることがわかっている。プロバイオティクスはこれらの炎症性メディエーターを緩和することで炎症を抑える働きをする。
適切なプロバイオティクスを補給することで治療用細菌株が腸内に定着し、それが体の他の部分や消化器外の部位に広がり、ウイルス感染に対する免疫力を高めることが期待される。
・COVID-19ICU患者とプロバイオティクス
COVID-19パンデミックでは多くの患者がICUに収容された。
最近の研究では、ICU滞在中に腸内細菌叢の異常発生が増加し、敗血症や死亡につながることが示されている。腸内細菌叢の異常はIBD、免疫系の崩壊、そして最終的には臓器の機能障害など、他の機能障害を引き起こす可能性がある。COVID-19ICU患者では抗生物質の使用が増えることから、臓器機能障害の比率の増加がICUによる腸内細菌の多様性と関連しているのではないかと推測されている。
プロバイオティクス株であるLactobacillus rhamnosus GGとBifidobacterium longumは、ICU患者の感染症を減少させるのに有望であるという研究結果がある。
・プロバイオティクスの菌株におけるACE2の存在とCOVID-19における役割COVID-19感染の主な標的臓器は主に肺だが、腸もウイルスの標的臓器である。SARS-CoV-2の受容体であるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)は、分化した腸細胞に高発現しており、ヒト小腸オルガノイド(hSIO)モデルでは、増殖した腸細胞や成熟した腸細胞に感染を引き起こすことがわかっている。
近年、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)やアンジオテンシンIIタイプ-1受容体拮抗剤(ARB)などの阻害剤はACE2受容体に効果的に結合し、ウイルスを中和しその後の肺傷害から保護することが提案されている。
Lactobacillus paracasei (LP)をライブベクターとして用いてヒトACE2を経口投与すると,糖尿病性腎症のマウスモデルにおいて糖尿病の治療に有効であることが実証された。その結果、LPはコドンを最適化したACE2を効率的に発現させることができ、血清および組織中のACE2活性の上昇を示すことがわかった。
この結果は、人工的に作られたプロバイオティクス種が組織でのバイオアベイラビリティを高めたヒトACE2のライブベクターとして採用できることを示唆しており、同様の方法でCOVID-19感染症の効果的な治療や悪化の防止が可能かどうかを検証できる。
また、細菌由来のB38-CAP酵素はヒトのACE2様酵素と類似していることがわかっている。この酵素の保護作用は、高血圧、心機能障害およびその後の肺損傷を抑制である。
B38-CAP酵素を持つ細菌株を使用するか、または同様の特性を持つ他の細菌株を同定することはヒト組織の代わりにSARS-CoV2の代替ACE2受容体として働かせ、COVID-19の重症度と病因を制御/減少させるのに有益な役割を果たすかもしれない。
・COVID-19におけるプロバイオティクス・バクテリオシンの役割
乳酸菌やビフィズス菌が作るバクテリオシンは、30〜60個のカチオン性アミノ酸で構成されたペプチドで抗菌作用を持ち、広範囲の腸内細菌の病原体やロタウイルスなどのウイルスに有効である。
様々なプロバイオティック微生物によって産生されるバクテリオシン活性は、COVID-19感染に対する治療に役立ち、助けになるかもしれない。
報告されている様々な有害細菌株にプロバイオティクス菌株が拮抗薬として働き、病気の重症度を低下させる可能性がある。
最近の研究では、COVID-19疾患における真菌のマイクロバイオームの不調和が報告されており、これは抗真菌毒素を産生するプロバイオティクスによって軽減される可能性がある。
・プロバイオティクスのムチン産生とCOVID-19
粘液は、呼吸器、消化器、泌尿器などの体腔を覆う粘膜からの細胞外分泌物であり、物理的な保護バリアとしてムチン-糖タンパク質を成分に成り立っている。
最新の研究では、腸細胞を介してCOVID-19ウイルスの複製をが強く誘導されることがわかっているが、ヒト小腸オルガノイド(hSIO)モデルでは杯細胞はあまり感染しないことがわかった。
この現象は、ムチンの産生が誘導した杯細胞の活動の活発化のよってウイルスが腸を経由して免疫系に侵入するのを防げる可能性があることを示している。
さらにムチンのバイオポリマーは、広範囲の抗ウイルス作用を示すことことが明らかになっている。
杯細胞とムチンの産生促進がロタウイルス感染に対する宿主の防御に役割を果たしていることを示唆しており、COVID-19でも有望と思われる。
腸内のムチンと粘液の産生を促進するプロバイオティクスは、直接的にも間接的にも、腸の免疫力を高めて全身の免疫力を高めると考えられる。
Lactobacillus sppは腸内ムチンを誘導し、腸上皮上の粘液層とグリコカリックスを強化することで、腸の結合部位を占め、病原菌の付着を抑制し、炎症を予防することが報告されている。
・プロバイオティクスによる免疫系の調節
腸内細菌叢は、樹状細胞(DC)、単球/マクロファージ、リンパ球などの免疫細胞と相互作用して免疫調節分子を放出し、自然免疫系と適応免疫系を刺激する。ウイルス感染は、腸上皮細胞(IEC)と免疫細胞との相互作用や、トール様受容体3(TLR3)などのパターン認識受容体(PRR)の活性化を介して、自然免疫反応を引き起こすことが知られており、炎症性メディエーターの分泌や、局所的な組織の損傷や免疫病理の増加につながっている。
乳酸菌(LAB)のような免疫制御性のプロバイオティクスまたは免疫生物は、toll様受容体を介して腸上皮細胞(IEC)または固有層に関連する免疫細胞と相互作用してサイトカインまたはケモカインの産生を誘導し、他の免疫細胞にシグナルを送って粘膜免疫系の活性化につながる可能性がある。
腸、気管支、乳腺の免疫グロブリンA+(IgA)細胞の増加とT細胞の活性化を特徴とする粘膜免疫系が活性化される。
プロバイオティクスは、IL-10を放出する制御性T細胞を特異的に活性化し、IgEの代わりにIgGの産生を促す。エフェクターT-ヘルパー(Th)細胞と制御性T-細胞(T-レグ)のバランスが崩れると免疫反応が低下する。
またプロバイオティクスは、粘膜および全身の免疫系の自然免疫および適応型抗ウイルス免疫を調節し、ウイルス感染時に腸内のホメオスタシスを維持し、ウイルス感染への抵抗力を高め、腸管透過性を正常化し、ウイルス特異的抗体の産生を増加させることが知られている。
ある無作為化比較試験では、下痢や気管支炎などの粘膜疾患に苦しむ子どもたちに、プロバイオティクスであるL. rhamnosesのCRL1505をヨーグルトに混ぜて投与したところ、粘膜免疫が向上し、子どもたちの腸管感染症や呼吸器感染症の発生率や重症度が減少したことが明らかになっている。
同様に、免疫系の刺激、感染症の発生頻度の低下、抗ウイルス抗体の産生増加におけるプロバイオティクスの役割が、さまざまな研究で実証されている。
利用可能な証拠や事実を考慮すると、プロバイオティクスはCOVID-19にとっても同様に有効性がある可能性がある。
・加齢に伴う腸内細菌叢の異常、Covid-19とプロバイオティクスの役割
研究では、若者に比べて高齢者において腸内細菌異常の発生率が高いことが示されている。そのため、高齢のCOVID-19患者の腸内細菌叢を安定化させるために、プロバイオティクスを用いて腸内細菌叢をターゲットにすることが賢明であると思われる。
さらに、薬剤/抗生物質の大量使用が、腸内細菌叢の組成や機能の乱れと密接に関係している。
COVID-19における致死率の上昇には、抗生物質の大量使用と加齢に伴う腸内細菌叢の乱れが相乗的に寄与しているのではないかと推測されている。
マウスを用いた研究では、プロバイオティクスによって加齢に伴う腸内細菌叢の乱れが緩和されることが示され、抗生物質と加齢に伴う腸内異常はプロバイオティクスの治療によって軽減された。