炎症ポテンシャルの高い食事の摂取は低い食事摂取に比べてコロナ発症リスクを増加(7.2倍)させ、さらに重症化リスクも増加させるかもしれない。
食物繊維、オメガ3脂肪酸、βカロチン、植物性タンパク質など抗炎症作用のある食物を摂取量を増やし、赤身の肉や加工肉、トランス脂肪酸、飽和脂肪酸などなどの炎症を誘発食品の摂取を減らすことが、COVID-19のリスクと重症度を軽減するアプローチになると考えられると結論。
The Relationship between Dietary Inflammatory Index (DII) and Disease Severity and Inflammatory Status: A Case-Control Study of COVID-19 Patients
・炎症マーカーの増加はCOVID-19の重症度と関連している。今回の研究では、E-DIIスコアで食事の炎症ポテンシャルと炎症のバイオマーカーであるCOVID-19の発症率および重症度との関連性を評価した。
その結果、E-DIIが大きい(すなわち、炎症性の食事をしている)患者はCOVID-19を発症する確率が増幅されることが判明。重症度も増大することがわかり、炎症性食の摂取がCOVID-19のリスク増加に関係していることがわかった。
・COVID-19によって引き起こされる多系統炎症性候群が、感染者の疾患を重症化させる主な原因の一つであることは多くの研究で認められている。炎症状態は、COVID-19と相関している可能性があり、窒素と活性酸素レベルを増加させ、重症化に重要な役割を果たしていると考えられる。
食事のDIIスコアは、慢性炎症の強力な調節因子または刺激因子となる可能性がある。
・多くの論文で、野菜や果物を多く含む食事は炎症因子の低下と関連することが確認されている。特定の食事が腸内細菌叢を変化させ、不適切な免疫機能(例えば、Tヘルパー細胞、T調節細胞、17型とそのバランスの変化)を増加させ、その結果、全身性自己免疫疾患を活性化させる可能性がある。
・DIIとCOVID-19の関連性については、食事によって免疫関連遺伝子の発現がエピジェネティックに変化し、COVID-19の重症化につながるという説もある。
・α-リノレン酸や抗酸化力のある微量栄養素(ビタミンE、A、C、亜鉛、セレン)などの食事因子は炎症を調節する。
・活性酸素やプロテアーゼの過剰分泌を介した制御不能な炎症細胞の浸潤は、それ自体が肺の損傷を媒介する可能性があり、これがCovid-19病の主な死因となっている可能性がある。
・炎症が起こりづらい食事によって炎症反応をコントロールすることは、ウイルスを標的とすることと同様に不可欠であると考えられる。COVID-19に見られる罹患率や死亡率が極度の炎症と関連していることを考えると、DIIスコアが低いことは、合理的な治療戦略を立てる上で重要である。
・高い抗炎症作用を持つ食事成分としては、ビタミンE、ビタミンC、カロテノイドで、これらの成分は抗炎症作用に関連するNF-κB(Nuclear factor kappa B)などの転写因子と相互作用することができる。
・食物繊維は、腸内細菌叢によって短鎖脂肪酸(SCFA)に発酵され、抗炎症作用を示すことが明らかになっている。
・炎症性物質を多く含む食事は炎症を誘発する成分(トランス脂肪酸、加工肉など)が多い。
・COVID-19患者はストレスやうつ病に悩まされている可能性が高いとされている。E-DIIと自己申告によるうつ病との間には、直線的な関連性が認められた。た。